• 科学は“神の領域”を侵食するのか?『ダ・ヴィンチ・コード』の著者がラングドン教授を通して描こうとしたもの

    2018年06月02日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』『ロスト・シンボル』『インフェルノ』に続くシリーズ5作目として、今年2月に発売された『オリジン』。刊行を記念して著者のダン・ブラウンさんが来日し、5月29日(火)、日本の読者へ向けて講演会を行ないました。

    ダン・ブラウンさんが日本を訪れるのは、実は作家デビュー後初めて。

    今回は“読者代表”として池上彰さんをゲストに迎え、ダン・ブラウンさんによる講演ののち、池上さんからの質問、そして来場者からの質問にも回答。

    創作にまつわるエピソードだけでなく、同シリーズを通して描いてきた科学技術と宗教の関係性、そして最新作『オリジン』でテーマに取り上げた「われわれはどこから来たのか、どこへ行くのか」という問いについて語りました。

    数学者の父と、宗教音楽家の母との間に生まれたダン・ブラウンさん。幼い頃から双方の影響を受けて育ちますが、あるとき科学と宗教との間にある矛盾を指摘し、教会の神父に「いい子はそんな質問はしないんだよ」と言われたことから、このことがその後の生活においてもテーマになったといいます。

    自然現象をはじめ、わからないこと(=隙間)を埋めるものとして神の存在を信じてきた人類。しかし科学の発達によって“隙間”の正体が次々に解明され、神の領域は科学による攻撃と侵略を受けてきました。

    一方で科学を排除しようとする宗教の動きもあったわけですが、ダン・ブラウンさんが講演で来場者に投げかけたのは、「神は科学のもとで生き残ることができるのか」ということ、そして目まぐるしい科学技術の進歩にもかかわらず、「人間がどこから来て、どこへ行くのか」は未だに解明されていないということでした。

    最新作『オリジン』のあらすじはこうです。

    宗教象徴学者ラングドンは、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れていた。元教え子のカーシュが、“われわれはどこから来たのか”“われわれはどこへ行くのか”という人類最大の謎を解き明かす、衝撃的な映像を発表するというのだ。これは宗教を根底から揺るがす、人類の根源的な問いに答えるものである。

    しかしカーシュがスポットライトを浴びて登場した次の瞬間、彼は額を撃ち抜かれて絶命した。

    これは、かねてより映像の公開に反発していた宗教界によるものか? もしくはスペイン王宮の差し金か? ラングドン教授は美術館長と人工知能「ウィンストン」とともに、映像にアクセスするためのパスワードを探し、自分がカーシュに代わって彼の発見を世界へ伝えることを決意する。

    本作で人工知能は、美術館を訪れたラングドンを担当するガイド役として登場します。

    芸術や科学にまつわる知識が興味深いことはもちろん、ラングドン教授はどのようにして〈人類最大の謎〉に迫るのか? カーシュの見つけた答えとはどんなものなのか? 人工知能は作中でどのようなものとして描かれるのか? など、すでに物語に引き込まれている方も多いことでしょう。実際の内容はぜひ、ご自身の目でお確かめください!

    ***

    さて、あらすじにもあったように、本作『オリジン』の舞台はスペインです。

    “読者代表”として登壇した池上彰さんは、スペインを選んだ理由について質問。ダン・ブラウンさんは「古いものと新しいものについて書くと決めたとき、スペインを舞台にしようと思った」と述べ、スペインを、豊かな伝統と宗教を持ちながら、同時に科学技術の面でのリーダーでもある「美しいパラドックスの国」ととらえてきたと語りました。

    加えて「日本は哲学・宗教と科学技術が衝突せず共存している国である」ともいい、だからこそ強く来日を希望していたとコメント。さらに「ラングドン教授は日本へ来る予定があるか?」という問いに「その予定がある」と回答し、会場を沸かせました。

    科学技術が発展し、さまざまなことが目まぐるしく変化するなかで、ダン・ブラウンさんは「私たちのもつ哲学や宗教がその変化に追いつけるか」「発達した技術を責任もって使いこなすだけの倫理観を持てるか」という点に課題があると指摘し、柔軟な姿勢と開かれた心、対話の大切さについて語りました。

    そのうえで「本」について、国境や文化、また時間を超えて私たちにアイデアをもたらし、対話させてくれる素晴らしいものだと言及。今回発売された『オリジン』を含む「ラングドン教授」シリーズもまた、ますます世界中で世代を超えて読みつがれる作品となることでしょう。

    オリジン 上
    著者:ダン・ブラウン 越前敏弥
    発売日:2018年02月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784041055779
    オリジン 下
    著者:ダン・ブラウン 越前敏弥
    発売日:2018年02月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784041055977

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