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コロンとしたフォルムとメルヘンな雰囲気で、女性を中心にファンの多い「きのこ」。イラストやグッズだけでなく写真集や図鑑なども人気です。
きのこは生物学的にいうと、菌類の仲間。しかし、そんなきのこに似ていながら菌類ではない「粘菌」という生物をご存知でしょうか?
先ほどお見せした写真は、「ほぼ日刊イトイ新聞」で毎週菌(金)曜日に「きのこの話」を連載している新井文彦さんによるもの。というのも、“きのこ写真家”として知られる新井文彦さんは実は粘菌ファンでもあり、今年5月に『粘菌生活のススメ』という本を出版しているのです。
新井文彦さんがこの本を出版した理由はただ一つ。
粘菌(別名・変形菌)という、美しくて、かわいくて、不思議で、ちょっと気持ち悪くて、だけどものすごく魅力的な生きものが、ごく普通に、日本各地で生きているということ、そして、その気になれば案外簡単に見つかるということを、一人でも多くの人に知っていただきたいと思ったからです。
(『粘菌生活のススメ』まえがきより)
一口に粘菌と言っても、つぶつぶの魚卵みたいな粘菌、イカしゅうまいみたいな粘菌、網目状のプレッツェルみたいな粘菌、小さなガマみたいな粘菌などなど見た目はさまざま。しかし見た目もさることながら興味深いのは、粘菌には脳も神経もないのに、まるで心があるかのような動きを見せること。“単細胞”生物ながら情報処理能力が非常に高かったり、アルコールの匂いが苦手で、酒臭い息を吹きかけると逃げて行ったりするそうなのです。特に情報処理能力の高さに関しては、「人工迷路を作って2つのポイントに餌を置き、モジホコリという粘菌を迷路に撒いたところ、最短距離を結ぶヒモ状の形態をとった」という実験結果から、効率的でアクシデントに強い道路・交通網の法則を確立するのに粘菌を活用できるのではないかと考えられています。
何より新井文彦さんの撮った粘菌たちの写真は、身を寄せあってひそひそ話をしているように見えたり、自由奔放にドロドロしているように見えたりして、なんだか可愛く思えてきてしまうのです。
まえがきにある通り、新井文彦さんによれば、粘菌は「その気になれば案外簡単に見つかる」のだそうです。『粘菌生活のススメ』に載っているのは北海道や東北地方で撮影された写真が中心ですが、第3章では「粘菌を10倍楽しむ!-アウトドアからインドアまで-」と題して東京都内でも粘菌探しを敢行! カメラ選びや粘菌撮影のコツ、粘菌の標本の作り方などについてアドバイスもしてくれています。
そしてなんと、東京都内で粘菌探しをするなら梅雨明けくらいのじめっとした時期がおすすめとのこと! つまりこれからがチャンスなのです。シーズンがくるまでに粘菌について学んで、梅雨が明けたらぜひ緑の多い公園や森を訪れてみてくださいね。