• 「これ、本当にフィクションですよね?」ホラー作家・三津田信三による連作短編集『怪談のテープ起こし』

    2016年08月15日
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    夏らしく暑い日々が続いていますね。こんな季節はブルッと震えるような怖い話で、少しでも涼しさを感じたいという方が多いのではないでしょうか? 今回は、そんなあなたにぴったりのホラー小説をご紹介します。

    ……と言いながら、もしかすると今回ご紹介するこの作品は、その用途には当てはまらないかもしれません。なぜならば「シャレにならないくらい怖すぎるから」です。まえがきには「読書中に怪異を感じたら、一旦気分転換をするように」という旨の注意書きがありますが、人によってはこの記事を読んでいる間に、早くも“怪異”を感じてしまうのではないでしょうか……。

     

    事実か創作か? 「自殺者が録音したテープ」の起こし作業から始まる戦慄のホラー

    怪談のテープ起こし
    著者:三津田信三
    発売日:2016年07月
    発行所:集英社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784087716689

    [日販MARCより]
    自殺する者は何を語るのか。老人の、夢とも現実ともつかぬ不気味な昔話の真相は。著者が見聞きした特異な心霊話。その戦慄のテープ起こしが今、始まる…。怪談6篇と、ある編集者の顛末。

    今回ご紹介する『怪談のテープ起こし』は、三津田信三さんが作家になる前の編集者時代に取材・体験した出来事をベースにした連作短編集。物語は、三津田さん自身のもとに「自殺する間際に、家族や友人や世間に向けたメッセージをカセットテープに吹き込む人が、たまにいる。それらを集めて原稿に起こしたい」という企画が持ち込まれるところから始まります。

    あくまで「小説」として書かれたものですが、実在の出版社や雑誌の名前が飛び交う内容に、「果たしてどこまでが創作なのだろうか」と、出版業界関係者を中心に話題沸騰中です。

     

    書店員も戦慄!「これ、本当にフィクションですよね?」

    集英社の読書情報誌「青春と読書」8月号には、ときわ書房本店・宇田川拓也さんによる書評が掲載されています。

    これ、本当にフィクションですよね?

    まさか集英社が、この恐るべき実話を刊行してしまうとは――と、つい書き出したくなるほど、三津田信三『怪談のテープ起こし』が読み手にもたらす底なしの気味悪さは真に迫っている。

    本作は「小説すばる」に不定期連載された六つの怪奇短編をまとめたものだ。

    失踪したフリーライターから託された、自殺者の死に際の声が入った三本のカセットテープの怪(死人のテープ起こし)。豪邸で留守番をするだけの奇妙なバイト中に女子大生が遭遇した恐怖(留守番の夜)。初対面の三人とハイキングすることになった大学生が、のちに山へ行けなくなってしまった忌まわしい理由(集まった四人)。入院中の母親と同室のいわく有りげな老人が、うわ言のように繰り返す可怪しな話(屍と寝るな)。雨も降っていないのに全身黄色の雨具を着けて出没する謎の女(黄雨女)。なぜかマンションの部屋の前に一輪挿しが置かれて以降、不気味な“黒い人”とすれ違ってしまう女性に待ち受けるゾッとする結末(すれちがうもの)。いずれも昼間の賑やかな公園で読んだとしても怖気立つこと必至な極上の恐怖譚だが、本作は単なる怪奇短編集のままでは終わらない。

    連載から書籍化までの間に著者と担当編集者らが体験した怪異の顛末が、《序章》、《幕間》、《終章》として挟まれており、これがフィクションの境界線をみるみる幽かにしてしまうから恐ろしいことこの上ない。他人事だと高を括っていたことが、じつはそうではなかった――これほど背筋の凍る瞬間はあるまい。

    終盤で著者は、当代随一のホラーミステリ作家ならではの説を唱え、本作に秘められた禍々しい貌を読み手に垣間見せる。読了とともに発動するこの仕掛けには、ただ声を失い、呆然とするしかない。

    ところで、本稿を書いているいま、まとわりつく不穏な気配に肌を粟立たせながら、私は“あること”が気になって仕方がない。まさかとは思うが……。

    これ、本当にフィクションですよね?

    うだがわ・たくや 書店員(ときわ書房本店)
    「青春と読書」8月号より)

    また雑誌「ダ・ヴィンチ」9月号のホラー怪談特集でも、この夏おすすめのホラー新刊として『怪談のテープ起こし』が三津田さんのインタビューとともに紹介されています。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!

    ダ・ヴィンチ 2016年 09月号
    著者:
    発売日:2016年08月06日
    発行所:KADOKAWA
    価格:700円(税込)
    JANコード:4910059870966

     

    三津田信三さんってどんな人?

    三津田信三さんは、編集者を経て2001年に『ホラー作家の棲む家』(『忌館 ホラー作家の棲む家』として文庫版も発売)でデビューした作家。ホラーと本格ミステリの両ジャンルで執筆を続け、2010年には『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞 小説部門を受賞。代表作に「刀城言耶」シリーズや「死相学探偵」シリーズがあるほか、2016年には『のぞきめ』が映画化されています。

    ***

    ……『怪談のテープ起こし』のご紹介はここまで。何事もなく最後まで読んだあなたには、相当のホラー耐性があるようです。果たして『怪談のテープ起こし』も、最後まで逃げ出さずに読むことができるでしょうか? ぜひとも挑戦してみてくださいね。

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