• 最近“ときめき”が足りないあなたに……折原みと『幸福のパズル』は「ド直球&ジェットコースター」な純愛小説!〈インタビュー〉

    2017年05月03日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当 猪越
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    2017年で漫画家デビューから32年、小説家としては30周年を迎えた折原みとさん。

    110万部のベストセラーとなった『時の輝き』をはじめとするティーンズ小説や少女漫画など、数多の作品に胸をときめかせてきた方も多いのではないでしょうか。近年は、『天国の郵便ポスト』や『永遠の鼓動』といった家族や命、医療をテーマにした大人向けの小説・漫画にも活躍の幅を広げています。

    4月18日に発売された『幸福のパズル』は、小説家・折原みとのアニバーサリーイヤーを飾るにふさわしい純愛小説の大作です。

    ベストセラー作家として脚光を浴びるみちると、男女問わず人気と人望を集める御曹司の優斗。一見すると恵まれた環境の2人は、深くお互いを思いながらも、次々と襲い掛かる困難に幾度も引き裂かれます。

    すれ違いにスキャンダル、ストーカー、身近な人の裏切りなど、まさに「ジェットコースタードラマ」のような怒濤の展開ですが、読みどころはそれだけではありません。

    彼らを取り巻く人々との葛藤や交流を通して「本当の幸せとは?」「真実の自分とは?」と人生についても考えさせられる、 “大人の小説”になっています。

    幸福のパズル
    著者:折原みと
    発売日:2017年04月
    発行所:講談社
    価格:1,998円(税込)
    ISBNコード:9784062197069

    倉沢みちるは葉山で生まれ育った純粋でひたむきな女の子。高3の夏、老舗ホテルの御曹司の蓮見優斗と恋に落ちるが、花火大会の夜、行き違いから悲しい別れを迎える。

    5年後、再会した二人は急速に惹かれ合う。好きな人と過ごし、好きな小説を書き、人生で初めて幸せに身を委ねたみちるだったが、それは束の間の“幸福”だった……。

    講談社BOOK倶楽部『幸福のパズル』より〉

    作品の舞台である「葉山」の隣町・逗子にお住まいの折原さん。海を臨む高台に建つ瀟洒なお宅と、充実の湘南ライフは、ご自身のオフィシャルブログ「海とわんこと折原みと。」でも紹介されています。

    今回は、そんな折原さんのお仕事場にお邪魔して、作品と日々のお仕事ぶりについてお話を伺いました。

     

    意外にも初めて!『幸福のパズル』はド直球の恋愛小説

    ――『幸福のパズル』はまさに王道の純愛小説ですね。どのようなきっかけで書かれたのですか?

    担当編集者に「今どきあまりないような、ストレートな純愛小説を書いてみませんか」と言われたのがきっかけです。

    私には“恋愛小説を書く作家”というイメージがあるようなのですが、実はこれまで、恋愛オンリーの小説はあまり書いていないんです。確かに、少女小説を書いていたときは10代の女の子の話が多かったので、恋愛は当たり前に入っていました。でもそれも、恋愛そのものではなく、恋愛を縦糸にして、悩みを乗り越えたり、将来の夢に向かってがんばったりしている姿を描きたかったんです。

    『アナトゥール星伝』のようなファンタジー要素のある恋愛モノはあっても、異世界にも行かず、タイムスリップもしない、“普通の恋愛小説”は意外と初めて。それに気づいて「どうしよう」と思いました(笑)。

    しかも三角関係は私の苦手なパターン。今回はいわゆる三角関係ではないけれど、1人の女性と2人の男性がメインの話なので、そこでも「しまった」と思いました。

    ――本作は、ベストセラー作家のみちる、葉山にある老舗ホテルの御曹司・優斗、みちるの担当編集者である龍一の3人を中心に物語が展開していきます。彼らのキャラクターはどのように設定されたのですか。

    それぞれの職業は、プロットの段階から決めていました。作家や編集者は私のよく知る世界で、“ホテルの御曹司”は憧れの世界。最初はざっくりしたところしか決めていなくて、「こういう人なんだな」とわかっていくのは書き始めてからですね。書き進めていく中で、どんどん肉付けされていく感じです。

    ――作品には彼らのほかにも、大手ホテルチェーンの令嬢で、優斗の元恋人でもある愛花や、龍一の大学時代の友人である杉浦、みちるの家族など、3人を取り巻く重要人物が複数登場します。『幸福のパズル』は、それぞれが語り手となる群像劇でもありますね。彼らの思惑に翻弄されて、2人の状況も二転三転していきます。

    昔の大映ドラマや韓流ドラマみたいな、起伏のあるドラマチックな話が書きたかったんです。

    ほかにもベテランの女流作家や出版界ならではのスキャンダルなど、いろいろな要素をおもしろがって入れていったら、思った以上に盛りだくさんになってしまいました。

     

    地元を舞台にするのは「役作り」のため!?

