• 皆既月食2回、15年ぶりの火星大接近……2018年は天文イヤー!「月刊 天文ガイド」編集長からのメッセージ

    2018年01月05日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    2018年1月31日、約3年ぶりに日本全国で皆既月食が見られます。皆既月食は7月28日にもあり、今年は1年に2回も月食が見られる「当たり年」。さらに7月31日には15年ぶりに火星が地球に大接近するなど、天文ファンにはイベント目白押しの年となります。

    そこで今回は、50年以上にわたって天文ファンに愛読されている老舗雑誌「月刊 天文ガイド」の編集長にエッセイをお寄せいただきました。

    「宙(そら)ガール」という言葉もあるように、ここ数年、星空を楽しむ人が増えているそうです。ディープな「天文ファン」から気軽に楽しみたい「星空ファン」まで幅広くいる中、編集長はどんな思いで雑誌を作っているのでしょうか。




     

    「星空ファン」に向けた誌面づくり  文・誠文堂新光社「月刊 天文ガイド」編集長 佐々木夏

    天文ファンのための月刊誌「月刊天文ガイド」は2015年に創刊50周年を迎えました。2018年に創刊70周年を迎える書籍『天文年鑑』とともに、”天文ファン”に役立つ情報を提供する媒体として、毎月の星空情報、詳しい観測予報データ、天体写真テクニックなどを紹介しています。

    長く天文ジャンルの出版物制作に携わっていると、”天文ファン”と一言で括ってしまいがちですが、実は、ここ数年で天文ファンと言われる人たちは大きく変化しています。これまでは、天体写真撮影や天体観測を熱心に行うなど、天文活動を深く追求する人が、天文ファンと言われてきました。しかしここ数年で、もっと気軽に星空に触れたい、別の趣味の世界から、星空への興味を抱いて、天文の世界に入ってきた、そうした人たちが増えています。

    その背景としては、2012年5月に日本国内で見られた金環日食が大きなきっかけになったと考えています。一般的なニュースでも大きく取り上げられ、当時”金環日食ブーム”が起こりました。日食直前には、書店や家電量販店で「日食メガネ」を入手しようとする人の長蛇の列ができる過熱ぶりでした。日食後も、Yahoo!ニュースで流星群の話題が頻繁に取り上げられたり、科学館の来館者数が増加傾向になったりといった変化があり、そうした状況は現在も続いています。また星空を見ることを楽しむ女性が増え、”宙(そら)ガール”という言葉も生まれました。さらに「星空の写真を撮ってみたい」人が増え、写真誌をはじめ、様々なメディアで星空写真の特集が掲載されることが多くなりました。

    こうした人たちのニーズは”美しい星空を気軽に楽しみたい”といったもので、これまでの天文を趣味とする人たちの在り方とは異なる”新しい楽しみ方”と言えます。しかし、これまで私たち天文の世界にいる人間は気づかなかっただけで、潜在的には多くの人が元々持っていたニーズなのかもしれません。その象徴的な例と言えるのが、長野県阿智村で2012年から始まった「天空の楽園―日本一の星空ナイトツアー」という取り組みです。夜、標高1400mにあるスキー場のゲレンデにゴンドラで訪れると、そこは人工的な照明が落とされ、満天に広がる星を楽しむことができます。予備知識がなくても、星空解説をしてくれるので、まさに”天然のプラネタリウム”を誰でも楽しむことができるのです。阿智村は環境省から「日本一星空の観測に適した場所」と認定されており、そのキャッチフレーズ的な効果もあってか、年間6万人(2015年)が訪れたそうです。これは、星空を楽しみたい人がこれほど多くいるということを示すとともに、特別な知識や技術がなくても、誰でも星空を楽しめることも示していると思います。

    人口が過密する日本国内では、人工的な明かりから逃れられるところは少なく、美しい星空が望める場所が年々少なくなっているのも事実です。それだけに”美しい星空”を見ることは特別な経験になっている、と言えるのかもしれません。しかし、阿智村の例のように、アイデアや工夫次第で、私たちの頭上に広がっている美しい星空をまだまだ楽しむことができます。

    「天文ガイド」では、星空に興味のあるすべての人に、美しい星空に出会うための情報を届けたいと考えています。そのために、これまでの”天文ファン”に止まらない、”星空に興味のある人=星空ファン”に役立つ誌面づくりを心がけています。2018年は1月31日と7月28日に皆既月食が起こり、7月31日には15年ぶりに火星が地球に大接近、と星空の話題が数多くあります。このチャンスを逃さず、誰でも星空を楽しめるような誌面展開を進めていきます。ぜひご期待ください。


    誠文堂新光社「月刊 天文ガイド」編集長
    佐々木 夏―SASAKI Natsu
    1975年生まれ。2001年、誠文堂新光社入社。「MJ 無線と実験」編集部を経て、2006年「月刊 天文ガイド」編集部所属。2016年より現職。


    「月刊 天文ガイド」
    天文ファンのための月刊誌。毎月の星空案内、天文現象の予報、天体写真の撮影方法、天文学研究や宇宙探査の最前線などを紹介している。2018年2月号(1月5日発売)の特集は「1/31、日本全国で見られる皆既月食を楽しもう!」。

    天文ガイド 2018年 02月号
    著者:
    発売日:2018年01月05日
    発行所:誠文堂新光社
    価格:802円(税込)
    JANコード:4910065410286

    (「日販通信」2018年1月号「編集長雑記」より転載)

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