• 「白雪姫」の王妃は有罪か無罪か?『昔話法廷』が面白い

    2017年01月20日
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    日販 仕入部 齋藤(児童書担当)
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    ある国に、雪のように白い肌をしていることから「白雪姫」と呼ばれている美しいお姫様がいました。しかし実の母親は産後まもなく亡くなり、新しい王妃が迎え入れられます。継母の王妃は、自分がこの世で一番美しいと信じていました。

    「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」

    魔法の鏡が「それは白雪姫です」と答えたことに腹を立てた王妃は、猟師に白雪姫を殺すよう言いつけます。しかし猟師は姫に同情し、森の奥へ逃がしてあげました。

    森をさまよっていた白雪姫は、七人のこびとに出会い、一緒に暮らします。しかしそこへ、物売りに化けた王妃が現れます。

    物売りから受け取った毒リンゴをかじり、息を引き取った白雪姫。遺体となってもなお美しい姫を、小人たちはガラスの棺に入れて森の中へ置いておきました……。

    物語はまだ続きますが、ここで問題。

    王妃は現在の法律で、どんな罪に問われるでしょうか?

     

    昔話の登場人物を裁判にかける「昔話法廷」

    このように、馴染みのある昔話を題材に裁判員裁判を行うのが「昔話法廷」というNHK Eテレの番組です(2015年・2016年に放送)。私たちは裁判員に選ばれた大学生の立場で、彼らの供述を聞き、判決を考えていきます。

    あくまで真面目に彼らの罪について考えるこの番組は、視聴者の間で話題になり、番組では判決が出されないため、放送後には判決をめぐって議論が飛び交いました。

    昨年8月に発売された書籍版には、「三匹のこぶた」「かちかち山」「白雪姫」の3つが収められています。

    被告として出廷するのは、冒頭で紹介した「白雪姫」の王妃と、「三匹のこぶた」でオオカミを殺した末っ子のブタ、タヌキに様々な仕打ちをした「カチカチ山」のウサギです。

     

    「白雪姫」裁判の争点はどこにあるか?

    話を「白雪姫」に戻しましょう。王妃は大方の予想通り、「殺人未遂罪」に問われます。

    しかし当然と思われた検察側の主張に対し、王妃はこう反論するのです。

    「まるでちがいます! わたくしは、白雪姫に会いにいってなんかいません!」
    射ぬくような目で裁判長をみながら、王妃はきっぱりと否定した。
    王妃の答えを聞いた瞬間、白雪姫の表情がくもる。その顔には“なぜそんなうそを!”と書いてあるようにみえた。

    この裁判の争点は、「白雪姫に毒リンゴを渡した物売りは、本当に変装した王妃だったのか」というところにあります。王妃の弁護人は「犯行に使われたリンゴに、お妃様の指紋はついていなかった」と無罪を主張。王妃自らも白雪姫の供述の矛盾をつき、主張の虚偽を暴きます。

    これに対し白雪姫側は、犯行前に王妃がインターネットで「おいしいリンゴ」を検索していたという証拠を提出。しかし王妃はそれについても反論します。

    だんだん「もしかしたら王妃は無罪になるんじゃないか」と思えてきませんか? それでは「疑わしきは罰せず」にならい、王妃を裁くべきではないのでしょうか。

    この後の展開は、ぜひ『昔話法廷』を実際に読んでお確かめください。書籍版には、番組では放送されなかった「裁判長・裁判官・裁判員による評議の様子」も収録されています。

    昔話法廷
    著者:日本放送協会 いまいまさこ イマセン 伊野孝行
    発売日:2016年08月
    発行所:金の星社
    価格:1,404円(税込)
    ISBNコード:9784323073651

    三匹のこぶたは殺人罪か正当防衛で無罪か? カチカチ山のウサギに執行猶予は? 王妃は有罪か無罪か? おなじみの昔話の登場人物が現代の法廷で裁かれる。裁判員制度を考える話題のNHK Eテレの番組を小説化。

    金の星社公式HP『昔話法廷』より)

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