ショートショートの名手・田丸雅智が贈る全18編の旅『インスタント・ジャーニー』

2017年02月01日
楽しむ
日販 ほんのひきだし編集部 「新刊展望」担当
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「ショートショート」は、原稿用紙20枚程までの、小説の中でも特に短い作品のことを指します。さっと読めてしまうにもかかわらず、あっと驚くようなアイデアと鮮やかな結末で、不思議な余韻に浸れるのがショートショートの魅力。

新世代ショートショートの旗手として注目を集める田丸雅智さんの最新刊『インスタント・ジャーニー』は、フランスや東京、ペルーなどを舞台に、読む人をちょっと不思議な世界旅行へ連れ出してくれる全18編を収録。

担当編集者の方に作品ガイドを寄せていただきました。

インスタント・ジャーニー
著者:田丸雅智
発売日:2017年02月
発行所:実業之日本社
価格:1,620円(税込)
ISBNコード:9784408537016

ひと口5分、こがね色の旅 田丸雅智『インスタント・ジャーニー』

田丸さんのショートショートは田丸さんのショートショートである。
そりゃそうだ、だって田丸さんが書いたんだから。そうなのですが、田丸さんの著書を読むうちに改めて浮かぶ言葉です。

というのも、日本で「ショートショート」と言えばあの方を思い出さずにはいられないでしょう。鋭く強く社会を抉り、黒い笑いで世界を刺した星新一! 田丸さんも多くの作品に親しんだそう。その魅力は2017年を迎えてなお褪せません。2017年、なんて星さんの作中に出てきそうな近未来感ある数字です。人生が旅であるならば、我々に未来を見せてくれた星さんが見ることのなかった未来を我々は旅している。なんだか幸せで贅沢な気もしますが、とにもかくにも、「ショートショート」と「星新一」は反射神経でくっつきがちです。

本作『インスタント・ジャーニー』は、やわらかくて、笑えて、どこか切ない田丸雅智プロデュースの旅がつまった一冊になりました。収録作は当然どれもショートショートに分類される作品ですし、先達が築いたこのジャンルに田丸さんが誇りを持たれているのを感じます。

でもやっぱり、この本には田丸作品ならではの楽しみがたくさん。星さんの物語から珈琲と煙草のエッジある香りが豊かにたゆたっているとすれば、本書はお出かけ先の牧場直営レストランが自信を持って提供するふわふわ卵のオムライス、半熟でちょっと艶のあるトロっとした黄色いアレにぐっとスプーンをさしこんで少々酸味の効いたケチャップライスとあわせると、おお、これは……。

万一お口に合わない場合は食後に珈琲を飲む手もあります。食わず嫌いはもったいない。

担当編集者イチオシの旅先は「セーヌ」です。最後の街まで、ぜひご一緒に。

文・実業之日本社 文芸出版部 砂金有美


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