    ――今作の舞台は、お住まいの逗子の隣町・葉山ですね。

    この作品のまえに、『制服のころ、君に恋した。』『天国の郵便ポスト』の2冊を講談社から出しているのですが、その舞台がそれぞれ鎌倉と逗子なんです。“湘南3部作”として南下してきて、今回は葉山になりました。

    ――地元を舞台にされることが多いのですね。

    私はその人物の気持ちにならないと書けないタイプなので、常に「役作り」をする必要があります(笑)。生活圏が舞台だとすぐ取材に行けるので、自分がその場所に行って、その人の気持ちになって思いやセリフを考えています。

    特に今回は、夕方の海に行って、波の音を聞きながらセリフを考えることが多かったです。作品のアイデアを練るときのお気に入りスポットが葉山にあって、いつもそこで日が沈むまで考えごとをしていました。

    ――海辺の風景はもちろん、作品に流れる町の空気感までが立体的で、すぐにでも葉山に行ってみたくなりました。まさにその土地をよく知る方ならではの描写ですね。物語の中盤では安曇野が重要な舞台となりますが、こちらもよく知っている場所だったのですか?

    「みちるが葉山で心身ともにボロボロになって、龍一の実家に身を寄せる」という設定は、最初から考えていました。安曇野は、以前長野県立こども病院を舞台にした漫画(『天使のいる場所~Dr.ぴよこの研修ノート』)を描いていたこともあって、よく行く、土地勘のある場所です。

    ちなみに龍一は「安曇野のりんご園が実家」という設定ですが、これもよく知っている方をモデルにしました。この設定が浮かんだ後インターネットで取材先を探したところ、たまたまそこの奥様が私の読者の方だったんです。それがご縁で仲良くしていただいて、家族構成や雰囲気もほぼ小説に書いた通りのご家族です。摘花や収穫の作業を手伝わせていただいて、作品のモチーフとなるお話も聞くことができました。

    小説も漫画もそうなのですが、取材先の方にお会いすると、ほぼみなさん「そのまま描かせていただきたい」というほどキャラクターが濃いんです。おっしゃる言葉も、そのままセリフにできちゃう感じ。プロのお話は特にそうですし、職業に関することでなくても、実際に体験した人の言葉は私には思いつかないものばかり。

    (作品には)誰かに出会ったからこそできたセリフやシーンがたくさんあります。そういう意味では、私の仕事場は家の外かもしれませんね。

    ――安曇野で心身ともに癒されるみちるですが、一方、自身の家族とはさまざまな問題を抱えています。娘がもたらす大金に人生を狂わせていく父母、作家をめざしていた妹との軋轢など、家族との溝がみちるを孤独にしていきます。御曹司である優斗も家業を背負う身と、「2人の幸せ」だけでは済まない部分も描き込まれていて、「生きていくこと」のリアルさを感じました。

    誰にとっても家族は切り離せないもの。恋愛小説ではありますが、「人生の幸せって何だろう」と模索していく物語でもあるので、その中の一つとして家族関係もきっちり書きたいと思いました。

    「人は愛や恋だけでは生きて行けない」という優斗のセリフがありますが、私もそう思っています。

    愛や恋も「生きること」のピースの一つではあるけれど、人生はそれだけがメインではないですよね。仕事や夢もあるし、恋愛感情だけじゃない、家族や友情など自分の周りの人に対する気持ちやみんなに支えられて生きていること……。

    そういったいろいろがあっての人生なので、「世界は2人のために」なだけの小説は書けないですね。

    ――それにしても、みちるには本当にたくさんの苦難を与えていらっしゃいますね。

    みちるが成功したことで家族はバラバラになってしまいますが、自分はベストセラー作家で、イケメンの御曹司に思いを寄せられている。はたから見たら人もうらやむ状態なのに、「なんでこんなにウジウジしているの」という気持ちがありまして(笑)。みちるにはさまざまな試練を与えたかったんです。

    とはいえ、みちるは本当に普通の女の子。『幸福のパズル』を読んでくださる方の中にも、毎日の生活の中で、仕事や子育て、人間関係などの悩みを抱えている方がいらっしゃると思います。

    途中で小説を書けなくなって、何もかもを失ったみちるが前を向いて生きていく姿に、この小説を自分のこととして受け取っていただけたらうれしいですね。


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