• 西加奈子が「のどから手が出るほど欲しかった言葉」がつまった短編集『おまじない』発売!

    2018年03月01日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当 猪越
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    3月2日(金)、西加奈子さんの短編集『おまじない』が発売されます。発売に先立ち、1月23日(火)、西さんを招いての『おまじない』試読会が日本出版クラブ会館で開催されました。

    試読会では刊行に寄せた西さんのスピーチや、収録作の1編「燃やす」の朗読、「ダ・ヴィンチ」前編集長の横里隆さんとの対談などが行なわれました。

    本稿では『おまじない』という作品と、本作への思いが込められた西さんのスピーチの一部をご紹介します。

     

    “おじさん”のひと言が女の子を救う短編集『おまじない』

    『おまじない』は書き下ろしを含む全8編が収録された、『炎上する君』以来8年ぶりとなる短編集です。主人公は、ある事件で心に傷を負った少女、先行きが見えないファッションモデル、“おばさんキャラ”が売りのキャバクラ嬢、予期せぬ妊娠に困惑する妊婦など、立場も境遇も違う8人の女性。

    彼女たちはそれぞれに切実な悩みを抱えていますが、身近な、またはふとしたきっかけで知り合う“おじさん”たちの「魔法のひとこと」で、生きるうえでの光を見いだしていきます。

    そんな温かな交流と、“女の子”の繊細さを持ち続ける女性の心の機微を鮮やかに、瑞々しく描いた本作。思いがけず出会う「おまじない」のようなひと言に象徴される、言葉の力が深く胸に響く作品集となっています。

    おまじない
    著者:西加奈子
    発売日:2018年03月
    発行所:筑摩書房
    価格:1,404円(税込)
    ISBNコード:9784480804778

    少女、ファッションモデル、キャバクラ嬢、レズビアン、妊婦……女子の人生はさまざまだけど、いつになってもいくつになっても、そのこころはやっぱりやわらかくこわれやすいもの。彼女たちの落ちこんだ穴から救いだしてくれる「魔法のひとこと」を描いた珠玉の8編。直木賞作家・西加奈子の新境地をひらく待望の短編集。

     

    西加奈子が語った、8年ぶりの短編集に込めた思いとは?

    直木賞を受賞した『サラバ!』や、愛や“自分”について描き反響を呼んだ『i』など数々の長編作品で知られる西さん。もともと長編が大好きで、38歳で直木賞を受賞したときには、長編どっぷりの脳みそになっていたそうです。

    直木賞をいただいたことはものすごくうれしかったんですけれど、直木賞はゴールではなくて、歳をとっても力のある作品を書き続ける、息の長い作家でありたいと思っていました。そのためにはどうしたらいいんだろうと先輩作家に相談して。

    尊敬する角田光代さんからは、「30代は短編千本ノックをしていた」という話を聞いたんです。あれほどの方がそれだけの努力をしていたのだったら、私はもっと努力をしないといけない。短編をとにかくいっぱい書こうと思って書き始めたのが、この『おまじない』です。

    ただ短編を書くというだけでは、きっと自由に書いてしまうと思った西さんは、執筆にあたり作品に自ら縛りをかけたそうです。それは「女の子が主人公」「ひと言で世界が変わる“おまじない”は、おじさんがくれる」「1編は30枚の長さ」というもの。3、4作目くらいまではさらさらと書けたものの、その縛りに苦労し、その後は“絞り出す”という近年なかった感覚を味わいながらの執筆となりました。

    格好いい言い方をすると、長編を書いているときには、物語のほうから動いてくれる瞬間が何回もある。物語に引っ張ってもらうような書き方をしてきたので、「絞り出す」という作業も、その中から出てきた自分の言葉もすごく新鮮でした。

    「おまじない」として女性たちが受け取るのは、「私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。」「弱いことってそんないけないんですか?」「お前がお前やと思うお前が、そのお前だけが、お前やねん。」といったひと言。

    “自分”という存在を慈しみながら、他者との関わりの中で生きていくためのお守りのような言葉たちですが、その言葉に西さん自身も救われていたそうです。

    「私ってこんなことを思っていたんだ」「私の中からこういう言葉が出てくるんだ」ということを日々発見しながら書きました。書いている当時、どの言葉も私がのどから手が出るほど欲しかった言葉ですし、もちろん創作ではありますが、私自身が救われていた言葉です。

    絞り出したということは生々しいということでもあるので、ほかの作品より読んでいただくのが恥ずかしいところもありますが、みなさんにも大切に読んでいただけたら本当にうれしいです。

    試読会での西さんによる「燃やす」の朗読や同作の試し読みは、『おまじない』公式サイトから見ることができます。

     

    『おまじない』の装画は西さんの描き下ろし

    西さんは『おまじない』の書籍化にあたり、全8編のストーリーをイメージしたイラストを描き下ろしています。表紙を飾るのは、書き下ろし作品の「ドラゴン・スープレックス」のもの。試読会では、段ボールにクレヨンで描かれた原画が公開されました。西加奈子さん自身が描いた『おまじない』イラスト

    『おまじない』の単行本には、描かれた8枚すべてをカラーで使用。カバーだけでなく、カバーを外した表紙や見返しなど、どこにどの作品の絵が使われているか、小説と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

    ※各編のイラストは特設サイトで公開されています。

    6月10日(日)からは、『おまじない』のイラストを集めた絵画展が開催されます。

    西 加奈子「おまじない」絵画展
    日時:2018年6月10日(日)~24日(日)14:00~18:00
    会場:AI KOWADA GALLERY
    ※会期中無休、入場無料

     

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