• 夢眠書店開店日記 第11話:作家・装幀家ユニット「クラフト・エヴィング商會」の仕事③

    2016年05月07日
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    本の執筆だけでなく、装幀も手掛けるクラフト・エヴィング商會のお二人。しかしどうやら、他に類を見ない行程で本をデザインしていらっしゃるようなのです。というわけで、今回は装幀について詳しく伺います。

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    今回の対談相手

    クラフト・エヴィング商會(craft ebbing & co.)

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     PROFILE 
    吉田浩美と吉田篤弘によるユニット。著作の執筆と、装幀を中心としたデザイン・ワークを主として活動している。主な著書に『クラウド・コレクター/雲をつかむような話』『らくだこぶ書房21世紀古書目録』『ないもの、あります』などがある。
    著作のほとんどに物語の中の二次元的存在として登場するため、ユニット自体が架空の存在と思われがちだが、実際に存在し、これまでにおよそ1000点を超える書籍・雑誌などの装幀デザインを担当。同時に自著に登場する架空の品々を「ないもの、あります」の謳い文句のもと、さまざまな手法によって具現化し、自著と展覧会を通して数多く発表している。


    〈こちらの方にもご協力いただきました〉
    岸本洋和さん:

    株式会社平凡社 編集者。クラフト・エヴィング商會、並びに吉田篤弘さんの担当編集。
    ※今回の取材は、平凡社の会議室をお借りして行いました。

     

    中身よりも“容れ物”を先に完璧に作る

    夢眠ねむ(以下、夢眠)装幀を手掛けるときも、同じ感覚でやっていらっしゃるんですか?

    吉田浩美(以下、浩美)装幀は他の方の作品に、どうやって、より良いパッケージを提供するかということなので、自分たちの作品とは違います。

    吉田篤弘(以下、篤弘)当たり前ですが、デザインとアートはまるで違うものです。今日はデザインに使う「束見本」を持ってきたんですが──。

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    夢眠:「つかみほん」? 真っ白い本ですね……。

    篤弘:本を設計するときに使うものです。これは2014年に世田谷文学館で開催した「星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会」の図録用に作った束見本ですが、展覧会の図録って大きかったり重かったりするでしょう? だから、なるべく軽くて小さい、持ち帰りやすいものにしたかったんです。ただ、軽い紙にも色々ありまして、本にしたときのイメージを把握するためにこうして束見本を作るわけです。普通はテキストや写真などの中身の素材が完成して、その分量をもとに計算してページ数を決めるんですけど、『クラウド・コレクター』もそうでしたが、僕たちはいつも何もない段階で束見本を作ってしまうんです。

    夢眠:えっ!? 容れ物だけ先に、完璧に作っちゃう? それってすごく特殊なやり方なんですよね?

    浩美:特殊ですね。たぶん、私たちだけだと思います。

    夢眠:「つかみほん」の「つか」って……「つかのま」の「つか」ですか? あっ「束(たば)」か! 「掴める」の「つか」かと思った(笑)。「束見本」と書くんですね。

    篤弘:本って、表紙だけ見ていると「平面」という感覚が先立つんですが、実際は手に持つもの、つまり「立体」です。だから、手にしたときの感覚をまず自分たちが体感したいんです。ねむさんが言った「掴める」というのも当たらずと言えども遠からずで、例えばカバーをデザインするにしても、束(本の厚さ=背幅)やページ数がどれくらいかという情報が重要です。パソコンでデザインを決めてゆくときも、画面で作った版下を何度もプリントアウトして束見本に巻いて、手で持ったときにどんな風に感じるのか何度も確認します。平面の状態で「どうしようか」って考えるんじゃなく、立体にしたものを見たり触ったりしながら考えるのが重要なんです。これは『クラウド・コレクター』の頃から一貫してそうしています。ちなみに、束見本を作ること自体は一般的なことで、本を作るときはどこでもたいてい作ります。

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