• 料理人でもある作家・樋口直哉さんの、謎解きとうんちくが美味しい6皿のスープの物語

    2017年03月07日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    〈フレンチの料理人としても活躍する作家・樋口直哉さんの『スープの国のお姫様』が、このほど文庫になりました。単行本刊行時(2014年3月)に収録したお仕事場でのインタビューを再掲載します。〉

    作家で料理人。仕事の割合は「半々くらい」。小説の執筆は主に午前中、自宅で。そして、「コックコートを着ると料理人モードになります」。

    この日は都内のキッチンスタジオで、缶詰ブイヤベースの製品開発と撮影用料理の仕事に臨んだ。「自分のキッチンを持たない料理人なんです。テレビ番組用の料理を手掛けたり、生産者の方たちと現地で一緒に食材の商品化や売り方を研究したり。レストランで料理を作って出すよりは裏方仕事に近いかな」

    『スープの国のお姫様』は著者初の料理小説。これまで「料理をモチーフにした小説は書かない」と決めてきた。その意を翻したのは、料理の仕事で東日本大震災の被災地を回り、伝えたい「想い」が生まれたから。そうして書かれたのは、スープのように心を温め、前を向いて歩くための希望をくれる物語である。

    謎解きと料理の薀蓄もたっぷり楽しめる。ポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、偽ウミガメのスープなど、登場するスープは「材料から調理工程まで綿密に書いたので、再現できます」。なんとも美味しい小説だ。

    ▼文庫版には特典として、作中のスープを再現するオリジナルレシピが収録されている。

    スープの国のお姫様
    著者:樋口直哉
    発売日:2017年03月
    発行所:小学館
    価格:724円(税込)
    ISBNコード:9784094064001

    「母と最後に食べた想い出のスープを探しています」
    海沿いの屋敷に料理人として雇われた僕は、雇い主のマダムのために毎晩スープだけをつくる。マダムの孫娘で料理本マニアの千和と、リクエストのなかに隠された“謎”を解いていくが……。

    小学館公式サイト『スープの国のお姫様』より

    「料理のおいしさとは食材、技術、そして物語の力です。誰がつくってくれたか、誰と食べるか、僕らは食べるときに一緒にそんな物語も味わっている。そういった意味では料理と小説は一見すると遠い存在だけれど、自分の中ではつながっています」

    初めて小説を書いたのは約10年前。「当時は自分でお店をやっていて。夜の営業の後にキッチンで伝票を打ち込んでいたとき、思い立って書き始めたんです」。それがデビュー作となった。

    「料理と小説は使う筋肉が異なる感じです。料理をつくるには瞬発力が必要で、食べるのも一瞬です。小説は読むのも書くのも時間がかかります。短距離走とマラソンみたいな違いです。でも、料理も小説も同じように記憶に残る。速度の違いはありますが、どちらも想いを伝えるためには良い方法だと思います」


    樋口直哉 Naoya Higuchi
    1981年東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。作家・料理人。フランス料理の出張料理人として活躍する。2005年「さよならアメリカ」で第48回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作で芥川賞候補となる。著書に『大人ドロップ』『星空の下のひなた。』『アクアノートとクラゲの涙』『キッチン戦争』ほかがある。

    キッチン戦争
    著者:樋口直哉
    発売日:2015年12月
    発行所:講談社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784062198745
    大人ドロップ
    著者:樋口直哉
    発売日:2010年01月
    発行所:小学館
    価格:494円(税込)
    ISBNコード:9784094084597

    (「新刊展望」2014年5月号「創作の現場」より)

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