• “世界一幸福な国”ブータンは、私たちがそうなったかもしれない未来の姿だ―わが店のイチオシ本(vol.11 六本松 蔦屋書店)

    2018年02月06日
    本屋を歩く
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。第11回にご登場いただくのは、福岡市にある六本松 蔦屋書店の森卓也さんです。

    森さんは、世界120か国を旅した経験と知識をベースに、旅に関するあらゆる相談にのってくれる“旅のコンシェルジュ”。数ある旅本の中から一押しとして挙げてくださったのは、高野秀行さんの著書『未来国家ブータン』です。

     

    インドとブータンは、隣国同士でなぜこうも違うのか?

    蔦屋書店では、その分野の専門家であるコンシェルジュがお客様の要望に応えます。私は“旅のコンシェルジュ” で、世界120か国を訪れた経験をもとに、書籍だけではなく旅に関すること全てを、お客様にご案内しています。

    今回私がおすすめするのはもちろん旅の本、高野秀行さんの『未来国家ブータン』です。

    未来国家ブータン
    著者:高野秀行
    発売日:2016年06月
    発行所:集英社
    価格:691円(税込)
    ISBNコード:9784087454543

    インドからブータンへ国境を越えると、がらりと雰囲気が変わります。喧騒と乱雑から、静けさと節制へ。ブータン人の礼儀正しさと穏やかさは「世界一幸福な国」の住人にふさわしいものでした。国境の壁を一枚隔てただけで、なぜこれほどの違いがでてくるのか。私が旅の間に抱いた疑問の回答が、本書にありました。

     

    「現地人に溶け込む旅」で見えてきたブータンの素顔

    「辺境探検家」と呼ばれる高野さんの旅先は、もちろん世界の辺境です。そして彼の書籍は目的地が珍しいだけではなく、題材がすこぶるユニークでもあります。ミャンマー奥地のアヘン生産地でアヘン農業に従事したり(報酬は現物支給!)〈『アヘン王国潜入記』〉、アフリカの未承認国ソマリランドの平和の秘密を探ったり〈『謎の独立国家ソマリランド』〉、飲酒がご法度のイスラム教圏では酒を求めて必死の探索をする〈『イスラム飲酒紀行』〉。

    『未来国家ブータン』では、日本の企業から「ブータンに雪男がいる」という話を餌に、伝統薬の調査を依頼されます。彼はいつも現地の人へ溶け込む旅をするので、ニュースでは見られないその国の素顔を知ることができるのも、高野作品の大きな魅力のひとつです。

    現在も半鎖国状態のブータンは、伝統に根ざした独自路線の道を進んでいます。質素な王室、国民の厚い信仰心、伝統的な智恵と習慣の継承や、新しい文化の採用・不採用の判断基準。高野さんが旅で発見していく「先進国のよいところだけ取り入れて、悪いところは全て避けている」社会システムには、目からうろこが幾枚も落ちます。「明治以後の私たちがそうなったかもしれない未来」を思わせる国が、ブータンなのでした。

    当店の旅の売場にはガイド本だけでなく、旅における未知との出会いや発見の感動が味わえる書籍を、ジャンルを問わず揃えています。平台がないため、おすすめ本は写真のようにPOPをつけて棚に展開しています。

    さらにコンシェルジュの強みは、お客様の好みに合わせて個別に提案できること。お客様と会話をしながら、おすすめの本をご紹介しています。本書は旅好きの方、社会学や民俗学に興味のある方にとても評判がよいです。

    今後も、書店が旅先の国みたいに新鮮な発見のある場所となるよう、売場作りに努めていきます。

    ◆作り手からのメッセージ◆
    「ブータン=幸福な国」という図式は日本人にとって動かしがたいイメージだ。しかし、幸福とは何だろう。幸せなのは国? それとも人? そんな素朴な疑問に高野さんは体当たりで挑む。行って、見て、考えなければ何も分からない。ぜひ高野さんと一緒に未知の国の魅力に触れてほしい。(集英社 文庫編集部 飛鳥壮太さんより)

     

    店舗紹介

    六本松 蔦屋書店(Tel.092-731-7760)
    〒810-0044 福岡県福岡市中央区六本松4-2-1 六本松421 2F
    ※営業時間 7:00~23:00


    (「日販通信」2018年2月号「わが店のイチオシ本」より転載)




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