• 〈インタビュー〉天野純希さん『破天の剣』 知られざる智将・島津家久の波乱の生涯!

    2015年10月15日
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    日販 商品情報センター「新刊展望」編集部
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    〈天野純希さんの『破天の剣』文庫版がこのほど発売されました。単行本刊行時(2012年12月)のインタビューを再掲載します。〉

    歴史時代小説の若き旗手の一人、天野純希さん。『破天の剣』で描いたのは、戦国時代の猛将、島津家久の生涯である。

    破天の剣
    著者:天野純希
    発売日:2015年10月
    発行所:角川春樹事務所
    価格:842円(税込)
    ISBNコード:9784758439497

    群雄割拠の戦国、九州。薩摩の島津宗家第15代当主・貴久には4人の息子がいた。四男の家久は、15歳で初陣後、多くの戦で勝利する戦巧者。九州の覇権争いの中、豊後・大友宗麟、肥前・龍造寺隆信らの大名を破っていく。だが島津四兄弟の九州統一の夢は、豊臣秀吉と秀長に阻まれる。そして「軍神」とも呼ばれた戦の天才、家久は生き急ぐかのように病に倒れるのだった─―。16代当主となった長兄・義久は、家久を「類稀なる名剣」になぞらえる。それが表題『破天の剣』の所以である。

    「島津氏で有名なのは義久や(次兄の)義弘。でも、史料を読んで一番魅かれたのは家久です。戦がやたら強くて、兄たちとは母親が違う、歳の離れた末っ子。死に方も謎が多い。この人は何なんだろうと思ったのがきっかけでした」

    家久は決して史料が多い人物ではない。取材に赴いた鹿児島で天野さんは「地元でのマイナーさに驚いた(笑)」という。「この本で少しでも家久の名が知られるといいなと思います」

    家久の物語であるとともに、島津四兄弟の群像劇としても魅力的な小説である。

    「キャラクターは史料を基本に創りました。四兄弟の祖父・島津忠良が、それぞれを評した言葉を残しています。<三州の総大将たるの材自ら備わり>、でんと構えた大将型の長男義久。<雄武英略を以て他に傑出し>、突っ込んでいくタイプの次男義弘。<始終の利害を察するの智計並びなく>、頭が切れる三男歳久。<軍法戦術に妙を得たり>、戦争の才能がある四男家久。家久に関しては、『家久君上京日記』からも人となりを読み取りました。日記には、行く先々で酒盛りをしたとか、漁師の真似をして遊んだと書いてある。子どもっぽい人だったのだろうと」

    天賦の才と無邪気さ。しかし、その陰には出自に対する懊悩、そして孤独があった。

    「天才の孤独を書きたいと思いました。才能があることは即ち幸せと言えるのか。夢と才能とが食い違っていたらどうなるのか。それは現代人にも通じることですよね」

    全編にわたる数々の合戦シーンは迫力大。親子、兄弟、妻や子との絆の物語でもある。

    若くして、直球から変化球まで多彩な歴史時代小説を著す天野さん。歴史ものは「何でもできるのがおもしろい」と語る。

    「正統派の歴史小説だけでなく、たとえば音楽小説にも青春小説にも仕立てることができる。現代小説のようにリアリティに縛られることも少なく、自由度が高いんです」

    小学生で既に父の本棚から司馬遼太郎や吉川英治を手にしていたとか。「その読書体験は骨身になったかな(笑)」


    天野純希さん天野純希
    1979年愛知県生まれ。愛知大学文学部史学科卒業。2007年「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。他の著書に『青嵐の譜』『南海の翼 長宗我部元親正伝』『サムライ・ダイアリー 鸚鵡籠中記異聞』『風吹く谷の守人』『戊辰繚乱』『信長 暁の魔王』『覇道の槍』等。

    〉あわせて読みたい:〈対談〉天野純希さん×木下昌輝さん 7人の作家がひとつの戦場を描く『決戦!』競作に参陣


    (「新刊展望」2013年2月号「著者とその本」より)
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