〈インタビュー〉片岡義男さんの仕事場は、30年来の行きつけの店

2015年07月16日
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日販 商品情報センター 「新刊展望」編集部
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若い時からずっと喫茶店を仕事場にしてきた。都下の繁華街にあるこの店には、30年以上通い続けている。「昼過ぎに家を出て、4、5軒を巡りながら原稿を書いて、夕方になったら家に帰るのが理想的」「次の店まで歩く間に考える、その時間が大事なんです」

昨年、作家デビュー40周年を迎えた。依然新刊の刊行が相次ぐが、執筆に苦労することはない。「こんなことでいいのだろうかと思いながら書いています(笑)」

『去年の夏、ぼくが学んだこと』は、1960年代後半、ライターである語り手の「僕」が小説を書き始めるまでの半年間を切り取った物語だ。描かれるのは、「あの時代にしかなかったような人と人との関係と、そこから生まれてくる何か」。「作家が持っているものは、書き方だけ。ストーリーは(自分の)外にある」という片岡さん。「作家がいて物語を書いていく。その物語がどうなっていくか」を読むおもしろさもあるが、「でもその通り僕が書いているかというとわからない。それも、いろんなアイデアのひとつだから」

去年の夏、ぼくが学んだこと
著者:片岡義男
発売日:2015年06月
発行所:東京書籍
価格:1,404円(税込)
ISBNコード:9784487809400

 

創作の現場

磨りガラスからやわらかな光が差し込む一角。「本来は何も持っていたくないけれど、書き留めておきたいことがいっぱいある」と胸ポケットには手帳とボールペン。自宅ではワープロ専用機を使っている。本書のタイトルは、絵本『夏のルール』(ショーン・タン作、岸本佐知子訳)の一節から。「途中まで書いて、タイトルがないと困るなあと思い始めたころに絵本が届いた。封筒から出した時に、この絵本の中に絶対にタイトルになる言葉があるに違いないと思ったら、あったんです」

「細かくパッケージされたキャンディ類を写真に撮って遊ぶ、という趣味があります。この写真はその一例で、日本のフェリックスというガムが被写体になっています。被写体として愛用するキャンディ類が、いつもデスクのまわりにたくさんあり、楽しいです」

 


片岡義男  Yoshio Kataoka
作家。著書に『スローなブギにしてくれ』『ロンサム・カウボーイ』『日本語の外へ』『映画を書く―日本映画の原風景』『吉永小百合の映画』『一九六〇年、青年と拳銃』『ナポリへの道』『なにを買ったの?文房具。』『洋食屋から歩いて5分』『翻訳問答』『歌謡曲が聴こえる』ほか、近年の小説には『恋愛は小説か』『短編を七つ、書いた順』『ミッキーは谷中で六時三十分』『真夜中のセロリの茎』などがある。


(「新刊展望」2015年8月号「創作の現場」より転載)

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