• 中島要「着物始末暦」:時代小説文庫、いま読むならこの作家!①

    2016年04月15日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    剣豪小説や捕物帳、市井の人々の暮らしを描く人情ものから伝奇小説まで、ひと口に時代小説といっても、そのジャンルはさまざま。主人公とともに、脇を固める仲間たちも魅力的なキャラクターが多数登場。ストーリーを追いながら、当時の事物を知ることができるのも楽しみのひとつです。

    昔から根強い人気の時代小説ですが、特に近年注目を集めているのが、文庫書き下ろしシリーズ。このジャンルの先駆けである佐伯泰英さんや上田秀人さん、風野真知雄さんといったベテラン勢の活躍はもちろん、新たな人気作家・シリーズも続々と登場しています。

    「時代小説文庫、いま読むならこの作家」では8人の作家の注目シリーズについて、担当編集者がその読みどころをご紹介します。今回ご紹介するのは中島要さん「着物始末暦」シリーズ(角川春樹事務所 時代小説文庫)です。

     

    色鮮やかな着物にも、色褪せ着慣れた着物にも、それぞれに物語がある。

    錦の松
    著者:中島要
    発売日:2016年02月
    発行所:角川春樹事務所
    価格:670円(税込)
    ISBNコード:9784758439824

    使い捨てが当たり前の現代ですが、物を大切にする、物にもそれぞれの想い出がある、そんな温かい気持ちを改めて思い出させてくれるのが、「着物始末暦」シリーズです。

    この物語は着物の染み抜き、洗い染めなどなんでもこなす、無愛想だが職人としての腕はピカイチな、着物始末屋の余一が、着物の染みや汚れとともに、市井の人々の悩みを華麗に始末する!!という時代小説です。

    著者の中島要さんと一緒に、新刊を刊行した際に、書店さんへご訪問させていただく機会があります。その際に中島さんは、ご自身用に仕立てた着物ではなく、お母様の着物を仕立て直したり、丈が合わなくなって着られなくなったお祖母様の着物を、コートなどに仕立て直して、代々受け継いだ着物を「勝負服」として着て行く、というお話を伺った事があります。そんな素敵なエピソードを聞くと、着物って素敵だな、たまには着物を着てみようかな、という気持ちになります。

    ※ちなみに、その「勝負服」を選ぶ際は、中島さんよりお母様の方が気合いを入れて選ばれるそうです。

    着物にまつわるストーリー以外にも、余一と一膳飯屋の看板娘・お糸との恋物語や、呉服太物問屋の若旦那・綾太郎の成長、敵方となる京の呉服屋・井筒屋との対決など、様々な物語にも注目です!!

    巻末付録として、物語に登場する「着物柄説明」も収録されていますので、併せて楽しんでいただければ幸いです。

    (角川春樹事務所 書籍編集部 岡濱信之)

    中島要(なかじま・かなめ)
    早稲田大学教育学部卒業。2008年、「素見(ひやかし)」で第2回小説宝石新人賞を受賞。2010年、若き町医者を描いた『刀圭』(光文社文庫)で単行本デビュー。受賞作を収録した連作時代小説集『ひやかし』(光文社文庫)で好評を博す。ほかに「六尺文治捕物控」シリーズ(光文社文庫)、『江戸の茶碗 まっくら長屋騒動記』(祥伝社文庫)、『かりんとう侍』(双葉社)、『ないたカラス』(光文社)がある。

    ***

    ② 岡本さとる「居酒屋お夏」を読む


    (「新刊展望」2016年4月号より転載)

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