• 冲方丁が描く清少納言の生涯 『天地明察』『光圀伝』に次ぐ歴史小説第3弾『はなとゆめ』

    2016年07月23日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    〈冲方丁さんの『はなとゆめ』文庫版がこのほど発売されました。単行本刊行時(2013年11月)のインタビューを再掲載します。〉

    はなとゆめ
    著者:冲方丁
    発売日:2016年07月
    発行所:KADOKAWA
    価格:691円(税込)
    ISBNコード:9784041041147

    『天地明察』『光圀伝』に次ぐ、冲方丁さんの歴史エンターテインメント第3弾『はなとゆめ』。主人公は清少納言。「彼女がいかにして彼女となり、あの『枕』を書くに至ったか」を描いた。

    一度目の結婚に破れた清少納言は、まわりが勧める相手と再婚し、穏やかな日々を送っていた。やがて「女で機知に富み、才媛なるは、元輔の娘」との噂が広まり、28歳にして宮中に出仕することとなる。あるじは、一条帝の后である中宮定子。初めは華やかな内裏の雰囲気と、女房たちの若さや家格に気後れして局に閉じこもるばかりの清少納言だったが、中宮定子に漢詩の才を認められたことから、次第に宮仕えの日々を楽しむようになっていく。わずか17歳にして「人を見抜き、導き、才能をその人自身に開花させる、優れた君主の気風と知恵とを身に備えた」ひと、定子。清少納言はそんなあるじをかけがえのない存在として思い、「中宮様の番人になりたい」と強く願うのだった――。

    『天地明察』『光圀伝』における江戸時代の雄々しい男の物語に対して、平安王朝を舞台にした女流文学者の物語『はなとゆめ』。一見すると、両者の世界観はまったく違う。しかし、その背骨には同じものが貫かれている。

    冲方丁さんに『はなとゆめ』創作についてうかがった。

     

    清少納言の人生を書いた理由

    ―冲方さんにとって3作目の歴史小説です。その主人公を清少納言に選ばれたのはなぜですか。

    冲方:きっかけは『光圀伝』です。光圀は歴史書編纂を目指すにあたって中国の「史記」を参考にします。そこで「史記」の日本におけるエピソードを探しているときに、清少納言の言葉に出会いました。贈り物の紙に「何を書こうか」と中宮定子から問われた清少納言は、「帝が『史記』(敷)をお書きになるのなら、私たちは『枕』でしょう」と答えたと。その言葉がずっと頭の中に残っていたんです。

    そして、『光圀伝』の時代の「江戸(幕府)・歴史書・男性文化」に対する「京都(朝廷)・かな・女性文化」。その両方を書くことで、日本がざっくりと見えてくるのではないかという自分の期待もありました。

    何よりも、清少納言の人生が想像以上にドラマチックだったんです。中宮定子と清少納言の師弟愛や、姉妹であるかのような関係。これらを書けば、今まで自分がトライしたことのない作品になるだろうと思いました。

    そうして改めて枕草子を読んだとき、連想したのは「アンネ・フランクの日記」でした。つらく苦しい境遇の中にありながら、自分たちが持つ最も良い文化を言葉にして、あるいは精神性を言葉に託して、後世に残そうとした。迫害した相手への恨みつらみではなく。それは今の時代にもマッチしているのではないかと思いました。不況や震災など暗い出来事はあるけれど、受け継いでもらうべき精神性を自己の中で発見する。そういうことを書くのにうってつけの題材ではないかと。

    そういった理由から、今回は清少納言を書くことに決めました。

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