『名古屋16話』の「瑞穂区の書店」のモデルはここ。作家からも町の人々からも愛される「七五書店」

2015年12月30日
本屋を歩く
日販 商品情報センター 野田
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名古屋にお住まいのみなさん、もう読まれましたか? 吉川トリコさんの『名古屋16話』。中区、北区、中川区……と全部で16ある名古屋市の各区と、静岡や岐阜など近郊の8つの街を舞台にしたショートストーリー集です。

名古屋16話
著者:吉川トリコ
発売日:2015年08月
発行所:ポプラ社
価格:1,620円(税込)
ISBNコード:9784591146101

瑞穂区の章「とある書店の一日」は、本屋さんの棚にいる1冊の本が語り手という、ちょっと不思議で、優しく温かな物語です。このお話、瑞穂区に実在する書店をモデルにして描かれたものなんです(著者の吉川トリコさん曰く、「どこの本屋さんか、わかる人にはすぐわかっちゃう」)。それが今回ご紹介する「七五書店」です。

今回筆者は、トリコさんと一緒にお店を訪ねました。

 

一見すると、ごく普通の「町の本屋さん」。でも実は……?

七五書店は、瑞穂区の閑静な住宅街に建つ「町の本屋さん」。店名は、創業時のお店の広さが75坪だったことから来ているそうです。現在の売場は約50坪。

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トリコさんに、七五書店を好きな理由を聞いてみました。

「このくらいの大きさの町の本屋さんなら、たぶんこういう品揃えだろうな、と予想してお店に入ったとします。すると、その予想がことごとく裏切られてしまう! そんなおもしろいお店なんです。置けるスペースは限られているのに、え!?こんなのも置いてある!みたいな驚きがあって。全部の棚の隅から隅まで店長が目を配って、1冊1冊選んで置いているんだなというのがわかります。すごく個性的なお店だと思います」

では、店内をぐるっと歩いてみましょう。
お店に入ってすぐ、左手の壁面棚に新刊、続いて文芸書コーナーです。
確かに、この規模のお店でこの文芸書の数はすごいですよね。短歌・俳句・詩の本も結構な品揃えです。

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『名古屋16話』がしっかりプッシュされています。POPには「瑞穂区はP93~」というピンポイントな案内も。

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入口正面の平台では、大島真寿美さんの『空に牡丹』と『あなたの本当の人生は』を大きく展開。七五書店はTwitterのプロフィールに「地元作家・大島真寿美さん応援中」と記しているほど、“大島真寿美さん推し”なんです。もちろん、ご本人もよく来店されるそうです。

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「本のある暮らし」と題するコーナーには、本と本屋さんにまつわる本がいっぱい!

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お店の真ん中あたりの平台では戦後70年フェアが行われていました。『あとかたの街』は、名古屋出身の漫画家・おざわゆきさんが名古屋空襲を描いたコミックです。文庫はノンフィクションから小説まで、「この機会に読んでみよう」と思わせる作品が揃っています。

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店内の奥に進むと、文庫とコミックのコーナーにはたくさんのサイン色紙。棚には、名作の誉れ高い作品がずらっと並んでいます。

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次は雑誌コーナーを見てみましょう。多くの本屋さんで目にする様子とは少し違いませんか?

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少しズームアップしてみましょう。こちらはスポーツ雑誌の棚ですが、『羽生結弦語録』や錦織圭選手の『頂点への道』があるかと思えば、山際淳司さんの『スローカーブを、もう一球』がさりげなく置かれていたりするんです! ということで、答えは「雑誌だけでなく同じテーマの本が平台に並んでいるから」でした。

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ご当地本コーナーも、幅広く楽しいラインアップ。『名古屋16話』は、ご当地本としてここにも置かれています。

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業界関係者も作家も虜になってしまうお店

「とある書店の一日」には、こんな一節があります。

この店には、近郊に住む書店員や作家などがちょくちょく顔を出しにやってきます。わざわざ遠方から足を運んでくる方もおられるほどです。(中略)一見するとごくごく普通の「町の本屋さん」なのですが、ゆっくり店内を眺めているうちにずぼっと足を取られる瞬間があるようで、気づくとみなさん何冊も本を抱えてレジに並んでいます。

この日のトリコさんも、どっさりお買い物をされたのでした。

こんな七五書店の売り場を作っているのは、店長の熊谷隆章さん。通称「ゴロウさん」。「とある書店の一日」に登場する店長は「ジロさん」です。小説を読んでからお会いすると、描かれているとおりの雰囲気の方で感動しますよ。

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また七五書店には、社長がマスターを務めるカフェ〈まほろば珈琲館〉が併設されています。珈琲は自家焙煎。豆の販売もしています。クラシカルな雰囲気がなんとも素敵です。

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七五書店について、トリコさんからこんなエピソードも聞かせていただきました。
「某出版社の営業の男の子は、名古屋市内で引越先を決めるとき、『七五書店があるから』という理由で瑞穂区にしたんですって」
住む場所まで左右してしまうくらい魅力的な本屋さんというわけです。

作家、業界関係者を大いに惹きつける書店。一方で、「とある書店の一日」に描かれているとおり、町の人々からも深く愛されている七五書店です。名古屋にお住まいの方はぜひ、トリコさんみたいにお気に入り書店の一つにしてみてください。また、名古屋以外の方でも、旅行や出張の折にはどうぞお立ち寄りを。

 

今回紹介した本屋さんはこちら

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七五書店
〒467-0064 愛知県名古屋市瑞穂区弥富通2-4-2
営業時間:平日・土曜 10:00~22:00/日曜・祝日 10:00~20:00(第2・4日曜は定休)
TEL:052-835-0464

名古屋市営地下鉄 新瑞橋駅から東へ直進して徒歩約10分

ブログ http://shichigo.exblog.jp/
Twitter https://twitter.com/75bs
Facebook https://www.facebook.com/shichigobs


(取材日:2015年11月6日)

●あわせて読みたい:名古屋人必読!珠玉のショートストーリー集『名古屋16話』 吉川トリコさんの仕事場訪問

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