• 「九月の恋と出会うまで」公開記念!仕掛け人に聞く、原作小説が復刊から累計18万部の大ヒット作になった裏側

    2019年03月01日
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    日販 ほんのひきだし編集部 芝原
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    高橋一生さん・川口春奈さんのダブル主演映画「九月の恋と出会うまで」が、本日3月1日(金)に公開されました。

    原作は、2007年に刊行された松尾由美さんによる同名小説。

    そしてこの原作小説には、しばらく絶版状態にあったものの、ある2人の仕掛け人によって“復刊”され、大きく売れ行きを伸ばしたという知られざるエピソードがありました。

    今回は『九月の恋と出会うまで』復刊の仕掛け人のお二人に、『九月の恋と出会うまで』の魅力、そして復刊の裏側についてお聞きします。

    (写真左から)
    谷藤甫:双葉社 営業局第二営業部所属。2008年の入社以来、書店営業を担当。
    栗俣力也:TSUTAYA書店員。また書籍プロデューサーとして、数多くの新刊、絶版、既刊作品を現場の目線からヒット作へ導き注目を集める。

    九月の恋と出会うまで
    著者:松尾由美
    発売日:2016年02月
    発行所:双葉社
    価格:680円(税込)
    ISBNコード:9784575518702

    高橋一生さんが役にぴったり! 映画と小説どちらから入っても楽しめる作品に

    ―― 映画「九月の恋と出会うまで」がついに公開の日を迎えますね。

    栗俣:復刊なのに、映画化の帯までついちゃいましたね。復刊後に文庫が売れて映画化されるなんて、本当にすごいなと思います。先日試写を見たときなんて、本編が始まる前からちょっと涙ぐんじゃって(笑)。

    谷藤:ほんと、すごいことになりましたよね……。私も、映画の宣伝がテレビで流れると、ついつい息子に「これお父さんがやったんだよ」って言っちゃうんですよ。映画には関わってないのに(笑)。

    ―― 映画をご覧になった感想はいかがでしたか?

    栗俣:まず、高橋一生さんが本当に役にぴったりです。実際にものすごく細かいところまで役作りをされたそうで、劇中に印象的なシーンがいくつかあったんですが、後からプロデューサーの方に聞いたところ、そこは全部高橋さんのアドリブだと教えてもらってめちゃくちゃ驚きました。

    谷藤:本当にイメージ通りでしたね。服装や部屋の内装なんかまでこだわっていて、とてもかわいらしかったです。

    栗俣:しかも、ちょっと原作にはない驚きも作ってくれていて。

    谷藤:映画と小説、どちらから入っても楽しめますね。うまく補完し合うような関係になっていると思います。

     

    『九月の恋と出会うまで』復刊のきっかけは“タイムリープものブーム”

    ―― 『九月の恋と出会うまで』は恋愛小説ですけど、タイムリープもののSFファンタジーでもありますよね。

    谷藤:そうですね。ただ、タイムリープものの中でも「声だけが未来から現代にタイムリープしている」という点でかなり異色です。

    栗俣:この作品のすごいところは、ここに書かれているのが「タイムリープを起こした後の世界」だということなんですよ。私たちが見ている物語の舞台は、未来にいる“ある人”が過去を変えようと行動して、それによって変わってしまった過去の世界。つまり「物語がひとつ完結した後の物語」が書かれているんです。

    しかも、タイムリープものって「設定の難しさ・ややこしさ」が読むときのネックになったりするんですけど、この作品に関しては“メインキャラクター2人の恋愛”が主軸にあるんですよね。ここがポイントで、ラブストーリーが中心にあることによって、小説を普段あまり読んでいない人も作品の世界にすんなり入ることができるんです。

    ―― 栗俣さんがこの作品を初めて読んだのは、いつ頃のことですか?

    栗俣:新潮社さんから文庫版が発売された2009年ですね。書店員になって半年経ったばかりの頃で、TSUTAYA BOOKSTORE有楽町マルイで文庫担当になったばかりでした。当時は「発売された新刊はできる限りぜんぶ読む」くらいの勢いでチェックしていたので、おもしろかった作品は全部記憶しています。『九月の恋と出会うまで』は、その中の1つです。

    ただ、個人的にはすごくおもしろかったんですけど、その頃はまだタイムリープ設定の作品が一般的ではなかったので、店頭で大きく仕掛けたりはしませんでした。

    ―― なるほど。その後絶版状態が数年続くことになるわけですが、どういう経緯で復刊されることになったんでしょうか。

    栗俣:文庫版が発売された時は「タイムリープものがメジャーでない」という理由で仕掛けなかったんですが、その後2011年くらいから「魔法少女まどか☆マギカ」や「STEINS;GATE」がブームになって、だんだんタイムリープ設定の物語が広く認知されるようになってきたんです。

    それで「今なら『九月の恋と出会うまで』が売れるんじゃないか」と思って。当時はTSUTAYA三軒茶屋店に勤めていたので、近くのファミレスに谷藤さんを呼び出して、思いのたけを伝えました。

    谷藤:そうでしたね~。あれは2015年でしたね。

    ―― なぜ谷藤さんだったんですか?

    栗俣:それ以前に、個人として谷藤さんにお願いして、双葉社さんで他社さんの作品を復刊したことがあったからです。ただちょうどその頃、TSUTAYA全体で「復刊プロデュース文庫(※)」という企画を始めようとしていたので、『九月の恋と出会うまで』に関してはその候補のひとつとして提案しました。

    ※絶版状態にある作品を全国のTSUTAYAスタッフが選定し、復刊するプロジェクト。

    谷藤:全国のスタッフさんが選ぶので、最初の候補は150タイトルくらい集まっていて。そこから「本当に絶版しているか」「売れそうか」と精査していって20作品くらいまで絞ったんですが、そこからどうしようって話になったときに、「やはり1作目は栗俣さんがおすすめしていた『九月の恋と出会うまで』にしましょう」ということになりました。

    ―― 絶版の作品って、誰が権利を持っているんですか?

    谷藤:基本的には著者さんが持っていますね。なので、ざっくりいうと著者さんのOKがもらえれば大丈夫なんですけど、違う出版社から復刊する際の細かい交渉ごとや金銭の発生はケースバイケースです。

    あと、他社作品を復刊する場合って、自社にその著者さんの担当編集がいれば問題ないのですが、今まで関係が薄かった著者さんですと、新たに自社で編集者をつけなければいけないんですよ。なので「復刊プロデュース文庫という企画があって……」と一つひとつ説明して、社内調整する必要がありました。

    栗俣:僕からは「第4弾までは双葉社さんと一緒にやりたい」とお伝えしていたんですが、決めていた4作品のうち3作が他社の作品で……。

    谷藤:そうなんですよね。復刊プロジェクトの話を聞いた時は、「すごく楽しそうだな」とわくわくすると同時に、「いったい何から始めればいいんだろう」とも思いました(笑)。



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