• 原田まりるを哲学にのめり込ませたものは何だったのか?―【ディガーの本棚】vol.1

    2017年02月08日
    知る・学ぶ
    有地和毅(日販 販売企画部)
    Pocket

    ディガーの本棚

    原田まりるさんが〈ディグった〉本

    人はそれぞれ「何か」を掘っています。

    掘り続けた穴は、トンネルになることもあります。深く掘る人、つまり何かを極めた人が魅力的なのは、トンネルを通して他者とつながっているからかもしれません。

    私たちはこの人たちを、掘る人、「ディガー」と呼ぶことにしました。

    「ディガーの本棚」では、生粋のディガーたちに「掘った穴の底から出てきた鉱物」としての本や、「より深く掘り進めるためのツール」としての本を紹介してもらいます。

    今回のディガーは、元「風男塾」メンバーで、現在は作家・コラムニスト・哲学ナビゲーターとして活躍している原田まりるさん。

    2014年10月に出版された『私の体を鞭打つ言葉』でデビューし、2作目となる小説『ニーチェが京都にやってきて 17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』は発売から約2か月で4刷決定、2.4万部を突破するヒット作となっています。

    そんな原田さんが〈ディグってきた〉本の数々を、ご自身に教えていただきました。

    原田まりる(はらだ・まりる)作家・コラムニスト・哲学ナビゲーター
    1985年、京都府生まれ。哲学の道の側で育ち高校生時、哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。著書に、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)がある。

     

    『不幸論』(中島義道/PHP新書)

    高校生の時に読んで哲学に興味をもつキッカケとなった作品であり、感銘をうけた一冊です。哲学者・中島義道先生がエッセイ風に「人生はどう転んでも不幸である」という前提を論じています。

    これだけ聞くと悲観的な内容に思えますが、進学や家族など、中島先生がいままでの人生の中で感じた自身の卑しさや違和感のようなものが、自己欺瞞なく率直に綴られています。

    一般的に「こんな風に思ってはいけない」「こんな風に考えてしまう自分はダメだ」と歯止めをかけられている鬱屈した感情や考え方が洗いざらい書き抜かれていることに、逆に勇気をもらえます。

    「人生は幸せなものでなくてはいけない」という大前提を覆す哲学論が綴られた一冊です。「幸福とは気を紛らわすことである(パスカル)」など哲学者の引用も入っており、哲学入門におすすめしたいです。

    不幸論
    著者:中島義道
    発売日:2015年05月
    発行所:PHP研究所
    価格:626円(税込)
    ISBNコード:9784569762937

     

    『生の短さについて』(ルキウス・アンナエウス・セネカ/岩波文庫)

    ストア派の哲学者・セネカの人生論ともとれる作品。セネカは元々暴君ネロの家庭教師だったのですが、最後はネロに自殺を命じられてしまうという不遇の人生を送った哲学者です。

    『生の短さについて』では、タイトルの通り「人生はあっという間に終わってしまう、それはなぜか。そしてどう過ごせば良いのか?」がわかりやすく書かれています。

    現在、海外では、セネカをはじめとしたストア派の哲学者たちの教えをわかりやすく書いた書籍が流行の兆しにあるようです。ミニマリスト的な流れからかもしれませんが、物質的に飽食な現代において「ストイック」の語源ともなったストア派の思想に再び注目してみるのもいいのではないでしょうか。

    浪費するだけでなく、自身の時間をじっくりみつめるというシンプルですが、忘れがちな人生論がまとめられた一冊です。

    生の短さについて
    著者:ルキウス・アンナエウス・セネカ 大西英文
    発売日:2010年03月
    発行所:岩波書店
    価格:972円(税込)
    ISBNコード:9784003360712

     

    『ツァラトゥストラ』(フリードリッヒ・ニーチェ/中公文庫)

    簡単に説明すると「ツァラトゥストラ」という達観した仙人みたいな人が、街におりて人々にいろんなことを教えようとする、というストーリー。「無気力にならずに人生を積極的に危険に晒していくことで、新しい価値観は創られ強い人になれる」「不条理に打ち勝つにはどう生きればいいか」といったことが、この一冊を通して学べます。

    ニーチェは例え話がとてもわかりやすく、「〜とは、○○である。まるで××のように」といった名言らしい名言がふんだんに盛り込まれているので、ニーチェ哲学を掴むにはいい一冊だと思います。

