• 「旅猫リポート」三木康一郎監督インタビュー 「撮っていて猫と人間が通じ合ったと思う瞬間があった」

    2018年10月24日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    10月26日(金)、映画「旅猫リポート」が公開されます。

    旅猫リポート

    原作は、有川浩さんによる2012年発売の同名小説。ヒット作揃いの有川浩作品のなかでも1、2を争うほど評価が高く、また有川さん自身も「一生に一本しか書けない物語」と言うほど思い入れの強い作品ですが、舞台、ラジオドラマ、絵本、朗読劇などさまざまに展開される一方、猫目線で物語が進んでいくという理由から「実写化は不可能だろう」といわれてきました。

    しかしこのたび、福士蒼汰さん主演、高畑充希さん(声の出演)、竹内結子さん、広瀬アリスさん、大野拓朗さん、山本涼介さんらの出演で映画化。

    今回はその舞台裏を、三木康一郎監督に伺いました。

    三木康一郎(みき こういちろう)
    1970年生まれ、富山県出身。「世にも奇妙な物語 秋の特別編『昨日公園』」(2006/CX)、「トリハダ~夜ふかしのあなたにゾクッとする話を~」シリーズ(2007~/CX)、「東京センチメンタル」(2014、2016/TX)など多彩なジャンルのドラマを演出。映画監督としては「トリハダ―劇場版―」(2012)、「トリハダ―劇場版2―」(2014)、「のぞきめ」「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」(2016)など。

    ――「旅猫リポート」は、主人公の青年・悟と飼い猫ナナの“新しい飼い主探しの旅”を描いた作品です。猫がほぼ全編通して登場することもあって「実写化は不可能」といわれてきましたが、撮影の現場はいかがでしたか?

    有川浩さんからも「猫中心でお願いします」ということだけは強く希望されていました。

    今回の作品には有川さんも脚本に参加してくださっているんですが、ナナに関するところは「難しそうだったら脚本を変えますので」と。基本的には「あとは監督の好きなようにしてくださいね」というスタンスだったんですけどね。

    初めての動物映画ではありましたが、そういう「思い通りにならない」ということも含めて、楽しみながらやりました。

    ――猫のナナは、短毛でカールしているという珍しい外見ですね。

    動物プロダクションでナナ役を選んでいたときに、ピンときて「この子がいい」と決めました。当初の最有力候補はまったく別の白い猫だったんですけど(笑)、僕はあまりしっくりこなくて……。

    ナナ役の猫、すごく特徴的でしょう。実は動物を撮るときって(1か月半ほど撮影が続くので)普通は似た猫を2匹用意するんですけど、この猫に関しては彼1匹しかいなかったんです。

    そういう不安はありましたが、動物トレーナーの北村さんも「この子は若いし好奇心旺盛だから、撮影も怖がらないでできるだろう」とおっしゃってくれたし、この猫1匹でいこうと腹をくくりました。

    ――高畑充希さんの声もぴったりでしたね。

    僕に限らずスタッフの間でも、当初からイメージとして(ナナの声に)高畑充希さんの名前はあがっていたみたいです。猫っぽい雰囲気もあるし、ナナはオスの猫なので彼女がいいかなと。

    同じ有川さん原作の「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」だけでなく、彼女とはいろいろと一緒に仕事をしてきたので、演技に関してはほとんど何も指導していません。「きっと彼女なら、映像を見て台本を読めば何かを感じ取ってくれる」と思って、僕自身がどうしたいかは一切言いませんでした。

    ――主人公・悟を演じた福士蒼汰さんについてはどうですか?

    福士くんとは出演が決まってから初めてお会いしたんですが、そのときに「ああ、もうこれは悟だな」と思いましたね。悟というキャラクターの雰囲気を、すでに彼自体が持っていたんです。

    なので僕の意見はほとんど言っていません。「悟はこういう人物だ」「このシーンではこんなことを思っている」といった説明はせず、むしろ「そのままで作品に臨んでください」と伝えました。

    ――特にナナと触れ合っているときの福士さんは、とても自然なやわらかい表情をされていましたね。

    「役を作り込まなくていい」と言ったのには、作品の中心に猫がいるということも大きかったです。

    やっぱり動物が相手なので、予想していなかったことが起きたとき、とっさの行動を“まったく自分とは違うキャラクター”のまま演じるのは難しい。そういう意味でも、本当の素の部分を出して悟を演じてほしいなと考えました。非常にやさしくて、おおらかな雰囲気でしたよね。

    やさしくておおらかな雰囲気だからこそ、そういうところがまた観る人を切なくさせるんじゃないかなと思っています。

    ――原作の小説は、もともと読んでいらっしゃったんですか?

