• 浦沢直樹「ひとり漫勉」レポート:「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」

    2016年03月30日
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    芝原 克也(日販 販売企画G)
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    NHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉」シーズン2が好評!

    『MASTERキートン』や『BILLY BAT』『20世紀少年』など数々のヒット作を生み出している漫画家・浦沢直樹さん。そんな浦沢直樹さんがプレゼンターを務めるドキュメンタリー番組「浦沢直樹の漫勉」のシーズン2がEテレで放送中です! 普段見ることのできない「漫画が生まれる瞬間」を映し出し、漫画家それぞれの思いにまで迫ったこの番組は、いずれも大反響を呼びました。

     

    浦沢直樹さんのライブ創作パフォーマンス!

    浦沢直樹さんは、自身初の大型個展である「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」を開催中。単行本まるまる1冊分の生原稿をはじめ、構想メモ、ネーム、少年時代の漫画ノートまで1,000点以上を公開しています(世田谷文学館にて3月31日まで開催)。

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    漫画家・浦沢直樹 初めての大型個展!「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」に行こう

    さらに1月24日には「ひとり漫勉」と題し、「1本の漫画が生まれるところをゼロから生で見せる」というライブイベントが行われました。

    今回は「浦沢直樹の漫勉」シーズン2放送にあわせ、その模様をレポートいたします。

     

    浦沢直樹さんの歌でスタート

    当日会場に集まったのは、抽選に当たった幸運な150人。会場ステージに現れた浦沢直樹さんは、まず「浦沢直樹の漫勉」のテーマソングを、自らの口笛とギターで披露しました。「ひとり漫勉」のスタートです。ステージの後ろには大きなスクリーンがあり、浦沢直樹さんの手もとを映しています。

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    浦沢直樹さんを育てた漫画キャラクターたち

    浦沢さんはペンを手にすると「僕はこういうもので育ちました」と、鉄腕アトム(手塚治虫『鉄腕アトム』)や島村ジョー(石ノ森章太郎『サイボーグ009』)、無用ノ介(さいとう・たかを『無用ノ介』)、矢吹丈(高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』)をサラサラと描き上げました。

    ▼資料なし! 落描きと呼ぶにはもったいないクオリティです。

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    ▼このとき描かれた絵がこちら(イベント終了後、ロビーに掲示されました)。
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    「ひとり漫勉」スタート!

    そして始まった「ひとり漫勉」。「担当編集者とのやりとりを経て、ゼロから漫画を産み出すシーンをライブで見せたい」という浦沢さんの提案で、1ページ完結の漫画を打ち合わせから仕上げまでぶっつけ本番で完成させるという驚きの試みが始まりました。

    ここで「漫勉」の構成を手がける放送作家の倉本美津留さんが「天の声」で登場。倉本美津留さんは「ダウンタウンDX」や「M-1グランプリ」、Eテレの子ども番組「シャキーン!」などの人気番組を手掛ける放送作家です。倉本美津留さんと浦沢さんは同い年で、公私ともに交流があるのだとか。

     

    まずは打ち合わせ

    倉本美津留さんの「天の声」を編集者役とし、内容の打ち合わせ。倉本さんからの提案でジャンルは「ギャグ漫画」、テーマは「横着」に決定。その後、話を煮詰めていくうちに生まれたキャラクター「横着太郎」を主人公に、「横着太郎がどのくらい横着か」を表現することになりました。

    「超能力者が、テレビのチャンネルを変えるために、念力でテレビを引き寄せてチャンネルを変えようとする」という倉本さんのアイデアから発展し、大まかなストーリーが出来上がっていきます。

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    ネーム

    ストーリーが粗方固まったところで、ネームを作成します。「ネーム」とは、コマ割りや構図、セリフ、キャラクターの配置などを記した漫画の設計図。「“リモコンを押す”という動作を2コマ連続するだけで“チャンネルが変わらない”ということが伝わる。これが漫画マジック」「テレビはニュース番組にしよう」「これが横着太郎ね」などと話しながら、みるみるうちにネームが完成。すごい!

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    コマ割りについて「なぜ即座にあのコマの数だって分かるの?」と倉本さんが質問すると、浦沢さんは「勘だね」と一言。今連載している『BILLY BAT』(ストーリー共同制作:長崎尚志)のネームも、頭から書き出して、いつも連載ページ数ぴったりの24枚で終わるそう。頭のなかにあるストーリーを、決められたページ数の中で構成する能力は神業のようです。

     

    鉛筆で下描き

    ネームが終わったら、原稿用紙に下描きをしていきます。ネームのとおりに、あっと言う間にコマ割りが完成。その後さらさらっとリモコンやテレビ画面、寝転がっている横着太郎を鉛筆で描きます。下描きはかなり大まかです。

     

    ついにペン入れ!

    さて、ついにペン入れです。と、その前に、漫画で使用されるペンを何種類か紹介。実際に描き比べてみると、それぞれ描き味の違いがよくわかります。

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    ここで、先ほどの下描きではまだぼんやりとしていた「横着太郎」のキャラクターの詳細が決まっていきます。「“横着”だから丸みがあって、髪がべったり……」とイメージを膨らませます。と、倉本さんから「『横着太郎』が人気連載になるようなキャラクターにして」とリクエスト。最終的に、眉毛がしっかりした、凛々しい顔になりました。

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    最後の仕上げ

    続いて、スクリーントーンと呼ばれる、陰影をつけるためのシートの登場です。影になっている部分にトーンを貼っていくと、絵の中の部屋に西日が差し込んでいるようなリアリティが生まれます。効果的にスクリーントーンを用いることで、原稿に立体感が出るのです。

    スクリーントーンは、大まかに原稿の上に乗せた後、不要な部分はカッターで切ってはがします。「原稿を一緒に切ってしまわないのか?」と心配になりますが、実際に、初心者は原稿を切ってしまうこともあるそうです。

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    完成!!!

    「横着太郎」の原稿が完成しました!

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    打ち合わせから完成まで40分弱。大勢の観客の前で、新しい作品が生まれました! これはちょっと感動的です。

    セリフなしでストーリーを伝える力は、さすがとしか言いようがありません。テレビを動かそうと力んでいる横着太郎の表情がとてもいい! 涙袋を描くと微妙な表情が出せるそうです。なんとも味のある表情ですね。最後に少しだけテレビが動くというオチも面白いです!

    ***

    イベントの最後には、声だけで出演していた倉本美津留さんも登場し、浦沢さんと二人で「漫勉」エンディングテーマをライブ演奏して幕を閉じました。

    浦沢さんは「漫画を描くとき、『これが嫌だ』『これが面倒くさい』と言い出したら、全部面倒になる」とおっしゃっていました。天才が33年間 “描いて描いて描きまくった”結果、今の浦沢直樹さんが存在しているのだということを痛感しました。

    世田谷文学館にて開催中の「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」のロビーではNHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉」のPR動画を上映中。ぜひこちらもチェックしてみてください。

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