• 夢眠書店開店日記 第10話:漫画制作の裏側②

    2016年04月02日
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    今回も引き続き「漫画編集」をテーマに、週刊少年ジャンプ編集部で『斉木楠雄のψ難』を担当している頼富さんにお話を伺います。前回の対談で、頼富さんと麻生先生はしっかり打ち合わせをしてから描き始めることが分かりましたが、頼富さんは編集者として、どんなところに気をつけているのでしょうか?

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    今回の対談相手

    頼富亮典 株式会社集英社 週刊少年ジャンプ

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     PROFILE 
    1990年生まれ。大学・大学院でアスパラガスの耐病性に関する研究を行い、2015年4月に集英社に入社。2015年6月に週刊少年ジャンプ編集部に配属された、新米編集者。


    麻生周一先生:1985年生まれ。埼玉県入間市出身。小・中学校の同級生がイルマニア。『勇者パーティー現る』で第64回赤塚賞準入選となり、「週刊少年ジャンプ」で『ぼくのわたしの勇者学』『新世紀アイドル伝説 彼方セブンチェンジ』の連載を経て、現在『斉木楠雄のΨ難』を連載中。でんぱ組.incのファンクラブ会員。りさちー寄りの箱推し。

     

    編集者として大切にしていること

    夢眠ねむ(以下、夢眠)先生と一緒に作品を作り上げていく中で、担当編集としていろいろ言ったり、逆にブレーキをかけたりすることもあるかと思うんですけど、一番大事にしていることや、気をつけていることってありますか? 恥ずかしいでしょうけど!

    麻生周一(以下、麻生)僕も聞きたいですね。

    頼富亮典(以下、頼富)私が大切にしているのは、第一読者としての直感を正直に伝えることですね。どこがどう面白かったかなどを細かく伝えるようにしています。

    夢眠:そうだ、編集者は第一読者なんだった! ずるいですよね!

    頼富:それと単話で作っていると「すっげーおもしれえ!」っていう回と、「ちょっと先生が疲れてるな」って思う回が正直……。

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    麻生:あるのかよ!

    頼富:(笑)。急いだときには、どうしてもそうなっちゃうことがあるんですよね。

    麻生:ああ、でんぱ組.incのライブがあったときとか。

    夢眠:ちょっとちょっと先生、うちらを言い訳にしないでください! でも逆に読者の皆さんにとっても、大爆笑の回が続くより、気持ちが落ち着く回があるほうがいいんじゃないですか? 例えばキャラクターの真意を知れたりして、波はないけど面白い、良い回とかもあるじゃないですか。

    頼富:力技で笑わせにかかる回と、キャラこすりで関係性を見せるという回が。

    夢眠:そういう流れもあるんですか?

    麻生:僕は、それはすごく考えます。

    頼富:そうですね。先生の場合、私が口出しする必要がないくらいに考えていらっしゃいます。

    麻生:同じキャラクターや同じ系統の話が続かないようにしよう、みたいなことは考えますね。

     

    いつからジャンプ編集者になりたかったんですか?

    夢眠:ちょっと話が戻っちゃうんですけど、頼富さんはもともと何になりたかったんですか? 漫画は好きだったと思うんですけど、どのタイミングで編集さん、しかも「ジャンプ」がいいというふうになったんでしょう?

    頼富:大昔に一瞬、漫画家になりたかったんですけど、それは早々に諦めましたね。

    麻生:「ジャンプ」に持ち込んだこともあるとか(笑)。めずらしい例ですよね、それ。

    頼富:私はもともと理系で、大学院までアスパラガスの研究をしていました。

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    夢眠:アスパラガスって、食べたらおしっこが臭くなるって本当ですか?

    頼富:そうですね、よく言われていますね。

    夢眠:10人に1人だって聞くんですけど。

    頼富:体質との相性もありますし、匂いを嗅ぐ側にもよるらしいです。論文で読んだことがあります。

    夢眠:あ、あと、ホワイトアスパラって、グリーンアスパラに何かをかぶせたらホワイトアスパラになるんですか?

    頼富:そうです、日光を当てなかったらホワイトアスパラになりますよ。

    夢眠:ずっと持っていたアスパラガスへの疑問が全部解決した!

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    頼富:同じ品種ですけどね。……何の話だ(笑)! 話を戻すと、僕はアスパラガスの病気の研究をずっとやっていたわけですが、就職活動をするときに、ふと「そういえば未だに自分は毎週ジャンプを読んでいるな」と思ったんです。それで半分記念受験みたいな感じで受けたら、受かっちゃったと。

    夢眠:わあ、天才同士じゃないですか! よかったですね!

