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    「マンガで人生を豊かにしてきた自覚はあります」諏訪道彦さん(読売テレビ アニメーション部エグゼクティブプロデューサー)―各界注目の人が選ぶ「これが俺の学習マンガだ!」第7回

    2016年12月28日
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    日販 ほんのひきだし編集部 芝原
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    「これが俺の学習マンガだ!」第7回選者は、「名探偵コナン」「犬夜叉」のプロデュースを手掛けた読売テレビ・諏訪道彦さん!

    これまでに読んできた漫画の中から、自分にとって学びになったと思うものを選ぶ「これが俺の学習マンガだ!」。この連載では各界注目の人に、ご自身にとっての「学習マンガ」を選んでいただき、選んだ理由とともにランキング形式でご紹介しています。

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    第7回の選者は、読売テレビ編成局アニメーション部でエグゼクティブプロデューサーを務める諏訪道彦さん。「名探偵コナン」「金田一少年の事件簿」「犬夜叉」など、これまで数多くのアニメを企画・プロデュースしてきた諏訪さんにとっての「学習マンガ」は、一体どんなものなのでしょうか?

    諏訪道彦

    諏訪道彦(読売テレビ編成局 アニメーション部 エグゼクティブプロデューサー)
    大阪大学工学部環境工学科卒業、読売テレビ入社。バラエティ番組「11PM」でアシスタントディレクターとして修行した後、2年半のディレクター経験を経て、東京支社編成部へ異動。初めてプロデュースした作品は1986年「ロボタン」で、以降月曜7時枠のアニメを数多く企画プロデュース。アニメだけでなく「悪女」「お茶の間」「本家のヨメ」といったドラマ作品も手掛ける。1996年「名探偵コナン」を企画プロデュース、他に「YAWARA!」「コボちゃん」「魔法騎士レイアース」「金田一少年の事件簿」「犬夜叉」「ブラック・ジャック」「結界師」「ヤッターマン」「電波教師」など。2013年、劇場版「名探偵コナン」シリーズで第32回藤本賞特別賞を受賞。

     

    これが諏訪道彦さんの「学習マンガ」だ!

     

    第1位『名探偵コナン』

    名探偵コナン 1
    著者:青山剛昌
    発売日:1994年06月
    発行所:小学館
    価格:463円(税込)
    ISBNコード:9784091233714

    ホームズばりの推理力で、大活躍の高校生名探偵・工藤新一。ところがある日、事件を追っていた彼は、妙な薬の力で、なんと子供に戻ってしまった…!?仮の名を“江戸川コナン”。小さな名探偵が登場だ!!

    小学館『名探偵コナン』より)

    もう、ボクとしては「言わずもがな」な作品です。「学習マンガ」というジャンルにはアタマの回転を良くする効果なども当然含まれるし、なによりこの漫画はラブコメ要素が多い。世の子どもたちが成長する際に、恋愛要素をのぞくことは難しい。事件じゃなくとも何かのトラブルに並行して、ラブコメストーリーも成立しているというのが、特におすすめしたい点です。もちろんミステリーとしての、「身体は子ども、頭脳は大人」な主人公の突出したシャープな謎解きがメインであることは異論がないですよね。その思考回路自体が学習要素でもある、驚異的な名作であります。

     

    第2位『ブラック・ジャック』

    ブラック・ジャック 1
    著者:手塚治虫
    発売日:2010年06月
    発行所:講談社
    価格:972円(税込)
    ISBNコード:9784063737585

    これはおおげさじゃなく、日本人のバイブルです。医学的な要素が全面的に打ち出されてはいますが、一人の男の主人公が、自分の持つスキルを時には最大限に見せつけ、時には陰にまわって、相対するゲストの命を左右する。難病の手術シーンなどもありますが、学習すべきはブラック・ジャックの「メスを持つことに対する哲学」かと。自分の師匠やライバル、果ては医療道具職人など、周りの人たちとのつながりにおいて、彼の外科的哲学が常に印象付けられます。そして特筆すべきは、自ら創りだしたピノコの存在。すべての要素が、人はどう生きるべきかの指針になっている超名作です。

     

    第3位『金田一少年の事件簿』

    金田一少年の事件簿 1
    著者:さとうふみや 金成陽三郎
    発売日:1993年02月
    発行所:講談社
    価格:409円(税込)
    ISBNコード:9784063118742

    これは第1位の『名探偵コナン』に似ているところもあるのですが、江戸川コナンが子どもの立ち位置で上手に勝負できるのに対して、金田一一はあくまでイチ平凡な高校2年生であるところがポイントです。あたりまえに見えるかもしれませんが、高校生探偵なんてそうそう名乗れるものではありません。年齢的に等身大なキャラクターが、どうしても防げない事件に巻き込まれながら、最終的に事件の全容と真犯人を暴く。その切れ味鋭い思考過程には、ボクたちが日常に味わうさまざまなトラブルを重ねることができてしまいます。

    ある時期には、金田一とコナンを2階建てでテレビ放送するという快挙(?)ができていました。その3年半を視聴していた柔らかい頭脳の世代は、おそらく社会に出ても強く柔軟に対応して生きているだろう、そう確信しています。

     

    諏訪道彦さん、選んでみてどうでしたか?

    諏訪道彦さんより:
    ボクは中学2年生の頃に2か月間入院したことがあり、その時に母親からいくつかの「虫コミックス」を買ってきてもらったことから、本格的に漫画読みの世界に入りました。もちろん小さい頃から、お隣の年上のお兄ちゃんが持っていた「少年」誌をむさぼり読んではいましたが。

    『鉄腕アトム』『鉄人28号』にならんで強烈に残っている漫画は、『ストップ!にいちゃん』。お小遣いの範囲もあって際限なく漫画を買えないため、2軒しかない近所の古本屋は完全に顔見知りとなり、果ては「初版しか手に入れない」という妙な方向に進んでしまったボクの実家には、今、3000冊ほどの漫画があります。読売テレビに入社できたのも、5回の面接で漫画の良さ、すなわち「ハードカバーなどの文学モノを読むのも大切だけど、漫画だって一冊一冊のもつ面白さや内容の充実は変わらない」ということを力説できたからかな、と思っています。

    「日本の将来を背負って立つべき若者が、電車の中で漫画を読み、笑っているのは嘆かわしい」などの発言が、新聞の社説横に載っていた時代です。でも、そのどこが悪いというのでしょうか。楽しめる要素が多様な漫画のチカラを、心から信じていました。そんなボクがなぜか、アニメプロデューサーとしてもう30年も、作品作りに携わることができています。まあボクのパターンはなかなか無いかもしれませんが、漫画で人生を豊かにしてきた自覚はあります。なかなか電車内で漫画雑誌を読む姿を見かけなくなってきてしまいましたが、毎週毎週の漫画雑誌を楽しみに、心躍りながらページをめくっていける喜びを、ボクは忘れないでいこうと思っています。

     

    これが俺の学習マンガだ!とは?

    「これが俺の学習マンガだ!」は、日本財団が主催する「これも学習マンガだ!」 の連動企画。「これは自分にとって学びになった」「新しい世界を知った」という作品をランキングにしてWeb上に投稿し、SNSでシェアすることができます。なお投稿された作品やランキングは集計され、「総合ランキング」として2017年1月に発表される予定です。

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