• 話題の「黄色い本」はもう読んだ?『アイデア大全』がまさに“発想の歴史”の棚卸し

    2017年03月15日
    知る・学ぶ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    なんでこんなに黄色いの?

    ――『アイデア大全』を初めて見たときは、外身も中身もとにかく真っ黄色で驚きました。

    石黒:特に意味はないんです(笑)。「東京防災」って、見たことありますか? 舛添要一元東京都知事がなした偉業(?)ですけれど、これを見たときに強烈なインパクトを感じたんです。2色刷りの本ですが黄色いインクを地にベタ刷りして、その上にイラストや墨文字を乗せて……というスタイルは見たことがなくて。印刷所さんにお聞きしたら「普通の2色刷りとコストは変わらない」ということだったので、「何かの企画で生かしたい」とずっと考えていました。

    ▼デザイン案のもとになった「東京防災」と『アイデア大全』。「東京防災」も中のページまで黄色い。

    石黒:あとは、読者に「黄色い本」と認知していただけたら、口コミで伝わりやすいだろうなと。そんなわけで、われわれは特に「黄色」に意味を込めてはいないんですが、ある読者の方がSNSで「これはアイデアのイエローページだ」と評してくださっているのを見まして。「それだ!」と思いましたね(笑)。ただ、「黄色い地が目に痛い」という読者の方もいらっしゃったので、このデザインが一長一短であったことは、編集者として真摯に受け止めたいと思います。

     

    「すべてのアイデアを網羅する本」を目指して

    ――デザインは「東京防災」にインスピレーションを受けたということですが、内容についてはどうでしょうか?

    石黒:「すべてのアイデアを網羅する本」「普通のアイデア本とは違うもの」を目指しました。「エジソン・ノート」や「トヨタのなぜなぜ分析」「ルビッチならどうする?」など、収録したアイデア発想法は42にのぼります。いずれも、冒頭にアウトラインをまとめ、次に実践方法である「レシピ」、具体的な事例を挙げた「サンプル」、そして最大の特徴である「レビュー」を付けました。レビューは、読書猿さんが一番「読書猿さんらしく」暴れている部分で、技法の歴史的背景や、他領域との関連性が盛り込まれています。このレビューがあることで、『アイデア大全』は「実用書であり人文書である」といえるものになりました。

    ――発売からわずか1か月で既に6刷・3万7千部と大変売れ行き好調ですが、人気の理由はどこにあると思われますか?

    石黒:最近の本は、図鑑や大全、百科と名のつくような「紙で見る・残る必要があるもの」が根強く売れていますよね。そして、それらの本にまとめられている内容は、多くの場合「普遍的なもの」です。読者の求めているものは、いま「普遍的なもの」にシフトしているんじゃないでしょうか。小手先のテクニックとか、その場限りの知識じゃなくて、「基礎的なことをちゃんと学びたい」という需要が大きくなってきているように思います。この『アイデア大全』も、5年経っても古くならない内容です。それが、読者の皆さんに支持されている理由なのかなと思います。

    ――特に、どういった読者層から反響が大きいですか?

    小池:読者の8~9割は、企画営業やマーケター、クリエイターなど、仕事でアイデアを必要とされている方ですね。あとは、学生さんも読んでくださっています。誰しも働く中で、どうしたらいいか悩む時があるはずです。『アイデア大全』にはその悩みを打開するための公式が詰まっていますので、ぜひかたわらに置いて、使っていただきたいです。

    石黒:今は主婦の方など、女性の読者へも広がっています。実は、作家さんにも支持してくださっている方がいるんです。

    小池:『深山の桜』で「このミステリーがすごい!」優秀賞を受賞した神家正成さんがコメントを寄せてくださったり、SF作家の新城カズマさんが、書店でのイベントで『アイデア大全』をおすすめしてくださったりしているんです。哲学者の千葉雅也さんも、Twitterで紹介してくださっています。

    ――心強いサポーターですね! ますます読者のすそ野が広がりそうです。

    小池本当にすごいことで、ありがたいです。これまではSNSを活用したマーケティングを行ってきましたが、今後は新聞広告などマスに向けたプロモーションも行って、読者を開拓していく予定です。

    ――最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします!

    石黒:この『アイデア大全』は、ハイブローな本の入り口となる本だと思います。人文系の本や知的創造のための本など、読者の皆さんがさらにほかの本を読んでみたくなるきっかけになったら嬉しいです。読書猿さんも、おそらくそれを望まれているんじゃないかなと思います。

    小池:一番伝えたいのは、「この本はアイデア本の類書とはまったく違う」ということ。この本が出たことで、今後のアイデア本は間違いなく変わらざるを得ないはずです。ぜひ擦り切れるまで読んでください。きっと役に立ちます。


    (取材日:2017年2月22日)

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