• 〈インタビュー〉元新聞記者の本城雅人さん最新作『ミッドナイトジャーナル』は、新聞や記者の意義を問う社会派エンタメ!

    2016年02月24日
    楽しむ
    日販 商品情報センター 「新刊展望」編集部
    Pocket

    2月23日に発売されたばかりの、社会派エンターテインメントの注目作『ミッドナイト・ジャーナル』。前著『トリダシ』では自身のキャリアの出発点であるスポーツ紙の裏側を描いた本城雅人さん。本作では、もう一つの原点である社会部記者たちの緊迫感あふれる日々を通じて、報道と記者という仕事の核心に迫っていく。

    ミッドナイト・ジャーナル
    著者:本城雅人
    発売日:2016年02月
    発行所:講談社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784062198998

    7年前、「不明女児、遺体発見か」という大誤報を打った責任を取らされ、中央新聞社会部の警視庁捜査一課担当から外された3人の記者たち。地方を転々とし、さいたま支局に着任した関口豪太郎は、県内で起きた女児連続誘拐事件にかつての事件との関連性を見る。豪太郎から連絡を受けた藤瀬祐里は、東京本社から応援として取材に合流、現在は整理部員として働く松本博史は、祐里からの協力要請を頑なに拒むが……。

    「スポーツ紙の記者だった僕も、1年目は支局に出されて事件記者をやらされました。大事件が起きると、みんな殺気立ってスクープ合戦をし、東京からも記者が来て、本社にあれこれと命じられる。そうした貴重な経験を、いつか小説に書きたいと思っていたんです」

    一瞬も気を抜けない他社との戦い。「真実を知りたい、抜かれたくないという本能で動く」記者にとっては、時に自社の人間でさえライバルになりうる。記事のためには一歩も引かない豪太郎は、社内の敵も多いのでなおさらだ。

    「個々の力が強くて、お互いに反発しながらいい意味で競争し合う。妬み、ひがみという負の感情もあるけれど、それに負けないように努力することで全体の力が押し上げられ、最後の最後にチームが一つになっていく。野球でいえば、シーズン中は常にレギュラー争いがあり、終盤の9月、10月だけは一丸となって戦う“仲間”になる。それが最高のチームワークなのではないでしょうか」

    物語は、事件を追う記者たちの視点で展開する。目撃者を探し、つかんだネタを刑事にぶつけ、その反応を見て一歩一歩事実を探り当てていく。取材先に疎まれようと、彼らが重んじるのは、〈現場に出向いて、自分の眼と耳で確認する〉こと。それは一見“泥臭い”ようだけれど、だからこそ事件の顛末だけではない、さまざまな“生きる姿”が胸に迫る。

    「時代が変わったように見えても、どんな仕事にも泥臭さはあって、それは普遍的なものなのかなと」。「担当編集者からは、二度と新聞記者の小説は書けないくらいに出し切ってほしい」と言われ、当時経験したことや味わった思いを随所に盛り込んだ。普遍的でリアルな感情が共有できるから、本城作品の登場人物たちは、会いに行きたくなるほど魅力的。「読者が自らの世界にあてはめて、自分もこういう悔しい思いをしたな、こんな上司がいるなと思い浮かべてもらえる」のも小説ならではのおもしろさ。本気のぶつかり合いにいつしか引き込まれ、読み手の心も熱くなる。そんな気迫あふれる快作だ。


    profile-honjoh.m

    本城雅人 Masato Honjo
    1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、産経新聞浦和総局を経て、その後サンケイスポーツで記者として活躍。退職後、2009年に『ノーバディノウズ』が第16回松本清張賞候補となり、同作で第1回サムライジャパン野球文学賞を受賞。著書に『スカウト・デイズ』『球界消滅』『希望の獅子』『トリダシ』などがある。

    ノーバディノウズ
    著者:本城雅人
    発売日:2013年01月
    発行所:文藝春秋
    価格:802円(税込)
    ISBNコード:9784167850012
    球界消滅
    著者:本城雅人
    発売日:2015年01月
    発行所:文藝春秋
    価格:918円(税込)
    ISBNコード:9784167902797
    トリダシ
    著者:本城雅人
    発売日:2015年07月
    発行所:文藝春秋
    価格:1,890円(税込)
    ISBNコード:9784163902937

    (「新刊展望」2016年3月号「著者とその本」より転載)
    common_banner_tenbo

    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下




  • GoogleAd:007



  • 関連記事

    ページの先頭に戻る