    「植物図鑑」でご一緒した後も有川浩さんの作品はいくつか読んでいたんですが、今回の作品については話が決まってから読みました。

    歳のせいか、序盤から泣いてしまって……(笑)。悟の子ども時代のエピソードで、もうアウトでした。

    ▼原作小説は、ナナのビジュアルを使用したカバー版(文庫)が発売中。

    ――原作をすでに読んでいる方にとっては「悟とナナの見た景色がスクリーンで見られる」というのも、楽しみにしていることの一つなのではないかと思います。

    映画化にあたっては、悟とナナが南へ向かって旅をするというストーリーに再構成しました。一面の菜の花畑も、原作にはないですよね。

    「猫を最優先で」というルールがあったからこそですが、それが今回はとてもいい方向にはたらいたなと思っています。海とか富士山とか、いろいろなものがうまくはまりましたね。

    ちなみにほかの作品もそうなんですが、僕は映画を撮るとき、原作をそこまでしっかり読み込んで「自分のなかに入れる」ようなことはしないんです。もちろん原作は読みますが、脚本を読んで、やりたいことや撮りたいものを実現する。だからたぶん、有川先生とは違う解釈も入っていると思います。

    もともとは台本になかったところや、追加したシーンもけっこうありますね。

    原作自体のよさももちろんあるんですが、実写は“映像”なので、より具体的にいろんなものが見えてくると思うんです。細かな違いもそうですが、リアルでは悟やナナからどんな表情が出てくるのか、原作ファンの方はそこに注目してもらえると嬉しいです。

    映画で初めて本作に触れる方は、衝撃の結末が待っていますのでお見逃しなく。

    ――ナナと悟を見ていると、「猫と人間がわかりあうなんて、人間側の都合のいい思い込みだ」という気持ちが溶けていくようでした。撮影していてそのように感じるシーンはありましたか?

    ナナ役の猫は本当に好奇心旺盛で、ちょっと目を離すとすぐにバーッと走り出すような子だったんですが、ナナと悟が“虹”を見るシーンでは、本当に素直に大人しく、隣に立っている悟を見やったり、ちょっとさみしそうな表情を見せたりして、撮っているこちらもはっとしました。

    結局その後のシーンでは元通り自由に動き回っていたので、真相は定かではありませんが(笑)、「やっぱり猫も、人間の気持ちをなんとなく感じ取っているのかな」と思いましたね。

     

    映画「旅猫リポート」作品情報

    元野良猫のナナは、交通事故にあったところを心優しい猫好きの青年・悟に助けられ、5年間、飼い猫として幸せに暮らしてきた。
    とある事情でナナを手放さなくてはならなくなった悟は、新しい飼い主を探す旅に出る。

    「さあ行こう。これは僕らの最後の旅だ」

    悟とナナは、悟の小学校時代の親友、高校時代の初恋の人など悟がこれまでの人生で出会った大切な人たちを、順に訪ねていく。それは図らずも悟の人生をふりかえる旅となる。強い絆で結ばれた一人と一匹のおかしく、切なく、あたたかい物語。
    旅の終わりに明かされる、悟の「秘密」とは――

    出演:
    福士蒼汰、高畑充希(声の出演)、ナナ、竹内結子
    広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介
    前野朋哉 田口翔大 二宮慶多 中村靖日/戸田菜穂
    橋本じゅん 木村多江 田中壮太郎 笛木優子

    監督:三木康一郎
    脚本:有川浩、平松恵美子
    音楽:コトリンゴ
    企画・配給:松竹

    10月26日(金) 全国ロードショー

    http://tabineko-movie.jp/

    旅猫リポート
    著者:有川浩
    発売日:2017年02月
    発行所:講談社
    価格:691円(税込)
    ISBNコード:9784062935616

     

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    ©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社




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