• 日本のコスプレ文化に夜明けをもたらしたのは“あの首相”だった!?コスプレ専門誌編集長が見た「現代日本のコスプレ史」

    2018年11月07日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
    Pocket

    アニメ、マンガ、ゲームのキャラクターに“なる”を楽しむ「コスプレ」。

    和製英語ながら世界中で通じる言葉となり、国内でもすっかり市民権を得たコスプレですが、10年前、20年前には世間の決めつけから“負の連鎖”が起きていたといいます。

    そんな状況下でコスプレイヤーたちを支えてきたのが、ゼロ年代から10年以上続いた「COSMODE」と、それを受け継ぐ形で創刊された専門誌「COSPLAY MODE(コスプレイモード)」(2014年8月創刊)。

    衣装やウィッグ、カラーコンタクトといったアイテム・グッズから、メイクやポージング、撮影のハウツー、コスプレ界の最新情報まで幅広く発信し、さらに毎号衣装や造形物の“実物大型紙”がついていることで、コスプレイヤーたちからの熱い支持を受けています。

    今回はそんな「COSPLAY MODE」の統括編集長で、日本メイド協会会長もつとめる大門太郎さんにエッセイを寄せていただきました。

    大門さんが見つめてきた“現代日本のコスプレ史”とは、どのようなものなのでしょうか?

     

    コスプレとCOSPLAY  文・シムサム・メディア「COSPLAY MODE」統括編集長 大門太郎

    コスプレ(Cosplay)はご存知の通り「コスチューム」と「プレイ」の造語で和製英語、というか日本語です。私が2000年にコスプレ誌を刊行した当初は、コスプレという言葉のイメージは今とは随分と違っていました。「コスプレ」と検索すると、トップに出てくるのはまず風俗店、という時代でした。

    もちろん当時からコミケ(コミックマーケット)は東京ビッグサイトで開催されていましたし、コスプレイベントも開かれていました。ただそれは「ひっそりと」と言ったほうが正しいかもしれません。大衆の面前に晒されない場所で行われていたイベントが多く、社会的にコスプレは低俗な趣味だという引け目を、コスプレイヤーが抱いていたと思います。

    コスプレイヤーはマスコミ嫌いも激しく、小さな雑誌媒体であっても、自分たちを貶める内容になると決めつけていました。当時取材をしてよく言われたのが「どうせエロ本でしょ」。コスプレイヤー自身も、コスプレをしていることを家族や学校や職場の友人に明かすのは稀で、世間の目が怖いから表に出ない。そして、コスプレイヤー自体を見ることがないから偏見が起こる。負の連鎖です。

    そもそも、当時の検索上位に出てくる低俗なコスプレと、純粋なコスプレの違いは何でしょうか。それは「リスペクト」です。前者はコスプレをするコスチューム(セーラー服やナース服)に対してリスペクトがありません。一方、純粋なコスプレイヤーは、そのコスチュームによって形成されているキャラクターへのリスペクトがあるのです。

    大好きなキャラクターになりたい、少しでも近づきたい、そんな想いが原動力です。好きなキャラクターの絵を教科書の隅に描く……、それは誰もが通る道。キャラクターの容姿だけでなく、考え方や生き方にまで共鳴し、尊敬する。この熱い想いをどうしたらよいか? そんなとき、何かのきっかけでコスプレと出会います。しかし、すぐ自らコスプレをする者は少なく、まず自分の愛するキャラクターに扮しているコスプレイヤーに惹きつけられます。憧れのキャラクターと話ができて、触れられる喜び。一緒に写真を撮るなどするうちに、自らコスプレしたい、となっていきます。そこには確実に、キャラクターへのリスペクトがあります。

    コスプレイヤーが疎外感を感じることがなくなってきたのは、2008年の麻生内閣の頃からです。麻生太郎氏はマンガ好きを公言しており、世間的にもマンガやアニメは「日本が世界に誇れるコンテンツ」と言われ始めました。フランスのJAPAN EXPOやアメリカのANIME EXPOなどがメディアに紹介されると、金髪のフランス人が「NARUTO」のコスプレをしている! これによって国内でも日本のマンガやアニメのコンテンツ力が再認識されました。今日の「クールジャパン」の始まりでもあります。海外で認められているから、凄いぞ日本のコンテンツ!となる。その視線は同時にコスプレにも向けられ、国内での地位が大きく向上しました。

    そもそも日本人は「逆輸入」が好き。ドメスティックなものよりもグローバルなものに価値があり、コスプレはドメスティック、対してCOSPLAYはグローバルだから、コスプレはキモかったけど、COSPLAYは素晴らしい。こうしてコスプレは、社会的に認知されたコンテンツとなり、街中などオープンな場所でイベントが開かれ、コスプレイヤー自体を間近に見られるようになりました。社会的な偏見も薄れ、コスプレイヤーの活動範囲は広がりました。10年前とは大違いです。

    もしあのとき、欧州や米国のコスプレイヤーが、コスプレを恥ずかしい趣味だとして隠していたら……、日本のコスプレの夜は、まだ明けていなかったかもしれません。


    シムサム・メディア「COSPLAY MODE」統括編集長
    大門太郎―DAIMON Taro
    シムサム・メディア勤務。日本メイド協会会長。香川短期大学客員教授。


    「COSPLAY MODE」
    女性向けキャラクターコスプレ誌。グラビアやスナップ、コスプレのメイク方法や衣装の作り方、撮影技術まで幅広く紹介。10月3日(水)発売の11月号では、ハロウィンコスプレを大特集。

    COSPLAY MODE (コスプレイモード) 2018年 11月号
    著者:
    発売日:2018年10月03日
    発行所:シムサム・メディア
    価格:1,320円(税込)
    JANコード:4910039391184

    (「日販通信」2018年11月号「編集長雑記」より転載)




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下




  • GoogleAd:007



  • ページの先頭に戻る