#音の本を読もう 第0音

2016年07月05日
楽しむ
有地和毅(日販 販売企画部)
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#音の本を読もう とは

#音の本を読もう は、音の認識を変えることばに出会うための試みだ。

「音の認識を変える? ことばが?」
「耳栓の代わりにことばを詰めるっていうの?」
「レコードプレーヤーとスピーカーをことばでつなげるのかい? 接続詞って訳だ!」

OK。ことばは、あなたの音の認識を変える。あなたはことばによって、今まで意識したことのなかった音に注意を向けることができる。それを今から示そう。

 

本を読むことは “静かな行為”か

本を読むことは、静かな行為と捉えられている。「本を読む人を思い浮かべてください」そう言われた時に、歌いながら読む人、叫びながら読む人、おしゃべりしながら読む人を思い浮かべることは(そのように本を読むのは、びっくりするくらいすてきな行為だと思うけど)むずかしい。それに本の置いてある場所はどこも静かだ。書店も、図書館も、音を立てたり、声を発したりすることはできる限り避けるべきだということになっている。本を読むことは、静かな行為であると思われている。それは確かだ。

でも、本を読むことは“本当に”静かだろうか?

たとえばあなたが本を読む時には、表紙のふちに爪が触れ、指紋の微細な稜線と紙の表面が擦れあう。紙が撓んで波打ち、冊子体を繋ぎ止めている糊が軋む。それだけではない。あなたは呼吸をする。心臓が拍動し、血球はぶつかりあいながらやわらかい管を突き進む。紙上の文字列を追う眼球は小刻みに震え、まぶたの裏側を擦る。まばたきすれば睫毛がもつれあい、引きはなされる。そして、読み取られたことばは内なる声となり、あなたの意識の大伽藍に響き渡る。

こんなに騒々しい行為は他にない。本を読むことは、音に包まれることだ。

ここまで読んで、あなたの音の認識は変わったはずだ(擬音はひとつも用いられていない。記述されたものから読み取った動きのイメージが発した音を、あなた自身で擬音に変換してみて欲しい)。もう一度言おう。#音の本を読もう は、音の認識を変えることばに出会うための試みだ。

#音の本を読もう では、次回からあなたの音の認識を変えることばのつまった本を紹介していきます。お楽しみに。

 

#音の本を読もう のはじまり

#音の本を読もう は、東京都文京区小石川にある書店「あゆみBOOKS小石川店」のtwitterアカウント(@ayumibooks_koi)から始まりました。#音の本を読もう というタグをつけて音にまつわる本の紹介をツイートし、実際に売り場に陳列していくという試みです。

筆者は、あゆみBOOKS小石川店でtwitterのつぶやきを担当していました。今回からは「ほんのひきだし」に場所を移して、音の本をつないでいきます。さまざまな書棚に散らばった音の本がつなぎあわされるのは、地下茎を掘り出していくような快感があります。出版社から、読者から、小説家から、音楽家からのツイートで、思いもよらない音の本と出会うのは、信じられないくらいスリリングです。

あなたの音の本はなんですか? #音の本を読もう のハッシュタグをつけて教えてください。


(挿画:シバミノル)

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