• 谷川俊太郎・佐野洋子の唯一の合作小説『ふたつの夏』新装版が23年ぶりに発売!

    2018年05月22日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    詩人の谷川俊太郎さんと、『100万回生きたねこ』などで知られる絵本作家の故・佐野洋子さん。23年前に刊行され長らく絶版となっていた、お二人による唯一の合作小説『ふたつの夏』が復刊され、新装版として5月23日(水)に発売されます。

    本書に収められているのは、「釘」「安心してここにいる」「トンチャンノオハカ」の3つの物語。それぞれ谷川さん、佐野さん2人の視点からリレー形式で綴られており、“合作”ならではの世界を味わうことができます。さらに今回の発売にあたり、巻末に佐野さんから谷川さんに宛てた手紙も初公開されている貴重な一冊です。

    そんな本作について、編集を担当した小学館・出版局文芸編集部の刈谷政則さんに文章を寄せていただきました。

     

    それぞれの時を生きる男と女のデュエット

    この魅力あふれる合作小説は、1995年に光文社から刊行されたものの、その後、長らく絶版という不幸な歴史をたどります。

    この作品をもう一度世に出したいと思いつづけて十数年。このたび装いを一新して復刊できたのは、編集者としてこの上ない喜びでした。

    なにしろ、この2人の合作ですから面白くないわけがない。

    北軽井沢と思われる避暑地を舞台にした最初の一篇「釘」は、佐野さんが野性の少女の一人称で描いて、ヨーコ節全開。谷川さんは、初老の学者の穏やかで哲学的な日記体小説で、少年時代の少女との幻のようなひと夏を回想する。

    《ひょろひょろのけんたろうさんに、おちんちんがついています。だれもまもってあげてないおちんちんをつけたけんたろうさんを見て、わたしはなきたくなりました。》

    《眠りに入るほんの数十秒ほどの間、覚めているのか眠っているのか分らぬような状態になることがある。……女の子がひとりいて、名前は忘れたが、山猿のようにはしこい子だった。……私は誰かと一緒にいた。皮膚の接触はないのに、うっとりするほど快い。》

    奔放でユーモアあふれる佐野作品と知的で繊細な谷川作品が織りなす3つの物語は、絶妙なデュエットを奏でるのです。

    特筆すべきは、本文中に挿入される佐野さんの絵―― カラーが9点、さらにモノクロの絵もたっぷり収録。さらには、冒頭に谷川さんの詩「夏が来た」もある。

    その上、巻末には、手紙魔だった佐野さんの手紙を初公開。これは1987年に谷川さん宛に書かれたもの。ほんの少しだけご紹介――《今、私は、チャタレー夫人の森番の様な体力があって(別にセックス抜きでよいのです)手先が左じんごろうの様に器用で、女たらしの様に腰が軽くて、天才的に機械電気に通じている人を求めております……》。楽しさ満載の一冊、自信を持ってお薦めします。

    小学館 出版局文芸編集部 刈谷政則

    ふたつの夏
    著者:谷川俊太郎 佐野洋子
    発売日:2018年05月
    発行所:小学館
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784093865128

    元版は1995年に刊行されたが、2人の離婚によってあっという間に絶版、幻の作品になっていた。「釘」「安心してここにいる」「トンチャンノオハカ」の3短篇を収め、巻頭に谷川の詩「夏が来た」を収録して、新装版として刊行。
    奔放な佐野作品と知的な谷川作品が協奏する唯一の合作小説に、美しい挿絵を織り込んだ、宝物のような作品集。

    小学館『ふたつの夏』より〉

     

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