• 摩訶不思議、背筋がゾクゾクッ!「しゃばけ」の畠中恵さんが描く妖怪ファンタジー『明治・妖モダン』

    2017年07月07日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    〈畠中恵さんの『明治・妖モダン』文庫版が発売されました。単行本刊行時(2013年9月)のインタビューを再掲載します。〉

    明治・妖モダン
    著者:畠中恵
    発売日:2017年07月
    発行所:朝日新聞出版
    価格:626円(税込)
    ISBNコード:9784022648389

    舞台は、明治維新から20年を経た、文明開化華やかなりし東京。アーク灯が闇を照らすモダンな街、銀座の煉瓦街に「ただの掘っ立て小屋にしか見えない」巡査派出所が建っていた。

    そこに勤務する原田と滝のまわりで起こる数々の事件は、どれもこの世のものとは思えない不可思議なものばかり――。原田と滝、近所の牛鍋屋「百木屋」の主人・百賢、三味線の師匠のお高、煙草店を営む赤手、といった面々がレギュラーメンバーとなって、物語は繰り広げられる。

    少し怖くて、妖しい魅力を秘めた、全5話の連作短編集『明治・妖モダン』について、著者の畠中恵さんに語っていただいた。

     

    江戸にいた妖たちを、明治の世に連れてきてみたら?

    ――「しゃばけ」「つくもがみ」シリーズなどの「お江戸妖ファンタジー」に対して、今作では明治時代の銀座を舞台に選ばれました。それはなぜですか。

    畠中:明治時代は今まで『アイスクリン強し』などの「若様組」シリーズでも書いています。それと「しゃばけ」シリーズを並行して書いている中で、「このまま時間が経てば、江戸の世にごく普通にいたであろう妖たちはどうなってしまうのかな」とぼんやり考えていました。その疑問を自分の中で先に進めてみようと思ったのがきっかけです。

    ――実際に妖たちを明治の世に連れてきてみて、いかがでしたか。

    畠中:「しゃばけ」シリーズでもそうですが、私の書いてきた妖たちは、ごく普通の生活の中にいます。時代が明治になってもやっぱり普通にいたはずで、果たしてどう暮らしていたのかなと思いました。まわりがすっかり変わってしまって、妖たちもなかなか大変だっただろうなと(笑)。

    ――御一新は人間にとって大きな変化であったと同時に、妖たちにとってもそうだったのですね。

    畠中:一番の変化は、明るさだと思います。アーク灯の強い光で、夜でもかなり明るくなりました。ただ、『明治・妖モダン』の設定は明治20年。その頃だとまだまだ江戸のものは世の中にたくさん残っています。アーク灯の光が届かない裏通りや細い路地には、闇がありました。大きく変わった部分と変わらない部分、二つが合わさった時代だったのだと思います。

    そして銀座の煉瓦街というのは、この時代を表す地域でもあるんですね。表は、イギリスのリージェント・ストリートを模したバリバリの西洋文明。でも通りを一本入れば、江戸の長屋そのものという(笑)。まさに二つが合わさった場所だったらしいです。

    『アイスクリン強し』を書くにあたって明治の史料を読み始めた頃、江戸東京博物館で煉瓦街のミニチュアを見ました。そのとき特に印象深かったのが、「どうしてこんなところにこんなものを建てたんだろう?」という小さな小屋。それを今回の巡査派出所にしました。


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