• なかやみわさんが”絵本作家”という仕事に出会った場所:エッセイ「書店とともに……」

    2018年04月04日
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    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    「そらまめくん」「くれよんのくろくん」「やさいのがっこう」……たくさんの親子に愛される人気作を次々に生み出している、絵本作家の なかやみわさん。デビュー20周年を記念して、全国の書店では現在、「なかやみわ デビュー20周年 えほんとおともだちフェア」が開催されています。

    今回は、「書店」にまつわるなかやみわさんのエッセイをお届けします。

    美大生時代、デザイナーだった時期、絵本作家を志して歩み始めた頃。いつの時も書店は、なかやさんにとってなくてはならない場所だったそうです。

    なかやみわ
    埼玉県生まれ。女子美術短期大学造形科グラフィックデザイン教室卒業。企業のデザイナーを経て、絵本作家になる。主な絵本に「そらまめくん」シリーズ、「やさいのがっこう」シリーズ、「ばすくん」シリーズ、「くれよんのくろくん」シリーズ、「どんぐりむら」シリーズなど多数。かわいらしく、個性的なキャラクターたちが大活躍する心温まる作品は、子どもたちや若いお母さんから高い支持を得ている。

     

    書店とともに……  なかやみわ

    「書店」は、私の生活の中で、なくてはならない場所だと思う。「本を探す、買う」という目的以外にも、時には雨宿りの場所になったり、友人との待ち合わせ場所になったり、猛暑の時には、涼む場所になったりと、いろいろと多目的に利用してしまう。そんなふうに書店を利用しているのは、きっと私だけではないと思う。なぜならば、書店に行くと、偶然友人に出会うことが多々ある。思わず「元気?」という会話からはじまり、数分間、雑談に花が咲く。「買い物の邪魔しちゃってごめんね!」などと、別れ際に言うと、「ううん。ちょっと、ふらっと来ただけだから……」という返事が戻ってくる。言葉の通り、「書店」というのは、目的もなくふらっと行きたくなる場所だ。実に生活に密着している。

    そんな馴染み深い「書店」では、忘れられない思い出というのも、いくつかある。美大生の頃は、広告デザインを専攻していた私にとって、「書店」は資料の宝庫だった。「書店」に行かない日はないくらい、毎日足を運んでいた。「書店」に行くのがあたりまえになっていた。そこで本の装丁デザインや、帯のキャッチコピーなどは、毎度チェックしていたし、書店にかざられているPOPやポスターを見るのも好きだった。流行の雑誌を友人と立ち読みして、「ああだ。こうだ」と話し合うのも好きだったし、デザインの勉強をするにはもってこいの場所だった。どちらかというと書物を読む事より、ビジュアルの資料集めによく利用していた。それは、就職してからも変わらなかった。デザイン会社に就職してからは、仕事柄、流行ものを、よくチェックするようになった。雑誌の表紙をいろいろ眺めているだけでも、なんとなく今流行っている傾向がつかめる。情報収集の場としても「書店」はかかせない場所になっていた。

    しかし、そんなデザインの仕事も、いつしか行き詰まりを感じる時期が来た。自分はこれからどんな仕事をしてゆけばいいのだろうかと、毎日頭を悩ませていた。そんな時も、「書店」には普段通り通っていた。「新たにやりたい仕事は何か?」という漠然としたものを、書店でみつけようとしていたのかもしれない。「書店」へ行けばなにか見つけられそうな気がしていた。もちろん、求人情報誌などもよく立ち読みしていた記憶がある。そんなある日、児童書売り場でその答えを見つける時がきた。「絵本作家になる」という答えを得た瞬間だった。きっかけは、久しぶりにふらりと訪れた児童書売り場にあった。当時、日本の創作絵本には、特に興味がなかったのだが、たまには見てみようと気まぐれに訪れたのだ。しかし、そこでの光景が、私にとって衝撃だった。なぜならば、幼い頃読んだ記憶のある絵本が、新刊のごとく平積みされ、堂々と売られていたのだ。何十年も前に刊行された絵本が、今もなお変わらずに売られているなんて、考えもしなかった。ただただ驚いた。もっと驚いたのは、ふと目をやると、その隣で子供達がそれらの絵本を夢中になって読んでいるではないか! 「絵本ってなんて、いい仕事なんだろう!」「私も絵本の仕事をやりたい!」そういった気持ちがいっきに高潮した。

    その後も、書店との付き合いはまだまだ変わらず続いてゆく。それからは「絵本作家にはどうやったらなれるのか?」という答えをみつけるために、書店に通った。絵本の情報が載っている雑誌はどんなものでも目を通した。そして、手当たり次第絵本を読みあさった。そんな中、絵本雑誌から「絵本のワークショップ」的な講座をみつけることができた。さっそく通い始めた。それからは、自分なりに手探りで絵本を作る事に夢中になっていった。絵本を作る上でも、「書店」はたくさんの事を教えてくれた。どんな絵本を作ったらよいのか、悩んだ時も、書店へ行けば必ず答えがみつかった。そして、数年後、目指していた「絵本作家」になれた。今思うと、「書店」は自分にとって、人生の水先案内人、そして最高の相棒と言ってもいいかもしれない。

    【著者の新刊】

    やさいのがっこう とうもろこしちゃんのながいかみ
    著者:なかやみわ
    発売日:2018年03月
    発行所:白泉社
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784592762249
    ばすくんのともだち
    著者:みゆきりか なかやみわ
    発売日:2018年02月
    発行所:小学館
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784097267591

    なかやみわデビュー20周年記念フェア開催中!

    なかやみわさんのデビュー20周年を記念し、現在全国の書店にて「えほんとおともだちフェア」を開催中です。

    『そらまめくん』や『ばすくん』『くれよんのくろくん』『どんぐりむら』『やさいのがっこう』など、愛くるしいキャラクターが登場する絵本シリーズで人気のなかやさん。

    フェア期間中にフェア対象店舗でなかやさんの絵本を購入すると、作品のキャラクターが勢ぞろいした「オリジナルおなまえシール」がもらえます。


    (「日販通信」2006年8月号「書店との出合い」より転載)

     

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