• 香港警察を舞台に“本格”と“社会派”を融合させたミステリーの野心作!陳浩基『13・67』

    2017年12月31日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    「2013年から1967年へ歴史をさかのぼる逆年代記形式が、最高の効果を上げている」(法月綸太郎/作家)

    「社会派と本格ミステリーの稀有な融合」(千街晶之/文芸評論家)

    「本作を超える傑作には当分出会える気がしない。文句なしの1位」(宇田川拓也/ときわ書房本店)

    このような熱い支持を得て2017年の「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門で第1位に選ばれた、陳浩基(サイモン・チェン)著の『13・67』。

    2014年に台湾で出版された本作は、2017年9月に邦訳版が発売されました。「ブエノスアイレス」や木村拓哉さん主演の「2046」などで知られる香港の映画監督ウォン・カーウァイが映画化権を取得しており、世界12か国で翻訳出版が決定している話題作です。

    そんな本作について、編集を担当した文藝春秋・電子書籍部の荒俣勝利さんに文章を寄せていただきました。

    13・67
    著者:陳浩基 天野健太郎
    発売日:2017年09月
    発行所:文藝春秋
    価格:1,998円(税込)
    ISBNコード:9784163907154

    現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。
    雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイデンティティを問う社会派ミステリーでもある。

    文藝春秋BOOKS『13・67』より〉

     

    市民と権力の間で揺れる香港警察のアイデンティティーを、逆転また逆転の本格ミステリーで描く野心作

    著者の陳浩基さんに初めてお目にかかったのは2011年9月、台湾台北市で行われた第2回島田荘司推理小説賞の授賞式でした。長身ですが痩せていて、分厚いメガネを掛けた大人しそうな青年。本職はプログラマと聞いて、なんとなく納得したのを覚えています。

    受賞作の『世界を売った男』は記憶喪失がテーマの本格ミステリーで、テンポのいい筆運びと切れ味抜群の謎解きが印象的な秀作でしたが、作品世界のスケール感はあまりなく、著者に社会派的な問題意識があるようにも感じられませんでした。

    その4年後に刊行されて話題を呼んだ本作が原書でも500ページに迫る大長編で(中国語から日本語に翻訳すると2割以上ページが増えるようです)、香港の現代史に材を取り本格ミステリーと社会派ミステリーを融合させた傑作と聞かされた時は、意外の念を禁じえませんでした。

    物語は、その群を抜いた推理力から“天眼”と呼ばれる香港警察きっての名刑事クワンの事件簿が、雨傘革命前夜の2013年から左派(親中国側)による反英暴動が勃発した1967年へ遡る、逆年代記(リバースクロノロジー)のスタイルで語られます。6つの短編はどれも考え抜かれた緻密な構成で、逆転また逆転のクライマックスはかのジェフリー・ディーヴァーを思わせます。

    複雑な東アジア情勢の中、英国の植民地から中国への返還、そして今また中国政府との確執が深まる香港の世相を背景に、市民の命と生活を守るため時には敢えて違法すれすれの捜査を行うクワンの姿に込められた著者の思いとは何か? 香港という場所ならではの、香港市民だからこそ書けた奇跡の傑作ミステリーをぜひご一読ください。

    文藝春秋 電子書籍部 荒俣勝利


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