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“加治史観”という言葉をご存知でしょうか?
加治史観とは、作家・加治将一さんによる歴史観のこと。加治さんは史料を読み直し、歴史上の人物の心理を読み解くことで、正史としての日本史にクエスチョンを突きつけます。加治さんの作品に触れたことで、「歴史のとらえ方がひっくり返る」という体験をする読者は後を絶ちません。
2016年9月に発売された『禁断の幕末維新史 封印された写真編』は、そんな“加治史観”の最新作。坂本龍馬暗殺の真犯人や西郷隆盛の本当の姿といった「史実」の真偽に斬り込み、6刷・3万2千部と売れ行き好調です。
今回は発売元の水王舎にお邪魔し、企画・編集・販売促進までを一気通貫で手がけた出版部の瀬戸本部長にお話を伺いました。
水王舎 出版部 出版本部長 瀬戸起彦さん
―『禁断の幕末維新史』は、読んでいて衝撃を受ける説ばかりでした。まず、この本を刊行したきっかけを教えていただけますか?
瀬戸:「歴史の見方は教科書に載っているものだけでなく、複数ある」という可能性を、読者の皆さんに伝えたかったんです。
弊社の出版物は学習参考書がメインで、学習参考書は、いわば教科書の伴走者。でも読者には「教科書に書かれていることは果たして本当なのか?」「歴史というのは、権力者が自分に都合の悪いことを消し、都合のいいことを残すことを繰り返して存在しているのではないか?」という疑問の目も持ってほしい。その契機になるよう、加治将一先生と一緒に本を作りました。
―例えば坂本龍馬暗殺の真犯人。加治先生の説は、とても斬新ですね。
瀬戸:当時の定説では、近江屋に押し入った実行犯が斬りかかったとされています。しかし、天井の低い建物で長い刀が本当に振りかざせたのか? 龍馬は拳銃を常に携帯していたのに、なぜ応戦できなかったのか? このように定説のほころびをたどって、加治史観では「龍馬の目の前にいた中岡慎太郎こそが、真犯人だったのではないか」と提唱されています。
歴史上の人物に感情を吹き込む語りは加治先生の持ち味で、読者からは「あっという間に読んでしまった」という声を多くいただいているんですよ。
▼暗殺された坂本龍馬。真犯人は誰なのか?(高知県坂本龍馬記念館HPより)
また、2018年のNHK大河ドラマが「西郷(せご)どん」と発表されていますが、西郷隆盛はこの本のテーマの一つにもなっています。ぜひこの本を読んでから、大河ドラマを楽しんでいただけたらと思います。
▼画家キヨソーネによる、西郷隆盛の肖像画。キヨソーネ自身は一度も西郷に会ったことがなく、西郷隆盛の妻は、上野の銅像を見た際に「こげなお人じゃなかったこてえ!(こんな人じゃなかった)」と叫んだという。(写真は京都大学総合博物館HP「ニュースレターNo.4」より)