• サントリー創業者が主人公の小説『琥珀の夢』は、伊集院静が描くもうひとつの『大人の流儀』

    2017年10月20日
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    日販 ほんのひきだし編集部 「新刊展望」担当
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    10月5日(木)、伊集院静さんの『琥珀の夢』が発売されました。

    本作は、「日本に洋酒文化を広めたい」と日本初の国産ウイスキー造りに心血を注いだ、サントリーの創業者・鳥井信治郎を描く長編小説。彼の「やってみなはれ」の精神と、その志を受け継いだ末裔の姿を通じて、近代化以降の日本人の生き方を浮き彫りにする上下巻の作品です。

    伊集院静さん初となる“企業小説”の側面もある本作ですが、伊集院さんがそこに込めたのは、旺盛なチャレンジ精神とともに明治から昭和の時代を懸命に生きた、一人の男の姿なのだといいます。

    そんな本作について、編集を担当した集英社・編集部の江口順一さんに文章を寄せていただきました。

    琥珀の夢 上
    著者:伊集院静
    発売日:2017年10月
    発行所:集英社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784087711233

    ええもんには底力があるんや。品物も、人も底力や! 13歳で丁稚奉公に入り、大阪船場商人の魂を叩きこまれた信治郎。20歳の春、鳥井商店を開業し、葡萄酒の製造販売に情熱を傾ける――。サントリーの創業者・鳥井信治郎のひたむきな日々。

    集英社 BOOKNAVI『琥珀の夢』(上)より〉

     

    サントリー創業者が残した「やってみなはれ」の言葉に込められた3つの意味とは?

    今、巷の酒場ではウイスキー「白州」や「山崎」がなかなか手に入らないことは、酒好きの方ならご存じのはず。海外のシングルモルトももちろん美味しいが、やはり今はジャパニーズ・ウイスキーの時代。なぜか。それは日本人の味覚に合っているのだと思う。

    本書は日本で初の本格国産ウイスキー造りに命をかけたサントリー創業者、鳥井信治郎の物語。大阪船場に生まれ、13歳で丁稚奉公に入り、二十歳で独立。今年発売110年をむかえた赤玉ポートワイン(現在は“赤玉スイートワイン”という名で売られている)を造る。周囲の猛反対をおして、莫大な借金をして山崎蒸溜所を建設し、試行錯誤を繰り返し、角瓶、オールドと次々に成功させ、日本にウイスキー文化、洋酒文化を根付かせる。

    一見、企業小説のように思えるかもしれないが、著者の伊集院氏は企業小説を書いたつもりはないという。明治大正昭和と果てなき情熱を持って駆け抜けた鳥井信治郎という男の生き様を描いた小説である。

    信治郎が残した「やってみなはれ」という言葉がある。文中にもしばしば出てくるが、この言葉には3つの意味が込められていると伊集院氏は言う。ひとつは「やってみなければ何も始まらない」。ふたつ目は「それで失敗しても構わない」。そして最後が「失敗の中に必ず成功につながる何かがある」と。

    すぐ結果を求める今日の風潮の中でこの言葉の持つ意義は大きい。愚直に一歩一歩進み続けていれば、その先に大きな青空が見える。仕事のみならず、人生の様々な場面で、なんと勇気づけられる言葉ではないだろうか。

    日々、編集作業を続ける中で、次第に鳥井信治郎と伊集院静がダブって見えてきた。

    この小説は伊集院氏が描くもうひとつの『大人の流儀』かもしれない。そう思って本書を読んでいただくのも、あり! だと思う。

    文・集英社 文芸編集部 江口順一


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