ニュータイプ 君の名は。

「君の名は。」を表紙にした理由 文・「Newtype」編集長 角 清人

2016年11月04日
楽しむ
日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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新海誠監督の映画「君の名は。」が大ヒットしていますね。この文章が公開されるころ、どこまで興行収入を伸ばしているのか、想像もつきません。Newtypeでも、8月9日に発売した9月号で表紙を飾っていただきました。先日ある方から、「公開前の表紙は意外でした。(KADOKAWAが)出資しているからですよね?」的なことを言われたのですが……まあ、外からはそう見えるんですかね……でも、違うんですよ!!

Newtypeって、「ファイブスター物語」という独自の連載を軸に、誌名の由来となった「ガンダム」シリーズ、「エヴァ」や「まどマギ」といった、各時代を代表するアニメオリジナル作品と絶妙な距離感をつくりあげることで、今のポジションを築いてきた、というのが僕自身のイメージです。こんなこと書くと周りから怒られそうですが、KADOKAWA関連の作品だからといって、少なくとも表紙展開に関しては、特別扱いをしていません。

話を戻しましょう。僕が「君の名は。」に最初に触れたのは、たしか昨年の9月ごろ。出資を検討しているという社内の偉い人から、企画書と決定前のシナリオをもとに、意見を求められたことで、ファーストコンタクトを果たしました。タイトルも仮の状態だったと思います。結局、あまり時間がなかったこともあり、新作の分析というよりは、過去の新海作品に対するNewtypeのアプローチの実績などをまとめつつ、新作公開のあかつきには出資の有無にかかわらず、表紙展開も検討するつもりである旨を書面にまとめて提出しました。内容もさることながら、「心が叫びたがってるんだ。」でも表紙イラストを描いてくださった田中将賀さんが参加していることも、企画を好意的に受け止める一因だったと思います。

その後、映画の正式発表を機に様々な情報が見えてきました。そして、ことしの5月下旬、表紙のオファーを決めました。でもその時点では、正直なことを言えば、かなり迷いはありました。シナリオは間違いなくおもしろい。公開規模など東宝さんの力のいれ方もハンパなさそう。でも、雑誌の発売から公開まで2週間以上ある。いくら新海監督の新作とはいえ、まったくのオリジナル。過去の実績と照らし合せて、製作側が期待するほど客が集まるのか。そもそも、映画がヒットしたとしても、それがアニメ誌の購買層にイコールとはならないわけで……。

じゃあ、なんで決めたの?と言われると、結局のところ、「いい映画になりそうだから」という、期待感。あと、アニメ誌として新海監督の新作を盛り上げたい、みたいな使命感とでも言いますか……。少なくとも普段Newtypeを買ってくれる人たちには、オススメしてもいいんじゃないか、と。(補足ですが、アニメ誌の場合、表紙イラストを描き下ろしてもらうことが通例なので、遅くとも発売の2か月前くらいには表紙作品を決める必要があります)

7月に入って、マスコミ試写が始まりました。そこでようやく完成した映像を見たのですが、「ああ、表紙をオファーしてよかったな」と素直に思えました。公開後の超がつくほどのブレイクはさすがに予想できませんでしたが、アニメファンに限らず、より多くの人が見てくれる映画になっている、そんな印象を受けました。

「君の名は。」の公開は、日本のアニメ史に一つの事件として刻まれるかもしれません。そんな作品を表紙に据えられたことは、ちょっと誇りに思えます。僕自身、7月に編集長代理から編集長になり、まさに「君の名は。」の表紙号が、自分の名前が編集長としてクレジットされた最初でした。そのくらいは自慢しても……いいですかね?


KADOKAWA「Newtype」編集長
角 清人―KADO Kiyohito
1977年生まれ。2001年KADOKAWA(旧角川書店)入社。「週刊ザテレビジョン」を経て、2008年より「Newtype」の編集を担当。2016年7月に同誌編集長に就任。


「Newtype」
アニメーションを中心に映像作品を取り扱う。創刊翌年の1986年に始まる永野護の連載コミック「ファイブスター物語」は今なお続く人気作。12月号(11月10日発売)の表紙は「文豪ストレイドッグス」。「君の名は。」の付録や新海誠監督のロングインタビューなども予定している。

Newtype (ニュータイプ) 2016年 12月号
著者:
発売日:2016年11月10日
発行所:KADOKAWA
価格:800円(税込)
JANコード:4910070091265

(「日販通信」2016年11月号「編集長雑記」より転載)

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