昔話版デスノート!?『だいくとおにろく』ってどんな話?

2016年07月01日
楽しむ
日販 商品情報センター 馬場進矢
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不朽の名作『DEATH NOTE』

DEATH NOTE 1
著者:大場つぐみ 小畑健
発売日:2004年04月
発行所:集英社
価格:421円(税込)
ISBNコード:9784088736211

『DEATH NOTE』第1巻「退屈」(原作:大場つぐみ 漫画:小畑健/集英社)初版の奥付年月日は、2004年4月7日。私は発売日、退勤後にまっすぐ書店へ向かい、その後幾度も読み返すことになるこの漫画を買いました。その後『DEATH NOTE』は漫画だけでなくアニメ、ドラマ、映画、小説、ゲームとあらゆるメディアに展開され、今秋にはオリジナル新作となる実写映画「デスノート Light up the NEW world」が公開されます。

〉映画「デスノート Light up the NEW world」公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote2016/index2.html

人気の衰えない本作ですが、私もこの作品の「名前がバレたらゲームオーバー」という基本構造が大好きです。

 

『だいくとおにろく』とは?

だいくとおにろく
著者:松居直 赤羽末吉
発売日:2007年04月
発行所:福音館書店
価格:972円(税込)
ISBNコード:9784834000856

今回紹介する『だいくとおにろく』(再話:松居直 画:赤羽末吉/福音館書店/1962年)は、こういう話です。

1.橋をかけてもすぐ流されてしまう、難儀な川があった。
2.困った村人たちは、橋の建設を腕のよい大工へ依頼する。
3.大工が現場へ向かい川面を眺めていると、いきなり大きな鬼が現れる。
4.鬼は大工に「目玉をくれたら橋をかけてやるぜ」と交渉。大工はいい加減な返事をして帰宅。
5.翌日、橋は半分できていて、次の日には完成していた。
6.鬼は大工に「目玉をよこせ」と詰め寄るも、大工は拒否して逃走。
7.鬼は背後から大声で「俺の名前を当てれば許してやる」と告げた。

名前を当てたらゲームクリア。そう、方向性は逆ですが、この構造は『DEATH NOTE』と同じです。

その後、ストーリーはこのように続きます。

8.大工は逃げ込んだ山の中で、ある子守唄を聞く。それは鬼の名前につながる情報だった。
9.翌日、大工は川へ向かい、鬼と対面。鬼は「俺の名前を当ててみろ」と笑みを浮かべて言う。
10.大工はいくつか別の名前を言い、最後に、鬼同様に笑みを浮かべ、「おにろく!」と叫ぶ。
11.鬼は「聞いたなっ!」と言うなり、消えて無くなった。

この「消えて無くなる」という表現が、非常に劇的でビビッてしまいます。『DEATH NOTE』でいうところの心臓麻痺ですね。

 

『だいくとおにろく』に関する2つの疑問

しかし『だいくとおにろく』には、不思議な点が2つあります。

・鬼はなぜ、リスクを犯してまで大工にチャンスを与えたのか?
・なぜ絶妙なタイミングで子守唄が聞こえてきたのか?

鬼はその場で目玉を取ればいいものを、わざわざチャンスを与えて一度逃がしました。それに、山奥へ逃亡した大工が情報を入手する確率は奇跡と言ってよいほどの低さです。これらを考えると、ある疑問が浮かびます。

「鬼はひょっとして名前を当ててもらいたかったのではないのか?」

事情はわかりませんが、そう考える方が自然なように思います。また角度を変えると、この話は単なる大工の逆転劇ではなく、「よく分からなかったものが、命名されることにより記号化され、解釈や管理が可能になる」という記号学的な寓話と捉えることもできます。

ルーツが同じと言われているグリム童話の『ルンペルシュティルツヒェン』とは違い、本作にはそういうことを想像できる隙間があります。『DEATH NOTE』好きの方には刺さるものがありますので、ぜひ書店店頭の絵本売り場でご覧ください。

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