• 愛の、噓か。噓の、愛か。村山由佳『噓 Love Lies』は「エロス」に「ヴァイオレンス」が加わった、究極の純愛小説

    2018年01月12日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    12月26日(火)、村山由佳さんによる長編小説『噓 Love Lies』が発売されました。

    村山さんは、青春純愛ものから官能・性愛を濃密に描く作品まで、数多くの恋愛小説を生み出してきました。本作は『ダブル・ファンタジー』で切り拓いた“官能”に「暴力」と「恐怖」が加わった、作家・村山由佳の25年目にして新たな到達点となる作品です。

    『噓 Love Lies』について、「5年後・10年後も作家であり続けるために、自分なりに突き詰めて生まれてきた小説」だという村山さん。そんな切なる思いと覚悟が詰まった本作について、文章を寄せていただきました。

    嘘Love Lies
    著者:村山由佳
    発売日:2017年12月
    発行所:新潮社
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784103399520

    刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。中学2年の夏にあの事件が起こるまでは――恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちとトラウマを抱えたまま、各々の人生を歩んでいた4人。求め合う体と秘めたる想いが、さらなる苦悩を呼び、暴力の行き着く果てに究極の愛が生まれる。著者渾身の長編ノワール!

    新潮社公式サイト『嘘 Love Lies』より〉




     

    「作家であり続ける」ために

    「ねえ、ムラヤマさん。あなたは、ほぼ最初の挑戦で新人賞をもらって作家になったわけで、それはたいへんラッキーなことだったと思うんだけれども、でもね。この世界、作家になるよりも、作家であり続けることのほうがはるかに難しいんですよ」

    かつて、五木寛之さんから頂いた言葉だ。もう20年以上前になるのか。私はデビュー3年目、五木さんは作家生活30周年の節目の年だった。

    当時の私はわかったつもりで頷いていたけれど、あの言葉の意味が本当に重くのしかかってくるようになったのは、近年のことだ。

    本が、売れない。渾身の力をふりしぼって書きあげたつもりの作品が、思うように読者に届かない。デビューの頃より筆力は上がっているはずだし、ずっと深いものを書けているという自負もあるのに、どうして。

    ベストセラーを横目で眺めれば、気の利いたフレーズがちりばめられていたり、読む者の涙を最後の一滴まで絞り取ったり、さらりと読めて大どんでん返しがあったりと様々だけれど、それに類するものを意識して書いていかないと、この先、職業作家として生き残ることはできないのだろうか──死活問題である以前に、創作の根源となるモチベーションの問題でもあるから悩ましい。

    「作家であり続ける」ために自分にできるのは、まなざしを高く上げてひたむきに書き続けることだと、あの頃は思っていた。今は違う。そんなものは最低限の大前提でしかない。

    今年25年目を迎えた私が、5年後、10年後も「作家であり続ける」ために、今、何を書けばいいのか。自分なりに突き詰めていった末に生まれてきたのが、じつは今回の作品だった。

    いやもう全然、まったく、軽やかではない。これまで書いてきた中で1、2を争うほど長いし、重たい。

    ただ、新しいとは思う。

    10年前に『ダブル・ファンタジー』を送り出した時、それまで青春・恋愛小説を多く書いてきた私の単行本の帯に、初めて「官能」の文字が躍った。

    新作『噓 Love Lies』の帯には、なんと「暴力」「狂気」「恐怖」などの言葉が並んでいる。極めつけは、「新たな到達点となる哀切のノワール」!

    男女の切ない葛藤を尻目に、極道が影の主役を張るような小説を、自分が書くとも、書けるとも思っていなかった。到達点であり集大成でもあるこの小説を、いったいどう言い表せばよいものか、私にもわからない。

    人は誰も、一つの噓もつかずに生きてゆくことはできない。ただし、それが大切な誰かを守るための噓なのか、自分を守るための噓でしかないのかによって、人生の色合いも意味合いも大きく変わってくる。

    愛の、噓か。噓の、愛か。

    「エロス」で「ヴァイオレンス」で「ノワール」だけれど、同時にこれは、究極の純愛小説です。

    嘘Love Lies
    著者:村山由佳
    発売日:2017年12月
    発行所:新潮社
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784103399520

    村山由佳 Yuka Murayama
    1964年、東京都生まれ。立教大学卒。1993年『天使の卵―エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞した。他の著書に、『天使の柩』『放蕩記』『アダルト・エデュケーション』『ありふれた愛じゃない』などがある。

    ダブル・ファンタジー 上
    著者:村山由佳
    発売日:2011年09月
    発行所:文藝春秋
    価格:626円(税込)
    ISBNコード:9784167709037
    ありふれた愛じゃない
    著者:村山由佳
    発売日:2016年09月
    発行所:文藝春秋
    価格:788円(税込)
    ISBNコード:9784167906924
    ラヴィアンローズ
    著者:村山由佳
    発売日:2016年07月
    発行所:集英社
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784087716672

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