• 現在までの“売れ方”から見る「2018年本屋大賞」:ノミネート10作を解説!

    2018年01月24日
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    古幡瑞穂(日販 販売企画部)
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    「2018年本屋大賞」のノミネート作が発表されました。

    ノミネート作は、全国の書店員がもっとも“売りたい”作品として投票した上位10作品。参加した書店員はこれから2次投票として、この10作をすべて読み、すべてにコメントと順位づけを行ないます。そしてその結果から、今回の本屋大賞が決定します。

    >「2018年本屋大賞」大賞受賞作品はこちら

    それでは、書店員さんたちの“売りたい”気持ちを受けた10作はどんな作品なのでしょうか? これまでの売れ行きを見ながら、ノミネート作品を発表していきましょう。

    今回も、ほんのひきだしでは恒例となった「これまでの売上冊数が少ない順」でお届けします。

    ※売上冊数および記事中で紹介する売れ行き動向のデータは、すべて日販 オープンネットワークWIN調べです。

     

    『百貨の魔法』

    百貨の魔法
    著者:村山早紀
    発売日:2017年10月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784591142721

    時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。
    エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。

    ポプラ社公式サイト『百貨の魔法』より)

    『桜風堂ものがたり』で「2017年本屋大賞」にノミネートされた村山早紀さんの作品が、今回もノミネート。内容も『桜風堂ものがたり』の姉妹編といっていい作品です。

    地方にある昔ながらの百貨店。舞台としてはノスタルジックですが、そこに吹き荒れる不況の風は物語の中も現実世界も同じです。

    どこか切なさがある中で、百貨店がずっと昔から売っていた「夢」や「幸せな時間」が読み手にも届いてくる素敵な作品です。

     

    『星の子』

    星の子
    著者:今村夏子
    発売日:2017年06月
    発行所:朝日新聞出版
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784022514745

    主人公・林ちひろは中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。

    朝日新聞出版公式サイト『星の子』より)

    雑誌「小説TRIPPER」(朝日新聞出版)掲載時から話題になっていた『星の子』は、昨年第157回芥川賞にノミネートされ一気に注目を集めるところとなった作品。その後も「王様のブランチ」(TBS)や「アメトーーク!」(テレビ朝日)などで取り上げられ、ずっと勢いが衰えませんでした。2017年11月には第39回野間文芸新人賞を受賞しています。

    新興宗教を舞台に、家族のあり方を問う意欲作。ラストシーンの美しさも話題です。

    担当編集者による作品ガイドも公開中!
    読む人ごとに、さまざまな感想がある――今村夏子待望の新作『星の子』

     

    『盤上の向日葵』

    盤上の向日葵
    著者:柚月裕子
    発売日:2017年08月
    発行所:中央公論新社
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784120049996

    実業界の寵児で天才棋士。男は果たして殺人犯なのか? 今、二人の刑事が決戦の地・天童市に降り立った。

    中央公論新社公式サイト『盤上の向日葵』より)

    書店員にも熱狂的なファンが多く、『孤狼の血』『慈雨』など書店店頭で大きく仕掛けられた作品も多数ある柚月裕子さん。そんな人気を受け、今回初のノミネートとなりました。

    奇しくも今は、将棋界へも大きな注目が集まっている時期。小説好きだけでなく“将棋好き”をどこまで取り込めるかも、気になるところです。

     

    『崩れる脳を抱きしめて』

    崩れる脳を抱きしめて
    著者:知念実希人
    発売日:2017年09月
    発行所:実業之日本社
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784408537146

    広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。
    外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。
    実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。
    彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか? ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。

    実業之日本社公式サイト『崩れる脳を抱きしめて』より)

    『仮面病棟』などの医療ミステリを数多く執筆してきた知念実希人さん。すでにベストセラー作家としてブレイク中ですが、本屋大賞には今回が初ノミネートとなります。

    現役医師の本屋大賞受賞はあるのか!? 二度読み必至の呼び声高い本作で、本屋大賞に挑みます。

     

    『騙し絵の牙』

    騙し絵の牙
    著者:塩田武士 大泉洋
    発売日:2017年08月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784040689043

    大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。
    ある夜、上司の相沢から自身の雑誌の廃刊を匂わされたことをきっかけに、速水は組織に翻弄されていく。
    すると次第に彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて……。
    斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!