    また中公文庫から出ているツァラトゥストラは注釈も丁寧なので、皮肉めいた言い回しの元ネタや、聖書や哲学書のパロディーなども、きちんと理解できます。

    ツァラトゥストラ
    著者:フリードリヒ・ニーチェ 手塚富雄
    発売日:1991年05月
    発行所:中央公論新社
    価格:1,132円(税込)
    ISBNコード:9784122000100

     

    『真夏の死』(三島由紀夫/新潮社)

    ニーチェやハイデガー、サルトルなどの「実存主義哲学」に影響をうけた日本の文豪はたくさんいます。

    三島由紀夫もそのうちの一人です。彼の著作にはハイデガーやニーチェなどの名前があげられることもあり、作品でも「実存的」なことが多々テーマとなっています。

    そんな三島作品の中で最もおすすめしたいのがこの短編集。特に「雨のなかの噴水」「クロスワードパズル」というお話が印象的です。

    「意味なく残酷に女性に翻弄されるが女性側は純粋な動機」というあっけない恋愛模様が描かれており、身近に潜む不条理とはこういうことかも?と考えさせられます。

    真夏の死 改版
    著者:三島由紀夫
    発売日:2010年11月
    発行所:新潮社
    価格:637円(税込)
    ISBNコード:9784101050188

     

    『アウトサイダー』(コリン・ウィルソン/中公文庫)

    私のバイブルとなる一冊です。

    この本は「ロールモデルがおらず、社会に適応できないアウトサイダー」と「疑問なく社会に適応できるインサイダー」に関して論じられている本です。

    この本を読んで驚いたのは、ニーチェやキルケゴール、サルトルなどの実存主義哲学者やドストエフスキー、カミュ、ヘルマンヘッセなど実存を取り扱った作品に関しての「アウトサイダー素質」が考察されているところです。

    これらの哲学者・作家の作品を読んで感じる欠落感や違和感に自身を投影してしまう、という方には是非読んでほしいです。自身に関して納得できるかもしれません。

    コリンウィルソンはいわゆるアカデミックエリートではなく中卒ですが、評論家として世界に名を轟かせました。そういった背景からも彼もアウトサイダーとして一片を担っていたのではないでしょうか。

    アウトサイダー 上
    著者:コリン・ヘンリ・ウィルソン 中村保男
    発売日:2012年12月
    発行所:中央公論新社
    価格:843円(税込)
    ISBNコード:9784122057388
    アウトサイダー 下
    著者:コリン・ヘンリ・ウィルソン 中村保男
    発売日:2012年12月
    発行所:中央公論新社
    価格:905円(税込)
    ISBNコード:9784122057395

     

    原田まりるさんからのメッセージ

    難解な哲学書を買ってみたものの結局難しくて「積ん読」化してしまったら、その哲学者や哲学書に関する簡単な入門書を読んでみてから、再度難解な本に挑戦するという方法で読んでみる、という方法を私はとってきました。

    哲学者の中には作家もいますが、作家ではなく研究者が書いた哲学書はそもそも読みにくいものです。けれども書かれている内容は、とてもユニークなものばかり。気取らずにわかりやすい書籍から手にとって、哲学に触れていただけたら嬉しいです。

     

    原田まりるさんの著書

    ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。
    著者:原田まりる
    発売日:2016年09月
    発行所:ダイヤモンド社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784478069653

    ニーチェ、サルトル、キルケゴール、ショーペンハウアー、サルトル、ハイデガー、ヤスパース! あの偉大なる哲学者たちが、現代的な姿になって現れ、高校二年生の主人公アリスに、“哲学する“とは、何かを教えていく小説。

    私の体を鞭打つ言葉
    著者:原田まりる
    発売日:2014年10月
    発行所:サンマーク出版
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784763133809

    [日販MARCより]
    自己否定街道まっしぐらだった著者が、高校で哲学に開眼。世界を疑い、理想に媚びず、常識を拒否する学問、それが哲学だった。哲学アイドル・原田まりるによる、笑いながら読める哲学者の言葉。


    原田まりる公式Webサイト https://haradamariru.amebaownd.com/

    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下




  • GoogleAd:007



  • 関連記事

    ページの先頭に戻る