• 夢眠書店開店日記 第11話:作家・装幀家ユニット「クラフト・エヴィング商會」の仕事①

    2016年04月23日
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    「夢眠書店開店日記」第11話では、初めて「作家」を取材させていただきました。お話を聞きに伺ったのは、ねむちゃんの一番好きな本『クラウド・コレクター』を作ったクラフト・エヴィング商會さん! 連載を始めたときから「いつかお会いしたいね」と話していた憧れの存在と、ついに直接お話しする機会をいただきました。

    〉これまでのお話を見る

     

    今回の対談相手

    クラフト・エヴィング商會(craft ebbing & co.)

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     PROFILE 
    吉田浩美と吉田篤弘によるユニット。著作の執筆と、装幀を中心としたデザイン・ワークを主として活動している。主な著書に『クラウド・コレクター/雲をつかむような話』『らくだこぶ書房21世紀古書目録』『ないもの、あります』などがある。
    著作のほとんどに物語の中の二次元的存在として登場するため、ユニット自体が架空の存在と思われがちだが、実際に存在し、これまでにおよそ1000点を超える書籍・雑誌などの装幀デザインを担当。同時に自著に登場する架空の品々を「ないもの、あります」の謳い文句のもと、さまざまな手法によって具現化し、自著と展覧会を通して数多く発表している。

    〈こちらの方にもご協力いただきました〉
    岸本洋和さん:

    株式会社平凡社 編集者。クラフト・エヴィング商會、並びに吉田篤弘さんの担当編集。
    ※今回の取材は、平凡社の会議室をお借りして行いました。

     

    「クラフト・エヴィング商會」という名前の由来

    夢眠ねむ(以下、夢眠)『クラウド・コレクター』に初めて出会ったのが小学生のときで、母親とデパートに行ったら新刊でバーンと置いてあって、どうしても欲しくて母にお願いしたんです。値段が2,500円で字も小さかったので、母に「本当に読む?」って聞かれたんですけど、「絶対に読む!」って宣言して、買ってもらいました。

    クラウド・コレクター
    著者:クラフト・エヴィング商会
    発売日:1998年11月
    発行所:筑摩書房
    価格:2,700円(税込)
    ISBNコード:9784480872968

    吉田篤弘(以下、篤弘)吉田浩美(以下、浩美)すごい。

    夢眠:最初は、本当にあった話だと思って読んでいたんです。でもあるとき、あとがきを読んで「あっ、違うんだ!」と知って。それから読むたびに意味の分かるところが増えてきて、自分の成長が分かるというか、発達の道しるべとして読んできたので、かなり影響を受けていると思います。そういう意味で『クラウド・コレクター』を一番好きな本として挙げているんですけど、他の本ももちろん読んでいて、以前サイン会に行かせていただいたこともあります。当時私は多摩美術大学に通い始めた頃だったんですけど、お二人は武蔵野美術大学で教えていらっしゃったんですよね?

    篤弘:そうですね。今はもう引退しましたけど、10年近くやっていました。

    夢眠:私、そのサイン会で「ムサビじゃなくてタマビで教えてほしいです」って勝手なことを言って(笑)。そしたら「ムサビにおいで」って言ってくださって、本にも「ねむちゃんへ」って書いてくださって、うわ~って震えながら帰りました。

    篤弘:ああ、何となく覚えてますよ。

    夢眠:ぎゃ!

    浩美:「ムサビにおいで」って誘った気がします(笑)。

    夢眠:そもそも、お二人が「クラフト・エヴィング商會」というユニット名で活動を始めたきっかけは何だったんですか?

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    浩美:稲垣足穂(小説家/代表作は『一千一秒物語』など)の本を読んでいたら、「クラフト・エヴィング的な」という表現が出てきたんです。どうも、すごくいい雰囲気を表わす言葉として「クラフト・エヴィング的」という言い回しが使われているようで、それがどうも引っ掛かって──。

    篤弘:そのときは不勉強で、「クラフト・エヴィング的」という言葉の意味がよく分からなかったんですが、とにかく響きがよかったので、よく分からないまま引用してしまったんです。言い訳ですけどね、アイデアを出すには無知なほうがいいと思っているんです。答えを知るまでの間に「ああかな」「こうかな」と考える時間が、長ければ長いほどいいんです。それがそのままアイデアになるので。

    浩美:そのときは知らなかったんですが、後になって「変態・性欲」を世界で初めて学問として研究した「クラフト・エビング博士」という人がいたことを知りました。足穂はとりわけフェチっぽいことに対して「クラフト・エヴィング的」という言葉を使っていたようです。

    篤弘:「夕方の、青い電灯がぽつりとついたときの情緒がいい」といったような偏愛を、「クラフト・エヴィング的」と表現したみたいです。

    夢眠:なるほど! 性的なことというわけではなくて、あくまで「雰囲気がいい」という描写なんですね。

    浩美:例えば「つるりとしたゆで卵をむいたときに指の跡がちょっとついたのがいい」とか。

    篤弘:「単に真っ白なものじゃなく、少し汚れがついている方がいい」というような。

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    夢眠:知ってしまったあとで聞くと、確かに。

    浩美:でもそのときは何も知らなくて、「すごくいいもの」の形容詞なんだと思って名前をつけてしまったんです。

    篤弘:本当の意味は後になって分かったわけですが、「知らずに名前をつけてしまった」というのが自分たちらしいと思ったので、変えずにそのままにしています。勘違いというか、無知からつけてしまった名前なんです。

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