だから「できる人」は紙の本を読む!言語脳科学で説く活字と脳の関係

2017年01月27日
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日販 ほんのひきだし編集部 「新刊展望」担当
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2011年12月に刊行された『脳を創る読書』の文庫版が、この度発売されました。東京大学の酒井邦嘉教授が、言語脳科学の見地から「紙の本 VS 電子書籍」を解説した一冊です。

担当編集者の方から寄せていただいた作品ガイドをお届けします。紙の本を愛する方も、電子書籍派の方も、ぜひ本書をお手に取ってみてください。

脳を創る読書
著者:酒井邦嘉
発売日:2017年02月
発行所:実業之日本社
価格:713円(税込)
ISBNコード:9784408456812

 

紙の本と脳の関係を説き、人工物と人の関係を問う!

アップルの『iPad』が発売され、電子書籍元年といわれた2010年から1年後、本書は単行本として発刊された。当時は、「書籍の電子化」の流れがいや応なしに加速していたタイミング。本書も「紙の本 VS 電子書籍」という打ち出し方をし、幸運にも何度か重版がかかる書籍となった。

当時から5年ほど経ったいま、電子書籍は着実に浸透しつつある。文庫化の担当者自身、電子書籍を購入する機会が増えた。手軽に何十冊と持ち運べて、必要と思った本をどこにいてもすぐに購入できるのは、やはり便利なのだ。

とはいえ、自分のなかに何となくの使い分けがある。ざっと内容を知りたい時は電子書籍、しっかり精読したい時は紙の本を自然と選んでいる。まわりも「絶対に紙の本」「すべて電子書籍がいい」と、どちらかに偏っている人は少なく、それぞれのなかで「共存」している人のほうが多いように思える。

なぜ、偏ることなく、そんな使い分けをしているのだろうか。その答えを本書に見いだすことができる。それは感覚論ではなく、脳の特性にもとづく、科学的な理由だ。紙の本は、存在感、風合い、におい、手ざわりを味わえる――紙の本の信奉者が、その良さとして挙げる感覚的な理由は、決して的外れではない。

精読するために紙の本を読むことが、脳にどんな影響を及ぼすか、その科学的な根拠はぜひ、本書を読んでいただきたい。「読む」ことだけでなく「書く」こと、さらには文字そのものの重要性にも気づかされるだろう。

技術は常にアップデートされ、電子化は、もはや書籍だけの話ではなく、現実の世界そのものがVR技術、AR技術によって変わっていく可能性がある。もっといえば、脳そのものが人工知能(AI)に取って代わられる予感さえ漂う。とはいえ、文字の発明から数千年かけて創られた人間の脳の特性はすぐには変わらない、という現実もある。

『脳を創る読書』は、あくまで脳と紙の本、電子書籍の関係性をテーマにしてはいる。しかし、あるゆることが機械化・電子化されるという時代に、人間はどう対応すべきなのか、という視点で読んでみても、本書に記された内容は、単行本発売から5年経ったいまも、色あせること無く新鮮で刺激的だ。

(文・実業之日本社 編集第一グループ 田口卓)


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