『ルドルフとイッパイアッテナ』の著者・斉藤洋さんが教える『童話作家になる方法』

2016年07月28日
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日販 ほんのひきだし編集部 「新刊展望」担当
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シリーズ4作で100万部突破の児童文学『ルドルフとイッパイアッテナ』がこの夏、映画化される。

『ルドルフとイッパイアッテナ』が生まれたのは1987年。30年にわたって読み継がれてきた名作であり、数々の人気作を生み出してきた斉藤洋さんのデビュー作でもある。

岐阜で飼いねことして幸せに暮らしていた黒ねこのルドルフは、ある日魚屋でししゃもを盗み、店主に追いかけられる。トラックの荷台に逃げ込むと同時に、店主の投げたモップが頭に当たり気絶。気づいたときには東京へと運ばれてしまっていた。その地でルドルフは、町のボスであるトラねこのイッパイアッテナと出会う。ノラねことしての生き方や教養を教わり、金物屋の飼いねこブッチーやブルドッグのデビルなど、仲間とさまざまなことを学んでいく。

「毎晩自分の本を寝る前に読むと、意見が一緒だなと安らかに眠れる(笑)」という斉藤さん。

この度上梓された『童話作家になる方法』は、2002年に刊行された『童話作家はいかが』に加筆、修正を加えたもの。映画化を機に書き足された「ルドルフ」の誕生秘話から、作品の読み返しや4巻へと巻を重ねることで気付いた「シリーズのもう一匹の主人公」についてまで見逃せない内容ばかり。タイトルが示す通り、「童話作家になる方法」や「児童書をめぐる舞台裏」も率直に書かれており、作家を目指す人はもちろん文学論としても興味深い。

童話作家になる方法
著者:斉藤洋
発売日:2016年06月
発行所:講談社
価格:994円(税込)
ISBNコード:9784062200387

「児童文学は成長記」。還暦を過ぎて思うのは、「人間は特に少年期、老いてもそれなりに成長していく。それを描きたい」ということ。「なりたい自分になろうとしている」姿は「ルドルフ」作品のテーマでもある。

「〈なりたい自分〉がない人生はつまらない。イッパイアッテナはルドルフにあるべき姿を教えるけれど、それはねこ一般のものではなくて、ルドルフにはルドルフのあるべき姿がある。それを目指して自己実現することが人生の目的であり、邁進することで達成感と自己肯定感が得られる。これが大事」。作家と並行して大学の教授を務め、油絵や写真の個展を開く多才な著者の言葉には説得力がある。

絵本作品も多く手掛けており、「幼い子どもには文字を覚えるよりも、ビジュアルを持ってほしい」と語る。「たとえばトラという文字を覚えるよりも、トラがどんなビジュアルなのかを想像する方が重要。物語は言語が先にあるのではなくて、情景が先にある。ただしすべてを映像で見せてしまうと逆に想像力がなくなってしまう」。

原作者も大満足という今回の映画化は、そんな映像と文字の往還を楽しむのにぴったり。「児童書の読者は小さい子どもからお年よりまで」。児童文学の奥深さに迫る本書を手掛かりに、映像とともに味わうことで、「ルドルフ」シリーズの世界も読み手の成長とともにさらに広がっていくことだろう。


斉藤洋近影

斉藤 洋 Hiroshi Saito
1952年、東京都生まれ。中央大学大学院文学研究科修了。亜細亜大学教授。1986年、『ルドルフとイッパイアッテナ』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。その続編『ルドルフ ともだち ひとりだち』で、野間児童文芸新人賞、『ペンギンハウスのメリークリスマス』他一連の作品で路傍の石幼少年文学賞、「ルドルフ」シリーズ第4巻『ルドルフとスノーホワイト』で野間児童文芸賞を受賞。数々の人気シリーズを生み出し、出版点数は200冊を超えている。

〈映画原作本〉

ルドルフとイッパイアッテナ
著者:斉藤洋
発売日:2016年06月
発行所:講談社
価格:626円(税込)
ISBNコード:9784062934008
ルドルフともだちひとりだち
著者:斉藤洋
発売日:2016年06月
発行所:講談社
価格:626円(税込)
ISBNコード:9784062934015

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(「新刊展望」2016年8月号「著者とその本」より転載)

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