• 多様な少数民族に会ってヨシダナギが感じたこと――『HEROES』刊行記念イベントレポート

    2018年06月06日
    楽しむ
    ほんのひきだし編集部
    Pocket

    5月17日(木)、フォトグラファーのヨシダナギさんによるトークイベントが東京・御茶ノ水の日本出版販売㈱にて行なわれました。

    今回のトークイベントは、ヨシダさんの2冊目にして現在の集大成となる写真集『HEROES』の刊行を記念したもの。当日は『HEROES』収録の写真を中心に、ロケ時に撮影した動画なども披露しながら、ユーモアたっぷりに撮影の裏側を語りました。

    HEROES
    著者:ヨシダナギ
    発売日:2018年04月
    発行所:ライツ社
    価格:12,000円(税込)
    ISBNコード:9784909044136

     

    「どんなに頑張っても黒人になれない」と挫折

    アフリカをはじめ、各国の少数民族を撮り続けているヨシダナギさん。フォトグラファーになったのは「5歳のときにテレビでマサイ族の姿を見たのが、すべての始まりだった」といいます。

    しかし10歳のとき、あるきっかけでそれが職業ではなく〈人種・民族〉であり、自分は彼らと同じにはなれないということを知らされます。

    しかし、そのことでかえって執着が強まる――ということはなく、中学1年生で学校を退学し、14歳から20歳までグラビアアイドルとして芸能界で活動。その後芸能活動に限界を感じ、“辞める口実”を求めてイラストレーターへ。イラストレーターとしても才能があり、映画会社やアニメスタジオからもオファーを受けたそうですが、しばらくするとスランプに陥ってしまいます。

    そこで思いついたのが〈海外旅行〉でした。

     

    「私にとっては、町にウィル・スミスがあふれているような感覚」

    英語が話せなかったため、初めのうちは友人と一緒に行けるようにアジア圏を旅行していたヨシダさん。しかし「世界観を変えるようなものに出会いたい」という旅の目的は、アジアではなかなか果たされませんでした。

    そこで「小さい頃に憧れたアフリカへ行ってみよう」と考え、ツアー会社に依頼。「一度の渡航でなるべく安く、できるだけ多くの民族を見たい」とオーダーし、エチオピアへ向かいます。

    そこで体験したのは、衝撃というよりも懐かしさ。目的の少数民族は“観光客慣れ”していたそうですが、「同行してくれたツアーガイドやドライバーをはじめ、町の名もなき人々がみんなかっこよかった。私にはウィル・スミスがあふれているように見えた」とその時のうれしさを振り返りました。

    フォトグラファーとして注目を集めるきっかけになったスリ族の写真は、2015年に撮影したときのもの。実は写真家として活動していたわけではなかったのですが、フォトグラファーとしてテレビ番組に紹介されたことで定着していったのだそうです。

    SURI COLLECTION
    著者:ヨシダナギ
    発売日:2016年04月
    発行所:いろは出版
    価格:3,672円(税込)
    ISBNコード:9784866070056

    そして、イベント当日に来場者を驚かせたのが、マネージャーさんの「日本でカメラを触っているのを見たことがない」という発言。

    ヨシダさんも「渡航前日に事務所の奥からカメラを引っ張り出していじり方を思い出している」と笑いつつ、「カメラはツールでしかないから」と、作品に対する思いをにじませました。

     

    最適な時間帯に撮影しないと、肌が青色や紫色に写ってしまう

    “黒人の肌の色”と言われて思い浮かぶのは一色かもしれませんが、実は彼らの肌にもさまざまな色の違いがあり、見たそのままを写すのは難しいのだそう。

    そして試行錯誤の結果、見たままをきれいに再現できるのは「日の出から1時間、日没までの1時間」が最適であるという結論に。しかし、時間に縛られない生活をしている彼らを限られた時間で撮るのはかなり苦労するようで、「起こすところから初めて、着替えやメイクを促して……撮影はたった2時間だけど、工程全体はいつもすごく大変」と語っていました。

     

    「僕らのほかにも、同じような風習をもつ民族がアフリカにいる」

    “世界一ファッショナブルな少数民族”といわれるスリ族、“青の民”として知られるトゥアレグ族、アフロヘアを美の基準とするアファール族……。イベント当日はさまざまな民族の特徴やエピソードが紹介されましたが、筆者にとって特に印象的だったのは、ヨシダさんが「スケルトンマン」と呼ばれるオモマサライ族のもとへ会いに行ったときのお話でした。

    ▼人間に災いをもたらすゴースト(=悪霊)の存在を信じており、悪霊と戦うために、自らも悪霊の姿をしている。

    ヨシダさんはどの民族に対しても、撮影前に作品のイメージを伝えるために過去の作品を見せているのだそう。大半の民族は、ほかの民族の姿を見ても特に反応しないそうなのですが、時には“自分の民族が一番だ”という思いから「こいつら服を着てないぞ」というふうに他民族をけなすことがあるのだといいます。

    しかし彼らはスリ族の写真を見て、「すごい」「嬉しい」「アフリカには僕たちと同じように、ボディペイントをする人たちがいるんだね」と感動。「こんなにかっこよく撮ってくれるなら頑張ろう」と、快く撮影に臨んでくれたのだそうです。

    ▼ヨシダナギさんが撮影したスリ族の写真

    さまざまなエピソードとともに、「最初で最後のベスト作品集になるかもしれないから、数千円でできるものじゃなく、世界中の人に自信を持って見せられるようなしっかりした写真集を作りたかった」と語ったヨシダナギさん。

    現在の集大成として刊行された『HEROES』は、「末永く大事にしてくれる人のところで飾ってもらいたい」という思いから、製本や印刷方法、装幀など、ヨシダさんの写真を最も美しく再現すべく、あらゆる点でこだわり抜いた一冊となっています。

    HEROES
    著者:ヨシダナギ
    発売日:2018年04月
    発行所:ライツ社
    価格:12,000円(税込)
    ISBNコード:9784909044136

    とにかく豪華!「クレイジージャーニー」で人気のヨシダナギ ベスト作品集『HEROES』がヤバい




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下




  • GoogleAd:007



  • ページの先頭に戻る