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NHK大河ドラマ「光る君へ」で話題!『源氏物語』の作者である紫式部の世界をわかりやすく解説【総合3.7】

眠れないほどおもしろい紫式部日記(三笠書房)板野博行

眠れないほどおもしろい紫式部日記
著者:板野博行
発売日:2023年12月
発行所:三笠書房
価格:869円(税込)
ISBNコード:9784837930679

 

『眠れないほどおもしろい紫式部日記』の要点

1.『紫式部日記』の中心は、中宮彰子の出産に関する記述である。難産の末に彰子が無事出産を終えると、彰子の父・藤原道長は大喜びで、若宮が道長の服にお漏らしをしても「うれしい」と言うほどだった。

2.最初、女房の仕事を紫式部は好きになれなかったようだ。しかし、里帰りをきっかけに、自分の居場所は彰子の御前であると感じるようになる。

3.紫式部は多くの「女房評」を残している。特に清少納言に対しては辛辣な評価を下している。

 

『眠れないほどおもしろい紫式部日記』レビュー

『源氏物語』の作者である紫式部。その名前はあまりに有名だが、じつはこれは通称であり、実名も生没年もわかっていない。紫式部の残した作品、そして紫式部自身の生涯についての興味は尽きない。

『紫式部日記』は紫式部が記したとされる日記である。平安の日記とは個人的なものではなく、主に男性貴族が政務について公的な記録として書くものであったが、藤原道長の要請で中宮彰子に仕えることになった紫式部は、1008年〜1010年の宮中の様子を記録している。半分以上は彰子の出産記録にあてられ、のちの後一条天皇である敦成(あつひら)親王の誕生や、祝いの儀式などの描写が詳細に残されている。この記録部分も興味深い内容であることは間違いないが、全2巻からなる日記の2巻には、手紙も含まれており、そこに記された同僚の女房評、斎院の女房評、そしてライバル関係にあったと噂される清少納言評は、読んでいるこちらが冷や冷やしてしまうほどの忌憚のない書き振りで、読者を引きつける力がある。

本書『眠れないほどおもしろい 紫式部日記』は、漫画やイラストも交えながら『紫式部日記』の魅力をわかりやすく、親しみやすく紹介してくれる。

紫式部は引っ込み思案で内気で仕事のやる気がなかった、同僚たちと陰湿ないじめに加担していた、清少納言に対しては辛辣な批判を残している、こんな事実を知っていくと、紫式部という人物がどんどん身近に感じられるようになる。紫式部の生涯を描く2024年の大河ドラマ『光る君へ』とあわせて楽しむのもよいだろう。

 

『眠れないほどおもしろい紫式部日記』が気になる方におすすめ

眠れないほどおもしろい源氏物語
著者:板野博行
発売日:2012年03月
発行所:三笠書房
価格:891円(税込)
ISBNコード:9784837966326