• まもなく平昌オリンピック開幕!「ワールド・フィギュアスケート」編集長が追いかけた代表決定までの軌跡

    2018年02月07日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
    Pocket

    2月9日(金)、いよいよ平昌オリンピックが開幕します。花形競技のひとつであり、日本選手のメダル獲得も期待されるフィギュアスケートを楽しみにしている方は多いのではないでしょうか。

    今回エッセイを寄せていただいたのは、そんなフィギュアスケートを専門に扱う雑誌「ワールド・フィギュアスケート」の鈴木編集長です。国内外の試合を追いかける編集長が見た「代表選手決定までの軌跡」とは、どんなものだったのでしょうか?




     

    まもなく平昌オリンピックが開幕!  文・新書館「ワールド・フィギュアスケート」編集長 鈴木和加子

    ソチ・オリンピックの会場で、浅田真央さんの奇跡のようなフリー演技を見ながら涙した日からもう4年が経つのが信じられません。ご縁があって、昨年末に浅田真央さんの最新刊『浅田真央 私のスケート人生』を刊行し、4月に引退を発表した唯一無二のスケーターが真摯に語ってくださった思いを1冊にまとめました。

    浅田真央私のスケート人生
    発売日:2017年12月
    発行所:新書館
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784403231261

    浅田真央さんが小学生のころからその活躍を見続けてきた編集部にとって、彼女がいないシーズンを迎えるのは、正直とても不思議な気分でした。新しい一歩を踏み出した浅田さんにエールを贈りつつ、4年に一度の夢の舞台を目指すスケーターたちの、熾烈を極める戦いを追いかけることになりました。

    平昌オリンピック代表の最終選考会は年末の全日本選手権。先立つグランプリシリーズなど、シーズン前半戦の結果も選考に大きく影響します。編集部では例年以上に現場に赴くことにし、必然的にキャリアの長い私の担当が多くなりました。訪れた都市を挙げると、9月にイタリアのベルガモ、カナダのモントリオール、10月にロシアのモスクワ、カナダのレジャイナ、11月にフランスのグルノーブル、アメリカのレークプラシッド。ひとつの大会が終わると一度帰国し、2~3日後にまた空港に向かうという繰り返し。さすがに体内時計がおかしくなりながらも、「選手たちの大事な演技をひとつも見逃してはならない」という一心でした。

    なかでも、シリーズ最終戦スケートアメリカは印象深い試合となりました。開催地のレークプラシッドは2回冬季オリンピックが開催された風光明媚なリゾート地ですが、そこに行き着くまでが大変。モントリオールから車で2時間だそうですが、じつはペーパードライバーの私。レークプラシッド近郊へボストンから飛行機で向かうことにしたのですが、搭乗ゲートをくぐり目の前に現れたのは、10人乗りのセスナ機! 機体を平衡に保つため、乗客の体格を見て乗る席を指示されるという体験は新鮮であり、恐怖でもありました。1時間後、無事に小さな空港に降り立ったものの、タクシーが捕まりません。幸いセスナに同乗していた女性2人が、1台予約できたから一緒にどうぞと声をかけてくれました。

    30分のドライブ中、この日初めて知り合ったという2人は英語でスケート談義。ひとりはリュックにプーさんのピンバッジをつけた中国人で、羽生結弦選手の魅力について熱弁をふるっています。かたや、毎年スケートアメリカを観戦しているというハワイ在住の日本人。「髙橋大輔さんの滑りが好きだった」と語っています。当然ながら、「あなたは?」と聞かれ、「雑誌の仕事で来ています」と答えると、「いろんな試合を見に行けて、うらやましいわ」と。私は「こんなに遠くまではるばる試合を見に来るなんて、すごい方たちだな」と内心つぶやいていました。

    そうして辿りついたスケートアメリカでは、怪我から復帰して2戦目の宮原知子選手が見事優勝。ダイナミックなジャンプを着氷するたびに感嘆の声が上がった坂本花織選手もグランプリ初メダルという素晴らしい結果を残し、疲れも一瞬で吹き飛びました。

    クリスマスイブに、全日本選手権の結果を受けて、オリンピック代表選手が満場の観客を前に発表されました。2002年ソルトレークシティオリンピックの壮行会のとき、客席はガラガラで関係者のほうが観客より多かったことを思い出すと、夢のようです。スケーターたちの活躍はもちろんですが、フィギュアスケートを愛してやまない観客の熱い情熱が、いま世界のフィギュアスケート界を支えているのだと思います。


    新書館「ワールド・フィギュアスケート」編集長
    鈴木和加子―SUZUKI Wakako
    1995年入社。バレエやダンスの専門誌「ダンスマガジン」を担当しながら、1999年に「ワールド・フィギュアスケート」を創刊。現在、両誌の編集長を務めている。


    「ワールド・フィギュアスケート」
    オリンピックや世界選手権をはじめ、国内外のイベントを取材し、スケーターやコーチの声をまじえてフィギュアスケートの魅力を伝える専門誌。2月2日(金)発売の第81号では、「平昌オリンピックの展望」を特集している。

    ワールド・フィギュアスケート No.81
    発売日:2018年02月
    発行所:新書館
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784403311208

    (「日販通信」2018年2月号「編集長雑記」より転載)

    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下




  • GoogleAd:007



  • ページの先頭に戻る