    KADOKAWA公式サイト『騙し絵の牙』より)

    著者・塩田武士さんの前作『罪の声』は、実際の事件を取り上げた意欲作として2017年本屋大賞にノミネートされただけでなく、社会的な話題にもなりました。

    今回ノミネートされた『騙し絵の牙』は、気を抜くと大泉洋さんの作品にも見えてしまいますが、大泉洋さんの“主演小説”という、ちょっと変わった作品です。

    出版業界の厳しい現実が克明に描かれており、そういった意味でも話題になっています。

    大泉洋が“小説”で初主演!?『罪の声』の塩田武士による新感覚の社会派小説『騙し絵の牙』

     

    『たゆたえども沈まず』

    たゆたえども沈まず
    著者:原田マハ
    発売日:2017年10月
    発行所:幻冬舎
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784344031944

    1886年、栄華を極めたパリの美術界に、流暢なフランス語で浮世絵を売りさばく一人の日本人がいた。彼の名は、林忠正。その頃、売れない画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、放浪の末、パリにいる画商の弟・テオの家に転がり込んでいた。兄の才能を信じ献身的に支え続けるテオ。そんな二人の前に忠正が現れ、大きく運命が動き出す――。

    幻冬舎公式サイト『たゆたえども沈まず』より)

    アンリ・ルソーを描いた『楽園のカンヴァス』でブレイクして以降、アート小説の分野を切り拓き続けている原田マハさん。そんな原田さんがついにゴッホを手がけた!ということで、発売と同時にどっと売れているのがこの『たゆたえども沈まず』です。

    ゴッホの絵画を見る前には、ぜひ読んでおきたい一冊。

     

    『キラキラ共和国』

    キラキラ共和国
    著者:小川糸
    発売日:2017年10月
    発行所:幻冬舎
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784344031937

    「ツバキ文具店」は、今日も大繁盛です。バーバラ夫人も、QPちゃんも、守景さんも、みんな元気です。みなさんのご来店をお待ちいたしております。――店主・鳩子
    亡くなった夫からの詫び状、川端康成からの葉書き、大切な人への最後の手紙……。伝えたい思い、聞きたかった言葉、「ツバキ文具店」が承ります。

    幻冬舎公式サイト『キラキラ共和国』より)

    2017年本屋大賞で第4位となった『ツバキ文具店』の続編。時が少し流れ、登場人物たちは大きく生活を変えています。

    前回の第4位を超えるか!? 順位からも目が離せません。

    他人の想いを紙とペンに込める、”代書屋”の手紙を公開!小川糸『ツバキ文具店』の続編『キラキラ共和国』

     

    『屍人荘の殺人』

    屍人荘の殺人
    著者:今村昌弘
    発売日:2017年10月
    発行所:東京創元社
    価格:1,836円(税込)
    ISBNコード:9784488025557

    神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
    緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!!

    東京創元社公式サイト『屍人荘の殺人』より)

    今最も注目を集めているミステリといっても過言ではない作品です。鮎川哲也賞を受賞してデビューし、そのデビュー作で「このミステリーがすごい!2018年版」第1位、「週刊文春」ミステリーベスト第1位、「2018本格ミステリ・ベスト10」第1位と3冠を達成したのというのですから“すべてが前代未聞”!!

    設定やトリックはもちろんですが、その売れ方にも驚かされるばかりです。

     

    『かがみの孤城』

    かがみの孤城
    著者:辻村深月
    発売日:2017年05月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784591153321

    学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。

    ポプラ社公式サイト『かがみの孤城』より)

    今や本屋大賞ではノミネート常連の域に達している辻村深月さん。本作『かがみの孤城』は、生きづらさを抱えた子どもたちが“孤城”に集められ、“願いの鍵探し”を通じてあることに気づく……という内容のファンタジーミステリーです。

    王様のブランチ「ブランチブック大賞2017」など、すでにいくつもの賞に選ばれている『かがみの孤城』。「2018年本屋大賞」へのノミネートでどこまで売上を伸ばすことができるのか、ご注目を。

     

    『AX アックス』

    AX アックス
    著者:伊坂幸太郎
    発売日:2017年07月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784041059463

    「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。
    兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
    引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
    こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。

    KADOKAWA公式サイト『AX アックス』より)

    伊坂幸太郎さんの人気の高さは相変わらず! 『AX アックス』は、『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる“殺し屋”シリーズ最新作です。

    エントリー作品の対象期間内には「黒澤」が活躍する『ホワイトラビット』も発売されていますが、今回は『AX アックス』がノミネートされました。

    本屋大賞の特徴は、同じ著者が何度も受賞できること。さあ、結果はどうなるでしょうか?

    担当編集者による作品ガイドも公開中!
    伊坂幸太郎〈殺し屋シリーズ〉最新作!『AX アックス』は“家族”“父と息子”がキーワードの、物騒でやさしい物語

    ***

    これから行なわれる2次投票では、エントリーした書店員が10作すべてを読んで評価します。

    この間に書店員たちはどんな売り場を作るのか、そしてノミネート作をどう評価するのか。そしてその結果、各作の売れ行きがどう変動するかも目が離せないポイントです。

    「2018年本屋大賞」の受賞作は、4月10日(火)発表予定! 皆さんも全作読んで、自分にとっての本屋大賞を決めてみませんか?

     

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    本屋大賞公式サイト
    https://www.hontai.or.jp/




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