• 〈インタビュー〉白石一文さん長編小説『神秘』文庫版発売 余命一年で知った、本当の人生

    2016年04月15日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    〈白石一文さんの『神秘』文庫版がこのほど発売されました。単行本刊行時(2014年4月)に収録したお仕事場でのインタビューを再掲載します。〉

    神秘 上
    著者:白石一文
    発売日:2016年04月
    発行所:講談社
    価格:756円(税込)
    ISBNコード:9784062933797
    神秘 下
    著者:白石一文
    発売日:2016年04月
    発行所:講談社
    価格:756円(税込)
    ISBNコード:9784062933803

    「ヤドカリみたいに、1作書き終わるごとにほぼ引っ越しています。住んでいない場所は書けないから」。いわば生活そのものが取材。2011年に神戸へと移り住んだのは、その街を舞台に長編小説『神秘』を書くためだった。昨年(※2013年)初め東京に戻ってからは都心の高層マンションに暮らす。寝室兼書斎で夜中に執筆するのがこれまで長年のスタイル。だが心機一転、自宅外に仕事場を設けた。「『神秘』を書き終えて、作家として一区切りがついたんです。それで仕事場を変えました」

    仕事部屋 修正_r

    仕事場を変えたもう1つの理由が、作家仲間の角田光代さんの影響。「朝、仕事場に通勤して夕方には切り上げるという規則正しい角田さんの執筆生活を、真似してみようと思って。作品の質の高さと生産量の秘訣がそこにあるのかなと。でも角田さん、最近やめたんだって。ハシゴをはずされた気分(笑)」。広いデスク、その両脇にベッドとリラックスチェア。大きな窓からの光で室内はとても明るい。小さな台にノートパソコンを載せているのは「画面を目の高さにするため」。キーボードは外付け。

    猫

    飼い猫が4匹。彼らがいない仕事場に移り「生産性が上がった」とか。「夜中、猫がトイレの砂をザッザッ → 気になって執筆を中断 → 片づけて、さあ書こう → 別の猫がザッザッ→気になって……(以下同)。それで執筆時間が大幅に削られていたんです」

    『神秘』は「作家白石一文の集大成」だという。「初めて恋愛や青春を抜きにして、死の怖さからも離れて。そんな小説を書きたかった」。大きなテーマに据えたのは、がんとその治癒。余命1年を宣告された主人公を通して「死の1年前に人は何を考えるか」を描き出す。長編の醍醐味たっぷりのストーリー展開に、生と死への深い思索が豊かに織り込まれた圧巻の小説。家族とは、夫婦とは、身体とストレス、死ぬということ……現代人のそんな問いに対する示唆にも出会えるだろう。


    白石一文さん_r

    白石一文 Kazufumi Shiraishi
    1958年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋勤務を経て、2000年『一瞬の光』でデビュー。2009年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で第22回山本周五郎賞、2010年『ほかならぬ人へ』で第142回直木賞を受賞。『快挙』『彼が通る不思議なコースを私も』『愛なんて嘘』『ここは私たちのいない場所』『光のない海』ほか著書多数。


    (「新刊展望」2014年6月号「創作の現場」より)

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