• もし人生であと1冊しか本を読めないとしたらこの本を 『新カラマーゾフの兄弟』

    2015年12月24日
    楽しむ
    日販 商品情報センター 「新刊展望」編集部
    Pocket

    〈『カラマーゾフの兄弟』の新訳を手掛けミリオンセラーに導いた亀山郁夫さんによる、名作の“完結編”が発売! 担当編集者の方に作品ガイドを寄せていただきました〉

    新カラマーゾフの兄弟 上
    著者:亀山郁夫
    発売日:2015年11月
    発行所:河出書房新社
    価格:2,052円(税込)
    ISBNコード:9784309024226
    新カラマーゾフの兄弟 下
    著者:亀山郁夫
    発売日:2015年11月
    発行所:河出書房新社
    価格:2,268円(税込)
    ISBNコード:9784309024233

     

    もし人生であと1冊しか本を読めないとしたらこの本を

    ぼくが6年前に亀山氏に依頼したのは、『カラマーゾフの兄弟』の続編でした。ドストエフスキーによって予告までされながら、その急死により書かれずに終わった「第二の小説」と呼ばれる続編を、作者に成り代わって書いてくださいとお願いしたのです。

    しかし、亀山氏が書き始めたのは続編でもなければ、パロディでもなく、正編と続編を合体して、日本を舞台に完結させるという、こちらの想像を上回る小説でした。

    手にとった方は、その分厚さに怯むかもしれません。しかし怖じ気づくにはおよびません。読み始めれば、よけいなメタファーのそぎ落とされたシンプルな文章と、スピーディーな展開につられ、飛ぶように頁がめくられていきます。

    しかも、原作を読んでもなかなか理解しがたいと言われる、あの有名な「大審問官」の章も、現代のグローバリゼーションと関わる身近な問題に置き換えられ、リアルな話題に変貌しています。

    また、人物名もロシア語の覚えにくいドミートリー(愛称ミーチャ)はミツルに、アレクセイ(愛称アリョーシャ)はリョウに変換され、複雑な原作のストーリーも自然に理解できる仕組みになっています。

    作家辻原登氏は、「亀山郁夫にはドストエフスキーが憑依している」とまで書いておられますが、これは誇張ではありません。小説内でも探偵役のK先生にドストエフスキーが憑依しますが、亀山氏にはドストエフスキーが憑依していたとしか思えないシンクロが起きています。

    文学にはかつて、人生のすべてがつまっていると信じられていました。今や失われつつある文学のオーラが、この一冊には満ち満ちています。もし人生であと1冊しか本を読めないとしたら、必ずこの本を読んでください。後悔はしないはずです。

    文・河出書房新社 編集部 吉田久恭


    (「新刊展望」2016年1月号「エディターの注目本ガイド」より転載)

    common_banner_tenbo

    タグ
    Pocket






  • 関連記事

    ページの先頭に戻る