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参勤交代の次は「伊勢参り」!土橋章宏さん新刊『駄犬道中おかげ参り』インタビュー

2016年10月14日
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日販 ほんのひきだし編集部 「新刊展望」担当
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「代参犬」という言葉をご存じだろうか。江戸時代、旅ができない人の代わりに「お伊勢参り」をし、お札をもらって帰ってきた犬のこと。その存在を知って生まれたのが、土橋章宏さんの新刊『駄犬道中おかげ参り』だ。

駄犬道中おかげ参り
著者:土橋章宏
発売日:2016年09月
発行所:小学館
価格:1,620円(税込)
ISBNコード:9784093864534

「義妹が飼っている犬がまさに駄犬で、加齢臭に寄ってくるのか、とにかくおっさんが好き。なかなか歩かないし、すぐ疲れたとカートに乗ってくる」。そんな“ダメっぷり”をモデルにした代参犬と訳ありの三人が、笑いあり、涙ありの珍道中を繰り広げる。

時は天保元年(1830年)の「おかげ年」。60年に一度というこの年に伊勢参りをすると、特別な“お蔭(恩恵)”を授かるといわれている。博徒の辰五郎は深川の賭場で大負けし、多額の借金に夜逃げを覚悟するが、その夜“お伊勢講”のくじにあたり、長屋を代表して伊勢へと出かけることに。道中、代参犬の翁丸、奉公先を抜け出してきた子供の三吉、世をはかなむ美女・沙夜と出会い、共に伊勢へと向かう中、それぞれが大切なものを見つけていく。

辰五郎は「寅さん」のようなイメージの渡世人だが、三吉は今でいうブラックな奉公先から逃げ出してきた子ども。沙夜は現代女性と通じる悩みを抱えている。

脚本を務め、映画も大ヒットを記録した『超高速!参勤交代』のシリーズをはじめ、土橋さんはこれまでの作品にも現代の世相を反映させてきた。「現代物だと制約があるし、犯罪が起きればすぐに警察が出てきて逮捕されてしまう。時代物のほうが人は簡単に命を落とすし、携帯電話もないので危機に陥りやすい。極限状態で人が何を選ぶのかということに迫りやすいんです」

超高速!参勤交代
著者:土橋章宏
発売日:2015年04月
発行所:講談社
価格:810円(税込)
ISBNコード:9784062930635

目指したのは「弥次喜多」のようなおもしろさ。「一緒に旅するうちに三人の悩みが解決し、見知らぬ者同士が家族になっていく」。そのでこぼこでユーモラスな道程が、痛快なエピソードと人情味あふれる人間ドラマで綴られていく。

「現代社会に疲れてしまっている人が、こういう小説を読んで〈もう少しいい加減でもいいんじゃないか〉〈もっと遊びたいな〉と思ってもらえたらいいなと思って」

小説と脚本の二足のわらじで大活躍。土橋さん自身も今年は休みが取れないほどの忙しさだが、本作は自身の趣味や願望を詰め込んで、「一番楽しく書いている」作品。

お伊勢参りは江戸時代から続く庶民の娯楽でもある。近年はパワースポットとしても注目を集めているが、「名物が各宿場に用意されていて温泉や観光名所もいっぱい。富士山も海も見えるし、東海道はいま旅しても楽しいところ」。ガイドとして、また居ながらにして「読んで旅する気分を味わってもらえたら」。

「週刊ポスト」ではすでに続編が連載中。辰五郎たち一行は金毘羅へと足を延ばしている。「歩いていないところもたくさんあるので、彼らにはまだまだ旅をさせてあげたいですね」。今後の展開にも要注目だ。


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土橋章宏 Akihiro Dobashi
1969年、大阪府豊中市生まれ。関西大学工学部卒。2011年、「超高速!参勤交代」で第37回城戸賞を同賞初の審査員オール満点で受賞。2013年小説『超高速!参勤交代』で作家デビュー。2014年公開の同名映画のシナリオで第38回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。他の著書に『幕末まらそん侍』『超高速!参勤交代 老中の逆襲』『引っ越し大名三千里』などがある。


(「新刊展望」2016年11月号「著者とその本」より転載)

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