週プレは「トラブルを歓迎しろ」! 文・「週刊プレイボーイ」編集長 増田真晃

2017年01月12日
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日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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神田神保町にある週刊プレイボーイ編集部。一番窓際にある僕のデスクの横の柱には、額に入れられたある言葉が、ひっそりと飾られています。

【編集者マグナ・カルタ九章】
読め。
耳をたてろ。
眼をひらいたままで眠れ。
右足で一歩一歩歩きつつ、
左足で跳べ。
トラブルを歓迎しろ。
遊べ。
飲め。
抱け。抱かれろ。
森羅万象に多情多恨たれ。
補遺一つ。女に泣かされろ。
上の諸原則を毎食前食後、
欠かさず暗誦なさるべし。

これは、およそ30年前、週プレで人生相談『風に訊け』を連載されていた作家の開高健先生から、編集スタッフに贈られた言葉です。

「世の中に敏感であれ。慎重に、時に大胆に。多くを経験し、多感であれ」

拙い解釈ですが、こういうことでしょうか。現在、毎食前食後に暗誦しているスタッフの姿を見たことはありません。ただ、仕事で迷ったとき、悩んだとき、弱気になったとき、この言葉を思い出すスタッフは多いはず。僕も、そのひとりです。

 

早朝の電話はトラブルの予感!

それは昨年10月初旬の土曜日のこと。校了明けで昼過ぎに起きた僕は、スマホの画面を見た瞬間、イヤな胸騒ぎを覚えました。

編集部員のCから、朝の6時30分に着信アリ。しかも留守電アリ。

スタッフから深夜・早朝に電話がかかってきた場合、トラブル以外に考えられません。校了ミスやっちゃった!?

「朝早くにすいません、Cです。Oさんが『す○ざんまい』のトイレで倒れて頭を打ちました。頭蓋骨が割れて、今、病院です。また電話します」

まだ校了ミスのほうがよかった……。しかし、すぐに頭を切り替えます。なにしろ常勤スタッフは30人以上。週に一冊作っていれば、ミスも起こるし事故も事件(?)も起こる。そう、週刊誌にトラブルはつきものです。すぐに折り返し、状況確認とその後の対応を指示しました。

結局、幸いなことに大事には至らず。O君は即日退院し、その後の精密検査でも異常なしと診断。現在は以前と変わらず、バリバリ仕事をしています。

 

創刊50周年記念出版『熱狂』

昨年、多くの関係者の方々、読者の皆様のおかげで、週プレは創刊50周年を迎えることができました。

この「半世紀」という年月の重みを改めて感じさせてくれたのが、創刊50周年記念出版の『熱狂』です。

熱狂
発売日:2016年10月
発行所:集英社
価格:1,944円(税込)
ISBNコード:9784081022243

B5判320ページに、50年分のバックナンバー2,400冊以上から厳選したグラビア、活版記事をつめこんだ一冊。そこには“週プレ・イズム”の歴史が、確かに刻まれています。ちなみにさっきの事件は、この『熱狂』の最終校了が終わった、まさに数時間後に起こったのでした。

ページをめくっていると、ふと思います。この50年、週プレはいくつのトラブルを乗り越えてきたのか? こだわって、ぶつかって、粘って作ったページからは、歴代編集者たちの溢れんばかりの“熱”が伝わってきます。そこには数え切れないほどのトラブルがあったはず。でも、それを恐れていたらおもしろいページなんてできっこない、そう再確認できるんです。

とはいえ、「トラブルを歓迎しろ」の境地には、僕自身、いまだ達することはできていません。すいません、開高先生――横の柱を見るたび、そう思う日々です。


集英社「週刊プレイボーイ」編集長
増田真晃―MASUDA Masaakira
1967年神奈川県出身。1992年集英社に入社。「週刊少年ジャンプ」「週刊プレイボーイ」「Sportiva」を経て、2015年6月より現職。


「週刊プレイボーイ」
グラビアから政治、スポーツ、仕事、クルマ、アダルト、UFOまで、男の好奇心を刺激する週刊誌。新年3・4合併号(1月5日発売)表紙&巻頭カラーは馬場ふみか。石川恋、久松郁実ほか、グラドル温泉旅行のDVDつき!

週刊 プレイボーイ 2017年 1/23号
著者:
発売日:2017年01月05日
発行所:集英社
価格:500円(税込)
JANコード:4910206740173

(「日販通信」2017年1月号「編集長雑記」より転載)

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