人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

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『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』を手掛ける敏腕編集者・林士平の人生を変えた10冊を紹介!「#木曜日は本曜日」プロジェクト第7弾

本曜日_林士平さん

「#木曜日は本曜日」プロジェクト

10月6日(木)に始動した、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指す新プロジェクト「#木曜日は本曜日」(主催:東京都書店商業組合)。毎週木曜日に本屋と本を愛する著名人やインフルエンサー、作家などの十数人が、「人生を変えた本」をテーマに実際に本屋で語るインタビュー動画を公開するとともに、彼らが選んだ人生を変えた本10冊を東京都内の約180店舗で販売するという試みです。

第1弾となる俳優・歌手の上白石萌音さんから、第6弾の作家・エッセイストの岸田奈美さんが紹介する人生を変えた本については、特設サイトおよび東京都書店商業組合公式YouTubeチャンネル「東京の本屋さん~街に本屋があるということ~」にて動画を公開中です。

 

11月17日(木)からの第7弾は、漫画編集者・林士平さんが担当します。

本曜日_林士平さん

林士平さんプロフィール
2006年、株式会社集英社に入社。「月刊少年ジャンプ」「ジャンプSQ.」の編集者を歴任し、現在は「少年ジャンプ+」編集部員。連載中の担当作品は『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』『HEART GEAR』『ダンダダン』『神のまにまに』『全部ぶっ壊す』『アンテン様の腹の中』『宇宙の卵』『ベイビーブルーパー』『幼稚園WARS』。



 

林士平さんの人生を変えた10冊

本曜日_林士平さん しおり

 

読書家の林さんは、担当する漫画家さんにも小説をおすすめすることが多いそうです。「そもそも漫画は絵と文字でできていて、セリフ回し、ト書き、モノローグは、良い文字を読まなければトレーニングできない」と語っています。

そんな林さんが選んだ「人生を変えた10冊」の中から、選書コメント(動画より抜粋)とともに3冊を紹介します。本棚のデザインをあしらった限定しおり(写真)も開催書店で配布しています。
※全10冊は「#木曜日は本曜日」特設サイトで閲覧できます。

 

二年間の休暇 上
著者:ジュール・ヴェルヌ 朝倉剛 太田大八
発売日:2002年06月
発行所:福音館書店
価格:770円(税込)
ISBNコード:9784834018059

「十五少年漂流記」として知られるベルヌの代表作。1860年3月9日の夜、海上は、雲に覆われ、視界は最悪でした。その荒れ狂った海上には、15人の少年たちを乗せ、帆がほとんどたたまれた一そうの船が漂っていました。難波して、孤島に打ち上げられた少年たちが、ときに反目しながらも、様々な困難を乗り越えていきます。無人島での生活を、力を合わせて着実に築き上げていく様子に勇気をもらえることでしょう。

(福音館書店『二年間の休暇(上)』より)

選書コメント:日本では『十五少年漂流記』として知られる作品で、原題をもとにしたタイトルがこの『二年間の休暇』です。15人の少年たちが、思いがけない事故によって太平洋の島に漂着し、そこから抜け出すまでを描いた作品です。人種が違う人も混ざっていて、それを巡る物語もすごく心に残っています。私自身、小学生の頃は「リン」という名前で台湾人だったからか、“異物”が混ざりながらケンカしてわかりあう描写に、うらやましいと思ったのかもしれません。

 

バトル・ロワイアル 上
著者:高見広春
発売日:2002年08月
発行所:幻冬舎
価格:869円(税込)
ISBNコード:9784344402706

西暦一九九七年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。城岩中学三年B組の七原秋也ら四十二人は、修学旅行バスごと無人の島へと拉致され、政府主催の殺人実験を強制される。生還できるのはたった一人。そのためにはただクラスメイト全員を殺害するのみ――。

(幻冬舎公式サイト『バトル・ロワイアル(上)』より)

選書コメント:発売された当時の帯が「審査員全員が嫌悪感」というようなものだったのが印象的で、「そんなにみんな嫌悪感を抱くなら絶対読んでやろう」と思った作品です。読んでみると、企画も完璧、キャラ立ちも完璧、ストーリーの驚きも完璧、そして(元々の装丁の)一番最後のENDのページが666ページ目だったことも強く記憶に残っています。この作品に影響を受けたといってしまうとちょっと危ないですが(笑)、作中に悪趣味な瞬間が結構あって、そういうものを好きになってしまった原因のひとつでもあります。

 

コンビニ人間
著者:村田沙耶香
発売日:2018年09月
発行所:文藝春秋
価格:660円(税込)
ISBNコード:9784167911300

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。

「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。

ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

(文藝春秋公式サイト『コンビニ人間』より)

選書コメント:コンビニで働くことで、自分を整えるというか、自分を取り戻すというところがすごく共感しました。高校生の頃に初めてやったアルバイトが、マクドナルドだったのですが、気が狂ったように働いていた時期があって。その時はすごい「労働」に救われていました。アルバイトにはマニュアルがあって、それをいかにして達成していくかというゲームを僕はずっとやっていて、不思議な快楽を得ていたんですよね。それを思い出させてくれた作品です。

 

動画の紹介

 

プロジェクトの背景

近年、電子書籍の台頭・書籍のネット購入率の増加などを受け全国の本屋の数が激減しています。2000年には21,495店舗存在した本屋が2020年には11,024店舗(出版科学研究所調べ)と約半数にまで落ち込み、東京都にある中小書店(街の本屋)を中心に組織する東京都書店商業組合の加盟店舗数もまた、2022年1月時点で287店とピークだった1984年の1,426店から8割程度減少しています。

こうした苦境を受け同組合では、お客様の忙しい日々の中でゆっくり本と向き合う時間として、週の真ん中に位置する“木曜日”に目を向け、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指して「#木曜日は本曜日」プロジェクトを開始しました。

同プロジェクトは東京都中小企業団体中央会の特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」として、同中央会より委託を受け、東京都書店商業組合が運営しています。

 

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