• 『京都寺町三条のホームズ』の望月麻衣さんインタビュー:京都×不思議×京男子!?の創作の裏側とは

    2017年02月09日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当 猪越
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    『京都寺町三条のホームズ』の望月麻衣さんインタビュー

    小説投稿サイト「エブリスタ」で支持を集めて書籍化された、『京都寺町三条のホームズ』がヒット中の望月麻衣さん。同作は2016年度の京都本大賞も受賞し、京都在住の著者が描く、ご当地ミステリーとしても人気を集めています。

    望月麻衣望月さんにはもうひとつ、京都・祇園が舞台のシリーズ『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』もあり、こちらは1月25日(水)に最新刊が発売されたばかり。

    そんな望月さんに、創作の裏側から京都に対する思いまで、メールインタビューでたっぷりお答えいただきました。

     

    “よそ者”からみた京都を舞台に

    ――望月さんは、『京都寺町三条のホームズ』や『わが家は祇園の拝み屋さん』など京都を舞台にしたミステリーでご活躍ですが、小説を書かれるようになったきっかけについて教えてください。

    子どもの頃の私は、漫画しか読まない子で、活字が苦手でした。そんな私を見かねた母が、「これなら面白いと思うよ」と勧めてくれたのが、赤川次郎先生の『三毛猫ホームズ』シリーズでして、「文字だけなのに、こんなに面白い!」と感動し、将来は赤川次郎先生のように、活字が苦手な人にも面白く読んでもらえる作品を書ける小説家になりたいと思ったのが、夢の始まりです。

    ですが、大人になるに従って、遠い夢と感じるようになり、就職してからは、すっかり執筆からは離れていました。結婚して、主人が転勤族だったので働くこともできない中、昔の趣味を思い出し、再び書き始めたのが、2度目のきっかけです。

    ――『京都寺町三条のホームズ(1~6)』はその名の通り京都・寺町三条の骨董品店「蔵」を舞台にしたミステリー小説で、「寺町のホームズ」と呼ばれる大学院生の家頭清貴と、蔵でアルバイトをすることになった、関東出身の女子高生・真城葵が主人公として登場します。京都の魅力はもちろん、謎あり、古美術の薀蓄あり、2人の恋模様ありと読みどころ満載ですが、どのようなきっかけで書かれたのですか?

    2013年に主人の地元である京都に移住したのですが、北海道出身の私にとって、何もかもが真逆で新鮮で、面白くてたまらなかったんです。住んでみなければ分からない「よそ者」から見た京都。ぜひ、舞台に書きたいと思いました。

    京都を舞台にした作品を書こうと決めた時に、自然と「骨董品店」を舞台にしたいという気持ちも一緒に浮かんできましたので、京都の町と、和洋折衷な骨董品店のイメージが私の中でとても合っていたのかもしれません。

    ▼第6巻まで発売中

    京都寺町三条のホームズ
    著者:望月麻衣
    発売日:2015年04月
    発行所:双葉社
    価格:680円(税込)
    ISBNコード:9784575517750

    ――本作には古美術品に絡む謎がたくさん出てきますが、もともと古美術に興味をお持ちだったのですか? また取材などはどのようにされているのでしょうか? トリックを考える際のご苦労などについてもお聞かせください。

    もともと、古美術に特別詳しいというわけではなかったのですが、アンティークショップの独特な雰囲気が好きでした。京都市内には、本当にたくさんの骨董品店があり、取材と意識していたわけではないのですが、あちこちのお店をお邪魔しまして、いざ「書こう」と決めた時に、どこからそのパワーが出てくるのかというくらいに自分なりに勉強しました。

    それでも、所詮素人の付け焼刃です。そこで私は、自分の中で、「中島誠之助さんのような方を寺町三条のホームズの祖父としよう、そしてその人の教えを吸収して育ったという設定にしよう」と決めまして、中島誠之助さんの本のほとんどを読み、「彼が言っていること」を学び、逆に「彼が言っていないことは書かない」と決め、知識不足でも、嘘だけは書かないと決めました。

    あんなに緩いミステリーですが(笑)、トリックにはいつも苦戦しています。殺人事件もなく読者の興味を引かせるって、意外と難しいんですよね。

    「誰がどうして掛け軸を燃やしたのか」とか、「密室殺人の代わりに、密室で茶碗が割れることにしよう」といった発想から話を膨らませていったり、と毎度生みの苦しみを味わっていまして、その度に、そもそも自分はミステリーを書ける器ではないんだな、と痛感しております。

    ――本シリーズは昨年、「過去1年間に発刊された京都府が舞台の小説から、最も地元の人に読んでほしい作品」を決める第4回京都本大賞を受賞されました。現在京都在住の望月さんは、北海道のご出身だそうですね。「“よそ者”視点で京都を書いた」ということですが、今回の受賞でまさに地元からの「折り紙つき」の作品となりました。改めて受賞のご感想をお聞かせください。

    本当に嬉しく、感謝の言葉しかないです。1巻目を出した時に、京都市内のある書店の女性書店員さんに、「私ね、すごくいけずな目で『どないなもんや』と読ませてもらったんです。けど、驚きました。京都のことよう調べたはります。これ、京都本大賞いけるんじゃないでしょうか? 応援してます」と言っていただけて、その時はありがたく思いながらも、「そんなそんな」と笑っていたんです。

    それから1年後にノミネートされまして、本当に受賞となった時に、これまでのことが思い出されて、胸が熱くなりました。

    編集様方も営業様も尽力してくださいまして、書き手、編集、営業、売り場と、すべての手がひとつにつながった時に、こうした大きな結果が生まれるのかもしれないと思いました。この受賞は、皆様のご協力と応援があって、実現できた奇跡だと思っております。

    おかげさまで、という言葉がありますが、それはやはり表には出ていなくてもたくさんの方々のお力があってのことを指すものだと実感しております。おかげさまで、「京都本大賞」という素晴らしい賞をいただくことができました。本当にありがとうございました。

    ――作品には、寺社仏閣や京都ならではの街並みはもちろん、府民性や京都観も盛り込まれているように感じます。望月さんは京都という町をどのようにとらえられていますか?

    作中において、清貴が「そもそも、京都が東京に首都を譲ったのは、『古都』を護るためだったのではと思っています」と話すシーンがあるのですが、それは私が素直に感じたことで、今も古き良き日本の風情を残す奇跡のような町だと思います。そこに住む府民、市民の皆様は、そんな町に誇りを持っているんだなと感じました。

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