デフ・ヴォイス

あなたは「CODA」を知っていますか?

2016年11月16日
楽しむ
有地和毅(日販 販売企画部)
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コーダの目に映る世界がどんなものか、想像したことがあるだろうか

あなたは「コーダ(CODA)」を知っていますか?

コーダとは「Children of Deaf Adults」の頭文字をとったもの、「聴こえない親のいる、聴こえる子ども」のことをいいます。生まれた時から聴こえない者(ろう者)の世界と深く関わりつつも、聴こえる者(聴者)の世界にも身を置く、どちらでもあってどちらでもないような存在。あなたはコーダであるということや、コーダの目に映る世界について、どんなふうに想像するでしょうか?

2011年7月、そんなコーダを主人公にした小説が発売されました。丸山正樹さんの『デフ・ヴォイス』です。2015年8月には文庫版が発売され、それ以降じわじわと売れ続けて、2016年10月末にはついに3刷に至りました。

デフ・ヴォイス
著者:丸山正樹
発売日:2015年08月
発行所:文藝春秋
価格:702円(税込)
ISBNコード:9784167904203

下のグラフは『デフ・ヴォイス』文庫版の売れ行きを示したもの(日販 オープンネットワークWIN調べ)。今や全国の書店に広がり、大きく動き始めています。

『デフ・ヴォイス』の売れ行き

いったい『デフ・ヴォイス』の何が、読者の心をとらえているのでしょうか?

 

コーダから見た世界

『デフ・ヴォイス』は冒頭でも紹介したように、小説です。結婚に失敗し、仕事でも挫折した主人公が、生活のために手話通訳士の資格を取り、刑事事件の被告になったろう者の通訳を依頼されるところから物語は始まります。

ろう者とも聴者とも違い「コーダ」から世界を見るというのは、ほとんどの読者にとっては未知の体験かと思います。聴こえない者のことも、聴こえる者のことも想像できるけれど、そのどちらの感覚もわかるコーダのことを想像するのは、どこか難しい。そんなコーダの自意識へと分け入っていく本は、専門書以外にはあまりありません。またこれを読んだ皆さんは、無意識のうちに自分自身の日常的なコミュニケーションが俎上に載せられていることに気づき、まるでナイフを突きつけられているような強烈な感覚をおぼえることでしょう。これが『デフ・ヴォイス』の最大の魅力です。

そしてそれを後押しする、力強い物語。読み始めるとすぐに絡め取られてしまい、文字を追う目の動きが、ページをめくる手が、どんどん加速して止まりません! 実際に読んでみて、社会派要素とミステリーがこんなに絶妙なバランスでまとまった作品は滅多にないと感じました。

読み終えた時に残る生々しさが気づかせてくれるのは、未知の世界と思われたものが、別世界ではなく地続きだということ。『デフ・ヴォイス』があなたに与えるであろう大きな動揺は、あなたが今見ている世界を、少しだけ、でも確実に変えると思います。

『デフ・ヴォイス』を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。

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(写真協力:あゆみBOOKS小石川店)

また、もし『デフ・ヴォイス』を読んでコーダのことを知りたくなったら、澁谷智子さんの著書『コーダの世界』(医学書院)を読んでみてください。ろう者のこと、聴者のこと、聴こえないこと、聴こえることが、コーダの視点に立つことでこんなにも豊かに広がっていくのかと驚くはずです。

コーダの世界
著者:澁谷智子
発売日:2009年09月
発行所:医学書院
価格:2,160円(税込)
ISBNコード:9784260009539
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