    頼富:いや、違います! アスパラガスの研究という普段なかなか聞かない研究テーマのおかげで、面接で偉い人が食いついてくれただけです……。

    ― それでも「ジャンプ」が一番好きだったからという理由は、頼富さんも麻生先生も同じなんですね。

    夢眠:皆が憧れる形ですよね。私、@ほぉ~むカフェっていうメイド喫茶で働いてたんですけど、選考でものすごくたくさんの子が落ちるんですよ。私も「メイドがやりたい」というよりは「メイドをやるんなら@ほぉ~むカフェじゃないと」と思って受けたところがあるんです。ありますよね、そういうの。そっちのほうがかっこいいっていうのもあるし。

    頼富:出版社に行きたいというより、ジャンプ編集部に入りたいという感じで受けちゃったので。念願叶って配属されて、ありがたい限りです。

    夢眠:配属されてみて、憧れの編集部は想像と一緒でしたか?

    頼富:予想を上回ってすごいこともありました。1年目の社員に与えられる裁量の大きさとか、パーティーの豪華さとか(笑)。

    夢眠:作家さんたちが顔を合わせる場所ですよね?

    頼富:そうです。1年目の社員が鳥山明先生や井上雄彦先生にご挨拶をしないくてはいけなくて、震え上がりました……。それこそ(4月に入社して)10月からいきなり連載作家さんを担当するっていうのも、「まじか」っていう……「重荷だな」って思いながら。

    麻生:それまでは普通に読者さんだったんですよね?

    頼富:そうです、本当に一読者だったんで。

    夢眠:そうですよね、好きな漫画の担当なんですもんね。でもそのドキドキしてる感じとか、「好き!」っていう気持ちは出せないですよね。出しすぎたらミーハーになっちゃうし。「先生! こんにちは!」みたいなキビキビした挨拶をしなきゃいけない……。

    頼富:その人の前に立つと緊張しまくる程度には漫画家の先生に対して敬意を持っていたので、それが慇懃無礼な態度にならないよう気をつけながら、言うことは言わなきゃと。そのことにもまた緊張していましたね。

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    夢眠:大変ですね……。

     

    編集者と漫画家はお互いに影響しあう

    夢眠:そういえば漫画家さんって作風とか個性があると思うんですが、編集者の方も人間なので、個性があるんでしょうか。例えばギャグ漫画は得意だけど、冒険ものはそんなに得意じゃないとか。

    頼富:編集者にも個性はありますよ。あとやっぱり担当作品には編集者の好みが出てきて、例えば青年誌が好きな先輩が担当する作品は、どこかエッジがきいた、特定のコアな層にハマる漫画になったりします。

    夢眠:この人が担当すると、すごいおっぱいが描かれるみたいな……。

    頼富:どうなんだろう、統計を取ってみたら面白いことになりそうですね(笑)。

    夢眠:でも、ありそうですよね。お尻派かおっぱい派かで分かれるんだろうなあ……。読む側も男の子だし、そういう描写があるから好きという側面もあるじゃないですか。フィギュアで強調されてるのだって、そうだと思うし。女の子のキャラが、その人の好きなタイプに寄っていくとか……。

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    頼富:それはちょっとあるんじゃないですか(笑)。

    麻生:(笑)。編集によって、話のジャンル自体がダークになることとかもありますね。

    頼富:ダークファンタジーのかっこいい漫画とか、ひたすらに王道の漫画が好きだっていう人は、それを目指して作ったりすることもあります。あと担当している連載作家さんによって書体の指定の仕方が違うので、編集者それぞれに使う書体に傾向が生まれくるということもありますね。読み切りの漫画を見ていて、ある連載作品で使われている書体に傾向が似ているなあと思ったら、同じ編集者が担当していたり。

    夢眠:え~~! それ、めっちゃコアなファンだけが気付いたりするんですかね。「あ、編集さん一緒だ」みたいな。

    頼富:編集者が新人作家さんに、連載作家さんのアシスタントを紹介することがあるんですが、そうすると新人作家さんはその連載作家さんの影響を受けますよね。さらに編集者も少なからずその先生から影響を受けているので、作家さんと編集の両方向から影響を受けて、作風が似てきたり、テイストが同じになったりすることはあると思います。

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    漫画家の作品に少なからず影響を与える“編集者”の存在。それでは漫画家と編集者の組み合わせは、どのようにして決まるのでしょうか? 次回もお楽しみに!

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