• 光が溢れるアトリエで、命の輝きを描き出す。絵本作家・いせひでこさんの仕事場訪問

    2016年04月27日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    自宅から歩いて2分のマンションにアトリエがある。窓いっぱいに光が溢れ、庭もある。「夜型だから白や黄色の照明を合わせて描いていますが、やはり昼間の自然の光が一番信じられます」

    読者が絵本の世界に「柔らかく入れたら」が基本姿勢。自身も、作品は「どんな重いテーマでも、気持ちは柔らかくしてから始めます」。そのためには音楽の助けが欠かせないが、「集中しだすとかけたCDがいつの間にか終わってる。結局は聴いていないのね(笑)」。

    『幼い子は微笑む』は、『最初の質問』に続く詩人の故・長田弘さんと組んだ2冊目の絵本。「詩を書き写すことは、長田さんに少し近づくこと。詩を自分のからだに入れるため、言葉をなぞりながら、長田さんがなぜこの言葉を選んだのかなと考えるんです」。ノートには詩を写しとるたびに感じたことや、作品のアイデアのメモが残る。「自分の5歳の頃の記憶を耕しながら」詩人と響きあう心が描き出す世界には、きらめくような生命感と詩人が遺した生きることの本質がつまっている。

    幼い子は微笑む
    著者:長田弘 伊勢英子
    発売日:2016年02月
    発行所:講談社
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784061332805

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    取材時は、「いせひでこの宮沢賢治絵本原画展」の準備の真っ最中(長野県安曇野市「森のおうち・絵本美術館」にて5月17日まで)。机の上にあるのは詩『小岩井農場』の連作のうちの1枚。幅120cmのキャンバスの大作。部屋のあちこちには作品の全体の構図を描いた「エスキース」(下絵)や細部を拡大したスケッチが貼られている。「本物を見て、形だけではない、エネルギーやまとわりついている空気みたいなもの」を写しとり、絵にまとわせる。いせさんの作品にはスケッチが欠かせないのだ。

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    「私、木の実を拾ってくる名人なの」。スケッチに出かける度に集める木の実はお孫さんとのおままごとにも大活躍。ひまわりのドライフラワーは自宅の庭で自分で育てたもの。画材としてはもちろん、そばに置いておきたい、大切な宝物たちだ。


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    いせひでこ Hideko Ise
    画家、絵本作家。1949年生まれ。東京芸術大学卒業。野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。『ルリユールおじさん』は講談社出版文化賞絵本賞を受賞、ベストセラーとなる。宮沢賢治とゴッホの研究、スケッチの旅の出会いや実感から、絵本やエッセイを発表しつづけている。近刊に『大きな木のような人』、『まつり』、『最初の質問』(詩・長田弘)がある。

    ルリユールおじさん
    著者:伊勢英子
    発売日:2011年04月
    発行所:講談社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784061324657
    大きな木のような人
    著者:伊勢英子 ジョルジュ・メテリエ
    発売日:2009年03月
    発行所:講談社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784061323926
    最初の質問
    著者:長田弘 伊勢英子
    発売日:2013年07月
    発行所:講談社
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784061325234

    (「新刊展望」2016年5月号「創作の現場」より転載)

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